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re: High School  作者: *kei
第一学年
13/17

この現象を検証してみる act.2

屋上を出て行く遥を見送って残された三人は、お互いの顔を見合わせる。

どうやら同じ事を考えているらしい。


「ねぇ。遥と日向って、いつの間に仲良くなったの?」

「うーん…それが、私にもよく判らないの」

「藍ちゃんも理由を聞いていないの?」

「聞いていないわけじゃないの。ショッピングモールで日向くんがファンに囲まれて困っているところを遥が助けて、それから意気投合したって言っていたけど…」

「日向の性格上、意気投合って言葉がアイツの中にあるとは思えないんだけどなー」

「んー。でも遥は、日向くんといると楽しいって言っていたけど」

「楽しい、ねぇ…」

そう言われてもしっくり来ないリツは首を傾げる。






屋上を出て一階に降り、日向くんと初めて出逢った教会へと向かう。

そこから更に校舎の裏側へ回り……あ、いた。

「蓮!…じゃなかった日向くん!」

校舎に寄りかかるように座っている彼に近づく。


…って、寝てるし。

授業中もよく寝ているけど、お昼休みになると大抵この場所で寝ている。

疲れているのかな…。

学業とモデル業、掛け持ちしてこなしているなんて、社会人やっていたあたしからしてみたら、凄いの一言。

体力的にだけでなく、精神的にもキツイだろうに。


あたしは寝ている彼の前にしゃがみ込み、寝顔を観察。

睫毛長いなー。

目鼻立ちは本当に整っているし、少し日本人離れした顔立ちしている。

碧眼だし、ハーフなのかな?


しかし…寝ている顔も綺麗ってどゆことよ。

ムカツクから、いたずら書きでもしてやろーかと半ば本気で考えていると、深い蒼があたしを見つめた。


「おまっ…いつからそこにいたんだ?」

日向くんが顔を赤くして狼狽えている。


おおっ。

珍しい。


「ひ・み・つ」

ニッコリ笑って言うと、日向くんが渋い顔をする。


「いいじゃない、別に。変な顔して寝ているわけじゃなかったんだし。それより、はい、これ」

日向くんにお弁当を渡す。

「ニンジンは入ってないから、安心して」

初めてお弁当を作って行った時、嫌いな食べ物があるかどうか聞いたんだけど、日向くん、ニンジンって言ってたんだよね。

妙なところで子供っぽいというか、可愛い。


「今日も作って来てくれたのか?」

「そ。日向くんには、お世話になったからね」

「そんなこと、気にするな」

「あたしが気にするの。迷惑じゃなかったら受け取って」

「…サンキュ」

「よし。おねーさんの言うことは、素直に聞いておくものさー」

「今は同じ年だろ」

「見た目はね」

ふふん、と笑うと、何か言いたそうな顔をしたけど、そこはスルーしておく。


「そう言えば、あれから元に戻ってないのか?」

「うん。戻ってないよ」

「不安…だろ?」

日向くんの心配そうな声。


毎朝確認しているとは言え、不安がないと言えば嘘になる。

また起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。

土曜日は朝起きたら元の姿に戻っていたけど、いつどんな時に変化するなんて判らない。

学校生活の中でも、そして今この瞬間も、元に戻ってしまったらどうしようと思ってしまう。

かと言って引き籠もってしまっては、また小野寺家の皆を心配させ、不安がらせてしまうから…リスク有りきの上で、学校に来ているようなもの。


「まぁ、悩んでも仕方ないし。取り敢えず、何とかなると思ってる」

「ポジティブなのか、何も考えていないのか、よく判らない回答だな」

「失礼な!ポジティブでしょーよ!人間、前向きに諦めと引き際が肝心だから」

「前向きに諦める?」

「そそ。諦めるって言うと若干聞こえが悪いけど、『前向きに』って付けるだけであら不思議!ポジティブ〜…って、なに頭抱えてるの?」

「いや、別に…」

「と言う事で、今のところは平気だから。心配してくれてありがと」

つい嬉しくて、笑顔でお礼を言うと、日向くんは照れたように視線をそらした。


リツは、日向くんが普段何を考えているのか判らないって言っていたけど、時々こういう顔見せてくれるんだよね。

感情が表に出にくいだけで、ふつーのコだと思うのだけど。

…知らないなんて勿体無い。



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