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World Link Online  作者: 霧凪
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〜偽りの現実〜

2049年7月24日新作VRMMORPG"World Link On-line"通称WLOにログインした高校三年生の"霧嶺凪"は、何者かの仕業によって約300万人ものプレイヤーと一緒にゲーム内に囚われの身となってしまう。

状況が混乱していく中、凪の前に親友の青年が現れる。しかし、懐かしむ間もなく何者かの手によって最悪のオープニングゲームが幕を開けることとなってしまう。

第2話〜偽りの現実〜


『あなた達はこれからこのゲームの攻略に勤しんでもらいましょう。現実の体のことなら安心してこちらに任せてもらいたいですねぇ~』


全く安心できない口調で告げる声の主。だからと言って、自分達の現在の状況では何も出来ないのも事実だった。


「こんな状況じゃ信じるしかないじゃないかよ! ふざけんなよ!!」


誰かが耐えきれぬとばかりに叫んだ。


『おっと、そろそろ運営さんの代わりに仕事をしてやらないとねぇ~。』


今までのプレイヤー全員の疑問を押し退けて、話を変える


『あなた方は、今いる県から攻略をしていきどこかに潜んでいる最終ボスを倒さなければなりませ~ん。』


エリアボスを攻略するところまでは知っていたが、まさか最終ボスなるものがどこかに生息しているとは知らなかった。


「まてよ? てことは全ての県を攻略したところでクリアにはならない、と言うことか?」


ふと頭をよぎった考えを口に出す。


『ボスの生息しているところはこちらにも分かりませ~ん。なので自力で探して下さ~い。あぁ~そうだ、全ての県を攻略し終わった後にボスは出現するそうですよ~それだけは教えてあげましょう。ではでは、せいぜい頑張って下さいね~。』


その疑問に答えるかのように声の主は言ってボイスメールは終了した。


「......」


この場にいる皆突然の話に頭が着いて行かず、口を半開きにして言葉を失っていた。


「ん?」


その沈黙を破るかのようにメール受信を告げるアイコンが表示された。どうやら、先程のボイスメールの主からのようだった。


『そうそう、忘れるところでした。プレイヤーの皆様がこのゲームをするために使っていらっしゃる"F-AW"ですが〜......実は、あれには強力な"毒"がしこんであるんですよねぇ~あははは。まぁ、このゲームにしか反応しないように設定してありますけど。本題に入りましょう。このゲームでHPがゼロになると"F-AW"に仕込んである毒が仕込み針によって手首から注入され数分と掛からぬ内に死に至ることでしょ~う。なので、助かりたければ死にもの狂いでゲームを攻略することですね~』


「毒......」


"F-AW"の中に毒が入ってるなど信じれることができず、全力で否定したいという気持ちになるが、何故かどこかで これは本当の事ではないのか と、肯定する部分が否定を押さえつけている。


「はっ! 誰がこんな下らない茶番に付き合うかよ! わりぃけどこのあと用事があるんだ俺は抜けさせてもらうぞ!!」


1人のプレイヤーが怒号を挙げるがその声は少し震えていた。

そして、ウィンドウを操作しログアウトボタンをタッチする。

シュン── と言う音と共にプレイヤーの体が淡い光に包まれる。


「なっ......が......ぐ!?」


ログアウトしようとしたプレイヤーが淡い光に包まれながら途端に苦しみ悶え始めた。


「ぐ?!......な、なん......で......」


自分がどうしてこんな目に遭うのか、と言うような疑問を最後に残し、そのままピクリとも動かなくなった。


「───っ!?」


場が戦慄の雰囲気に包まれた。

ピロン、とこの場に追い討ちを掛けるようにまたメールが届く。

『はい、皆様これは全てオープニングの演出です。少しやり過ぎてしまいましたかねぇ~? あははは』と、全て嘘ですと言ってほしかったのか皆すがるようにメールを開くが、その儚い願いは一瞬にして壊された。


『おぉっと、もう1つ言い忘れてました。自発的にログアウトしようとしても仕込み針は作動して毒を流し込むので操作しないほうが身のためですよ~? まぁ、このゲームから退場されたければ操作するのもアリですがね~。勿論、現実世界からも退場、と言うことになりますけどね~あははは』


「───っな!?」


驚愕する文面だった。


「......忘れていた? 忘れていただと!! こんな重要なこと忘れてるなんて有り得ねぇだろ!?」


俺はその声に反応し振り返ると......そこにはよく知った顔の人物がいた。


「お、お前もここにいたのか?」


その人物に俺は問い掛けた。


「な、凪か? いたって言うか今来たばかりだな」


平静を装っていたがその顔はかなり青ざめていた。

この人物、プレイヤー名"アキト"は俺の昔からの友人だが高校に入学してからは全然顔を会わせていなかった。今日は約一年ぶりの再開となる。


「いったいどうなってんだよ、なんなんだよコレ......」


「俺も......何がなんだかって感じだけど、少なくともコレを仕組んだ奴は俺達を元の世界に無償で帰してくれるつもりはなさそうだな」


目の前でログアウトした人が苦しみながら倒れたのを見てしまった以上、この事は認めるしかなさそうだ。


「はぁ、どうすんだよーこれから受験で忙しいってのによー」


「言うなよ俺もだ......」


この時期、高校三年生の俺達は進路で忙しい状況だ、正直ゲームを何時間もやっているほど暇じゃない。

しかし、ゲームから出れない今、考えることは一つ......そう......


「......生き延びないと」


ポツリ、と隣にいるアキトにも聞こえないような小さな声でこの世界で戦う覚悟を俺は決めた。


「これからどうする? 」


と、アキトが聞いてきた


「......取り敢えず、グレードアップ(モンスター強化)がされる前にレベルを上げないとな」


「それが定石だよな......」


「......」


「ん? どうした? 」


「え? あ、いや、このテロみたいなことを一体誰が起こしたのかと思ってさ」


「やっぱテロなのか?」


「いや、断言できるわけじゃないけど......さ」


この状況からみるに遊び半分でやっているわけがない、声の主が運営側の人である可能性も無い、とは言えないが低いだろう。


「仮にテロだとしても一体何が目的なんだ? 俺達を人質に取ってさ、身代金でも狙ってるのか? 」


「ん~......どうだろうな。確かにWLOの運営会社の"レグザム"は今じゃ日本一って言ってもいいくらいの大企業だからな」


「しかも、人質は約300万人......こんな膨大な人数での身代金要求なんて聞いたことないぞ? 」


「うん、身代金を要求するには過剰過ぎる人質だな。でも、間接的な人質ならこのくらいの人数が必要なのかもしれない。」


間接的な人質、つまりは犯人と対面していない状態での人質ということになるだろうか。爆破予告などと同じだろう。


「向こうはボタン一つで俺達を......殺せるのにか? 」


アキトの言うとうりだった。スイッチを押すだけで約300万人もの命を奪えるのに身代金を要求するなんて考えはおかしい......


「もっと別の大きな何かがある、って考えた方が釣り合いが取れるな」


「その大きな何かってのは一体なんなんだろ━━━━」


アキトの言葉を遮るように"ソレ"は現れた。

身体は鞣した皮の鎧で覆い、左手には刃こぼれの激しい曲刀、右手にボロボロの皮の盾を装備したこの混乱の中で異様な存......モンスターだ。


「な!? モンスター!!! 」


誰かが叫んだ。

そして、同時にメールの受信を告げる音が鳴る。送信者が誰なのかは明白だ。


「まだ何かあるのかよ! 」


隣のアキトが苦しそうに叫んだ。


「何かあるのか、それともただのポップを再開するアナウンスなのかどっちなんだろうな......」


予想通りメールの内容は前者だった。


『まだまだ、皆さんこの世界が現実という事を実感できてないようですねぇーー? そこで、こんな物を用意しましたぁーー! 各県の市町村で、10人以上のプレイヤーが集まっている地点にレベル15のモンスター"ディクライン・コボルド"を3体ほど湧出ポップさせましたぁーー! 』


Lv.15のモンスター、俺達の推定レベルは3か4くらいだろう。


「レベル差12......圧倒的にこっちが不利だ」


RPGでのレベル差は1や2などでは大して変わらないが、その差が12ともなると絶望的だ。


「しかも、それが3体かよ......」


でも、まだ一つだけ希望がある。それは━━━


『さぁ、偽りの現実の始まりだ』


俺がメールの最後の一行の言葉を読み終わると同時に、"ディクライン・コボルド"は三方向に分かれ、近くにいるプレイヤーから襲い掛かっていった。


「━━━━っ」


息を飲む光景だった。襲い掛かられたプレイヤーは2撃攻撃をもらうだけでHPがゼロになり次々と倒れていった。


「こんな、こんなのって......」


「凪、どうする? 」


「どうするって言われても......」


答えは二つに一つだ。周りのプレイヤーを見捨てて逃げるか、反撃に出るか、はっきり言って後者の成功率はかなり低い。


「ちくしょぉぉぉぉぉお!!!! 」


俺はその声の発生した方向に顔を向けた。そこには一人のプレイヤーが戦闘区域から離脱しようとしていたところだが、50メートルほど走ったところで何かにぶつかり後ろに倒れ込んでしまった。


「な、なんなんだよ! ちくしょう!! ここから出せぇぇぇえ!!! 」


そのプレイヤーは起き上がり、見えない壁を叩き始めた。


「どうやら......」


アキトも同じ考えだったのだろう。前者の逃げる選択は無くなった。


「うん、戦うって選択しかないみたいだな」


「でも、どうする? 相手はレベル差12だぞ? 」


確かに挽回するのは厳しい、ただそれはゲームの中での話だ。


「唯一俺達が勝てる希望、それは......この世界がゲームじゃなくてもう一つの現実っていう事だ」


「それは、具体的にどういう事なんだ? 」


「......アキトは気が付かないか? あの風鈴みたいな音が鳴ってから攻撃のパターン化が解除されてるのに」


「攻撃のパターン化が解除?」


攻撃パターンとは運営が設定している攻撃動作が場面ごとに特定された物だ、その解除という事はそれ事態がなくなっているということ、つまり......。


「本当の意味で自分の身体が自由に動かせるってことだ」


「そうか! それならまだ俺達にも」


「うん、勝機はある! 」


勿論、勝てる割合が増えただけでレベルの差という壁はまだ残っているし、攻撃パターンの解除はモンスターにも施されていると考えた方がいいだろう。


しかし、それでも......


「動かなければ何も、何も始まらない......」


「どうした? 凪? 」


「いや、なんでもないよ。とにかくやってみよう、他の人も体勢を立て直して攻撃を始めてるみたいだし」


周りをみると少なくはあるがプレイヤーが戦闘に入っているのが見えた。


「アキトの武器は......弓か? 」


「あぁ、まだ自信はないけど出来るだけ援護する」


「頼む、まずはあいつがどんな攻撃をしてくるのか観察するから攻撃はせずに周囲の警戒をしててくれ」


「了解! 危ないと思ったら直ぐに援護するからな」


「ありがと」


軽く役割分担をして前方のプレイヤーに襲い掛かっている"ディクライン・コボルド"に向かって凪は走りだした。


どうも、お久しぶりです! 霧凪です!

いやはや、中々忙しくて2話目を投稿するのにかなり時間が掛かってしまいました。この場をお借りして謝罪申し上げます。

......って言っても全然ファンがいないから誰も怒る人いないですよね(笑)


さて、今回の話は凪達プレイヤーがゲーム内に幽閉されてしまうところですねー。目の前の現実にどう立ち向かって行くのか楽しみです! そして、運営側にいる人物の目的とはなんなのでしょう? 約300万人もの人質の利用価値とは? まだまだ物語は始まったばかりです。謎はどんどん深くなっていきますねー


3話の投稿はいつになるかは分かりませんが、出来るだけ早く投稿しようと頑張りますので応援よろしくお願いします!


宣伝のほうもしていただけると尚更嬉しいです(笑)


辛口コメント待ってます!ではでは、また3話でお会いしましょう。

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