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代り映えのしない異世界生活

授業の合間の昼休み、学園の中庭の一角、

ひときわ花が綺麗に見える東屋でわたしは複数の男子学生に囲まれていた。

静かに息を吸う。1番可愛く見える微笑みを浮かべる。

そして、相手の目を見て言葉を紡ぐ。


「わたし皆さんのことが大好きなんです」

一番近くに座っている金髪の青年を見つめた

「レオンさま、本当は別の講義が取りたかったのに。わたしのために付き合ってくださってるんですね?」


次いで、黒髪の青年を見つめる

「ジャックさま…夜道が危ないからって送ってくださってありがとう」

「ジャックさまを想う女性から誤解されないか心配なんです」

「だから、私の事は気にせず自分の事を優先してくださいね」


そう”心”を込めて伝えると、

「君の事が好きだからしてるだけだよ」

2人は熱に浮かされた様な瞳で声を張り上げてそう言った


(面倒だな…距離を考えて欲しいって言ってるのが分からんのか)


その時、

授業開始をつげる鐘の音が鳴った。


「アリシア、またあとで」

2人は遅刻してしまうと慌てた様に立ち去って行った。

私は2人の背中が見えなくなるまで笑顔で手を振る。


そして、

誰にも見られていないことを確認してから、ため息をついた


「別に助けてくれなんて頼んでないっての」

私は酷く嘲笑った。

半分あきれ、半分は疲れていた。


「異世界転生…もっと楽しいもんだと思ってたのに」


-------------------


私の名前はひまり!高校2年生!

性格は明るくて無邪気で少し天然。ちょっぴりドジな女の子。

…って周りが勝手に思ってた


ある日、友達の好きな男の子が、私のことを好きだって知って。

でも、誤解した女の子に階段から落とされてしまったの。

わざとじゃなかったんだと思う。

女の子のショックを受けたように私に手を伸ばす顔…忘れられない。


「お前らで勝手にやってろよ」そう呟いたら


「あらすじ」しか知らない乙女ゲームの世界に転生していた!


-------------------


という感じで私はこの世界に降り立った。

その後の流れは

孤児の平民出身だけど珍しい治癒能力が見つかって、

拒否権もなく貴族御用達の学園に特待生入学した。

貴族の男たちは私に興味津々!自然と物語に巻き込まれていって··········

というよく見る感じ

私の知ってる「あらすじ」はここまで。

だから、この先どうなるのか分からない…



レオン「様」もジャック「様」も攻略対象。

ヒロイン補正なのか何なのか分からないけど、私を本気で助けてくれる。

相手が欲しがりそうなコトバをかけてやれば…。


この世界は愛想良くしてれば、誰も本音で傷つけてこない。

それは元の世界よりはマシなのかもしれない。


(うん、きっとそう)


私はそうやって今日も自分を納得させた。


でも、正論ばかり口にして”場を乱す”ウザイ奴もいるのよね…。

その顔を思い出すと、胸に苦みと切なさを感じる。


(……)


うん!生きづらいよりは噓つきの方がよっぽどいい·····!

だから”ここ”でも仮面は外せない、外さない


今の私の名前はアリシア

乙女ゲーム「トゥルー・ピュア・ガーデン」のヒロイン

明るくて無邪気で少し天然。ちょっぴりドジな女の子!


転生したからといって、何も現実世界と変わらない。

子どものころ読んでいた物語にはあった…真実の愛とか、永遠の愛とか、


そんな夢も青春もワクワクも、最初からなかった

異世界転生にそんなこと·····期待してたのかもしれない自分がおかしくて·····悲しかった


そろそろ授業に向かわないと遅刻してしまう·····

教室に向かうために立ち上がった

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