表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/25

第二十話 文化祭2 文化祭という出会いの場



先生に無茶振りされた俺らは今、放課後ショッピングモールに来ている。


…男装と女装の衣装を買うために。

 




「なんか、懐かしいね」


「そうだな。あの日以来だな」


※仮デートで訪れたショッピングモール(第4話参照)。




「で、服どうする?」


「うーん。先生のシナリオ通りにするには颯は、上品かつ色気のある、お嬢様風でいこう!」


……そんな格好で、みんなの前に立たせないでくれ。



「じゃあ如月は?」


「私かー。颯は、私にはどんな格好が似合って、かっこいいと思う?」


「……俺に合わせるには、お嬢様に仕える執事。ジェントルマン路線が良いんじゃないか?」


「ふふっ、案外ノリ気じゃん」


「俺はただ、衣装を提示しただけだが……」






「よし、衣装も無事に買えたし、帰るか」


「颯?」


「あっ、母さん……」


「いや~、放課後デートだなんて……母さん、嬉しいけどちょっと寂しいわ」


「違うって。文化祭の準備だよ」


「あら、そうなの? って、あの時の子じゃない! お名前は?」


「この前はどうも。私は如月紫苑と申します」


「この前はごめんなさい! でもあなたのおかげで、息子との関係が良くなったの」


「いえいえ。親子は仲良くあるべきですから」


「あなた、まるで女神様ね。ところで、結城家に嫁ぐのはどう? 如月ちゃんだったら大歓迎!」


「えっ……」


「母さん、如月が困ってるだろ……」


「そう? そうには見えないけど」


母さんの視線の先では、如月が真っ赤に頬を染めていた。


「でもやっぱりダメ! 颯は私のものだから!」


そう言って母さんは、なぜか俺の顔に自分の大きい胸を押しつけてきた。


「ちょっ……!」


「だめ! 颯は母さんの可愛い宝物!」


「いやいや、何して……っ」


「なら、私も!」


今度は如月が反撃するように、自分の巨乳を押し当ててくる。




「あかん……意識が……でも、なぜか心地いい……」





***








「はやて? 大丈夫?」


「あぁ、母さん……」


「ごめんなさいね、鼻血出して気絶しちゃったから、お家まで連れて帰ったわよ」




「……まぁ、衣装も無事買えたし、いいか」


あのときの感触がふと脳裏をよぎる。如月……いい匂いしてたな。






それから文化祭当日までは、ミスコンの準備とクラスの出し物に全力を注いだ。









文化祭一日目 ――校内公開




ピンポンパンポーン。



『みなさん、おはようございます。生徒会長の南雲乙羽なぐも おとはです。本日は記念すべき第100回ハルガサキ祭です。節目となる今日、生徒一人一人が本校の顔であることを自覚し、責任ある行動を――それでいて楽しい文化祭にしましょう。それでは――ハルガサキ祭、開始です!』







「もう、100回目なのか……」


「ハヤテくん! そろそろ衣装に着替えてもらっていい?」


言われるがままに、メイド服に着替えると――クラス中の視線が俺に映る。





「え、あれ結城?」


「まじ? 全然アリじゃね?」


「俺はいける!なんならいこうかな笑」


「ってかなんか……エロくね?笑」


「男子まじきもー」


「でも、かわいいのはガチ」





……騒がしい



「俺、そんなに浮いてるか……?」


「違うよ! 可愛すぎて、みんな見惚れてるの!」



神城のやつ、ニヤニヤしながら俺の肩をポンポンと叩いてくる。

  



「それとこれから言葉遣いはメイドらしく!」


「わかった、じゃなくて、かしこまりました。」


「そうそう、なんか襲いたくなっちゃう笑じゃなくてじゃあ早速宣伝してきて! 如月ちゃんと二人で!」


「……かしこまりました」


「いいね、その返事!」





さっきからずっと神城が変な目で俺を見てくる。男からいやらしい目で見られる女子の気持ちが分かった気がする。





「一年C組、コスプレ喫茶やってまーす! ご主人様、お待ちしてまーす!」



「あのーすいません、連絡先聞いてもいいですか?」


「え、あの、ちょっと……」


人生初の逆ナン。断り方がわからない。


「その子、男の子だよ」


「えぇ!? マジ?」


俺は小さく頷いた。


「でも構わない! せめて写真だけでも!」


「それなら……」


「さすが颯だね」


「如月も、十分モテてるだろ」


現に今もナンパされている。


「ほら、宣伝するぞ、」


「ちょ、颯!     手が大きい……」


「ん? 何か言ったか?」


「い、いや!…なんでもない!」




「はーくんー!」


「おー美羅か。どうした?」


「やっぱり近くで見ても可愛い! それでね、うちのクラス、お化け屋敷やってるんだけど、来ない?」


「今は宣伝中だし、なー、しかもお化け屋敷かー」



「お願い!」


目をうるうるしながら見つめてくる。


「まあ休憩ってことで、いいよ、」


「ほんと? やったー!」


「待ちなさい!」


「どうしたの如月さん?」


「まさか、颯と二人で行く気じゃないでしょうね?」


「当然です! はーくんを一人にするなんて、鬼畜!」


「なんで、私が除外されているのやら、じゃあ私も行くわ」


「如月さんは宣伝しててください!」


「それ、颯にも言えるよね?」


「颯は休憩中だから!」


……この二人、本当に仲悪いのか、良すぎるのか分からない。


「わかった、わかった! 3人で行こう。これでいいだろ?」


「……わかりました。ふん! ふん!」



いつも息はぴったりなんだけどなー。




*お化け屋敷



「これ……思った以上にガチなやつだな……」




この2人は知っている"颯は超”がつくほどビビリだということを




バァンッ!


「うわっ!」


「はーくん……大胆♡」


気づけば、美羅の胸にダイブしていた。


「ごめん、美羅!」


「全然いいよ? むしろこのままでいたい♡」


「如月、お前は幽霊とか平気だろ?」


「全然無理!!」


「誰か、先頭行ってくれ……」


バァン! バァン!!


「うわっ! いってぇ!」


顔面が、如月の……あそこに、!


「本当にごめん!!」

  



その瞬間、背後から追っかけてくる音。



「ごめん、俺もう無理だーーっ!」


「はーくん! 待ってぇ!」


「颯ーーっ!!」


颯は、二人を置き去りにしてクラスに戻った。





「勢いで逃げてきちゃったけど……まぁ、あの二人なら大丈夫だろ。さて、って店番の時間!」


「遅いよー! あと “ご主人様”って言うんだからね!」


「はいはい……」


 

 

「いらっしゃいませ、ご主人様。――って、雫か」


「ここではコンセプト通りにお願い。しっかり“キャラ”演じてね?」


なんだか、嫌な予感しかしない。


「メニューはどうなさいますか?」


「うーん、じゃあオムライスと……この“ご奉仕”ってやつで」


「!? なんだそれ……」


「神城ー! “ご奉仕”って何だよ!?」


「あーそれね、お客様の命令をなんでも聞くっていう裏メニューだよ!」


「な、何してくるかわかんない相手に、そんなの断れないのか?」


「一位取りたくないの? 先生の期待もあるし!」


(……ないと思うけどな)


「はい! オムライス持っていってねー!」


「こちら、オムライスになります。……それで、“ご奉仕”とは……?」


「うん、じゃあまず語尾に“にゃん”をつけて、愛情ケチャップやって♡」



……帰りたい。




「か、かしこまりましたにゃん……ぴゅわぴゅわもえもえ、にゃんにゃん♡ おいしくな〜れ♡ あなたのハートに、ずっきゅんにゃん♡」




「うおおおおおおおおお!!!」


周囲の男子、全員が立ち上がった。怖い。怖すぎる。



「失礼します……」


「お疲れー! どうだった?」



「……お願いします!勘弁してください。神城様もう悪行は一切やらないのでどうか、助けてください!」



「分かった分かった笑、じゃあ、もう接客はいいから! 今度はチェキ係ね! お客さんが食べたら颯くんと写真撮れるって特典つけてるから!」



「……了解です」









こうして“看板娘”の効果は絶大で――

文化祭一日目、C組の売り上げはダントツ一位を記録した。











































  












   





























この投稿で20本目になります!今まで見てくれた方本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>「おー美羅か。どうした?」 >「他の子から聞いたけど、やっぱり可愛い! それでね、うちのクラス、お化け屋敷やってるんだけど、来ない?」 二人は同クラだったのでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ