第六話 近藤雫
「はぁ、はぁ、はー、ここまでくれば誰もいないか、
ごめん如月走らせちゃって、」
「全然大丈夫、それより颯くんの方が大丈夫?さっきから顔色があんまりよくないから、」
「、、、、
、、大丈夫って言ったら嘘になるかな、」
「そうだよね、あの子の言ってた事は本当?」
「うん。もう友達でもなんでもないけど、昔はよく遊んでた、」
「そうなのね、颯くんあの子の事聞いてもいい?」
絶対に颯くん一人で悩ませちゃダメだと私の直感が言う。
「うん、近藤とはおそらく幼稚園からの知り合いなんだけど見た目は女の子だけど性格は男っぽくていつも男子と仲がいいイメージだった、初めて話したのは確か小学2.3年生あたりの時先輩とぶつかって殴り合いになりそうだった周りのみんなは大きい先輩が怖くて見てるだけだったけど近藤は真っ先に止めに入って先生を呼んでくれた。俺はこの助けられた行為がすごく嬉しかったんだ今でも忘れない、それから俺はそんな近藤に憧れて、困っている人がいたら積極的に助けようとしたんだ、でも歳が上がるうちに俺に対して扱いが周りとは違うというか俺にとっては少しきつかった、」
そしてあの事件後の放課後での雫との会話を話した。
「そんなことが、、、ぐす」
「如月、なんで泣いて、」
「ちょっとね、自分より状況が酷くて本当に今までよく頑張ったね。」
「あの日如月から連絡がなかったら今の俺はいなかったからな、感謝しきれない。」
「これから色んなことあると思うけど、絶対に一人で抱え込まないで!今は私がいるんだから」
「本当に如月にはいつも助けてもらってるな、どうしてそこまでして俺に構うんだ?」
「だって友達だもん笑」
「俺たち友達だったのか、」
「えー、しょっくなんですけど笑。友達は困っていたら助け合うもん!」
照れながら言う。
「そっか、友達か。」
俺は今を持って完全なる友達というものが出来たと深く思った。
*
一方近藤は、
「なんで、なんで、なんで!いつも余計な事ばかり!」
あまりの自分の愚かさに怒りが抑えられない。
私はいつも間違った選択しか言わない、ただ自分のプライドを守るがために、
「私の周りは言うなんであの豚男にそこまでして構うのかと、私は颯の外見など全く気にしないあの純粋で真っ直ぐな性格がただ好きだった。いつしか言ったあの言葉。」
「俺、しーちゃんみたいに困っている人がいたら必ず助けるヒーローみたいな存在になる!」
「私はあの言葉がすごく忘れられないぐらい嬉しかった。でもそこでも間違った選択をしてまう。」
「まずヒーローにはなるにはカッコよくならないとね!痩せて力も強くする!そしてみんなにかっこいいて思われたい!」
「颯はいいのよ!」
言葉を聞き焦りを感じ冷たくあしらう。
「、、、」
「颯は私が守るし颯の分も私が全てやるから!なにもしなくていい、」
私がカッコよくなきゃ颯は私に興味を示さないだろうしこのまま颯がカッコよくなったら私の前からいなくなるのではないかと思い、颯が何かをしようとする度に私はそれを止めた。いつしか颯は感情を捨てきったのかという目をしていた。これも全部私のせいだ、
そしてあの事件が起きる、
「ねえ聞いた?隣のクラスのあの豚男が下着盗んだって笑」
「え、まじ?まあいつかやると思ったよ笑」
私はその話を聞くとすぐにその話に飛びかかった。
「それ本当なの!?」
あいつがそんなのするわけないと思った。
「そうらしいよ笑。三井さんの下着を盗んだって、」
まだ確証はない、とりあえず三井さんに話を聞こう。
「三井さんちょっといい?」
「え?うん、いいけど早くしてね、」
「颯、結城くんのことなんだけどあれ本当なの?」
「そうだけど、あの豚男本当にきもいんだから、あの話題すら出さないで!」
「でも証拠ないよね、私昔からあいつのこと知ってるけどそんなことする人じゃない」
「証拠見せればいいんでしょ?」
イラついている三井がスマホを出し近藤に見せる。
「え、嘘でしょ、」
画面に映っているのは下着を持った颯の姿がそこにあった。
「これでいいでしょ、信じた笑?まじキモくね?それじゃ」
私はいったい何分立っていたのだろう、気づいた頃には授業が始まっていた。
「先生すいません遅れました、」
「早く座れよー」
嘘でしょ、颯がするわけ、でもあの写真確実に颯だった、あの時私がそのまま颯を応援してたらこんな事にはならなかったのか、でも颯がやった事は最低だ、だからこそ話し合わないと。
*
事件当日放課後の下駄箱
「しーちゃん!ひさしぶ」
「あんた何してんの?自分がやった事がどれだけヤバいかわかんないの?」
確かに颯がやった事は最低だ、でもこれには私の責任もある、だから颯にも私のことも叩いてチャラにしたいそれでしっかりと腹を割って仲直りしたい、
「しーちゃん俺やってないよ?濡れ衣を着せられたんだ信じて?」
今更になってなんでそこまでして嘘つくの、私は確実に証拠を見てしまった、もうこれ以上罪を重ねるのは辞めて、
「信じるわけないでしょ?その見た目で」
違う!私の心が言う。本当はこんなこと言いたいわけじゃないこれ以上颯を責めたくない、けど毎回口は心と思っている逆のことを言ってしまう、
「そっか君もそっち側だったのか」
嘘、まって!本当は違うの、そんなこと言うためにここにきたんじゃないの!行かないで!お願い、
「ちょっと!待ちなさいよ!まだ言いたい事はあるのよ!」
あまりの怒りに何度も拳を固い地面に突き立てる。
そして何度も泣く。
「なんで!なんで!なんで!うー、颯、
私は人間のクズだ、」