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re: High School  作者: *kei
第一学年
15/17

この現象を検証してみる act.4

アメリカ海軍の軍服を着たハンサムガイが工場へと向かうとヒロインをお姫様抱っこして連れ去り、無人島で暮らす若い男女が成長して恋に落ち、恋に落ちた男が時間旅行をしながら彼女を追いかけ、ヒロインは満月の夜に婚約者の弟と過ちを犯しそっちに心変わりしてしまい……現在は、画面の中でハリーとサリーが男女の友情は成り立つか言い合っている。


ハリーは男の欲望やセックスが全てを台無しにするから男女の友情は成り立つわけ無いって言っているけど、そこに至るまでの二人の関係は所謂『友人』ではないのか。

そう言う話をしているハリーとサリーの間に在るのは『友情』ではないのか。

『友情』ではないなら、単なる知り合いと友人の違いは何なの?


心の中でツッコミ入れながら観続けていると、いつの間にか時計の針は午前5時を差していた。


残酷なゲームや本、映画が人の神経に影響を及ぼし犯罪に走るなら、人生の中でこれ以上ないってくらい立て続けに恋愛映画を見ているあたしは、これを乗り越えた瞬間に結婚しているはずよね。


アホな考えが頭を過ぎる。

いい加減ちょっと眠い…眠過ぎて思考がおかしくなっているのかもしれない。

頭がなかなか働いてくれない。


この年で徹夜はツライよなー。

日向くんを見ればいつもと変わらず、くーるびゅーてぃぷりんす。

無表情のままテレビを見つめている。

しょっちゅう寝ているくせに、何でこんな時に限って寝ないんだか。


「ねぇ、蓮。多分もう、今日は元の姿に戻らないよ。いい加減、寝ない?」

「俺は別にいいけど。自分の姿が変わる時、把握しておかなくていいのか?」

「もちろん知っておいた方がいいとは思うけど、もう5時過ぎてるんだよ?そろそろ日も昇るだろうし、多分、今日はもう戻らないよ…」


ソファに這いずり上がって横になる。

空になったマグを日向くんがあたしの手から抜き取り、キッチンの方へと持って行く。

そして、何十杯目となるコーヒーをマグに注いでいる。


「なぁ、そう言えば、前回俺の家に泊まったとき、家に帰って何ていい訳したんだ?」

「あー、うん。それがね…」


いくら何でも外泊はマズイと思っていろいろと言い訳を考えていたんだけど、あの日自宅に帰って、連絡しなかった事は説教されたんだけど、泰美さんからも、恵一さんからも、何処に居たのかの追及はそれほど無かったんだよね。

普通だったら突っ込んでもいいようなところなんだけどな。

どちらかと言えば、藍と空くんの追及のほうが厳しかったよーな…。


「今日は何て言ってきたんだ?」

「え?まぁ、ふつーに、友達の家に泊まるって連絡しておいた」


蓮の家とは言えないけど。

また藍にどこに泊まってたの?!って突っ込まれるんだろうなぁ。

前回は、遊んでいたら帰れなくなって始発までネットカフェで時間潰していたって言ったけど、今回は友達の家って言っている限り、それは通用しないだろうし…何て言い訳しよう?

リツに言っておくかなー。

でも、そうするとリツにも本当はどこにいたのって突っ込まれそうだし。


はぁ……。


ため息をつくと、マグを持って表れた日向くんに、突然腕をつかまれた。

「遥!」

驚いたように迫る彼に思わずたぢろぐ。

「何?どうしたの?」

「お前、元に戻ってる」

「え?ウソ!」


慌てて手元に置いていた鏡を覗き込むと、彼が言った通り十代の姿に戻っていた。


「5時11分」

日向くんが時計を見ながらあたしに言った。


何気なく窓の外を見ると、ちょうど顔を出した太陽の光が輝き始めていた。

振り返ると日向くんも同じように窓の外を見ている。


もしかして…、

『日の出?』

日くんとあたしの言葉が綺麗にハモった。


「来週、もう一度確かめてみよう」

「そう、だね。一度だけじゃ、偶然かもしれないし」

「それから来週の金曜日は、いつ姿が変わるかどうか、また同じように起きて調べたほうがいい」

「金曜?」

「今のその姿から本来の姿に戻る時間だ。毎週土曜日なら、金曜の夜には変わるはずだろ?」

「あ、そか。判った、頑張ってみる」


日向くんが淹れてくれたコーヒーを一口飲んでホッとする。

目的は果たせたと思った瞬間、一気に睡魔が襲ってきた。

自分の下にあるソファがこの上なく気持ちイイ。

自然とあくびも出てきた。


ダメだ…限界……。


「蓮、ごめ…あたし、限界……」

「遥、ここで寝るのか?」

日向くんの呼ぶ声が聞こえたけど、あたしはそのまま目を閉じた。



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