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2異なる世界

見てくださってありがとうございます。

「ここは……?」

女神様によって連れられた世界はおじいさんとおばあさんの世界とは何もかもが異なっていました。

まずは地面。材質は石に近く、一面に平らに広がっています。 こんなに綺麗に舗装された地面をおじいさんとおばあさんは知りません。

そして、異様な物は地面に突き立てられた巨大な風車。巨大な鉄塔の先にグルグルと回る風車ですが、何のために回っているのか、おじいさんとおばあさんには分かりません。

何より最大の異様は、

「夜なのに……明るいじゃと……!?」

「この灯りは一体……?」

まるで、陽の光を小さく閉じ込めたような灯り。 炎とは比べ物にならない程の明るさでした。

おじいさんとおばあさんは目の前の光景に圧倒され、互いに無意識に手を繋ぎ合わせます。

「おじいさん、驚くのは分かりますが、驚いている場合じゃありませんよ」

「そ、そうじゃな……」

目的を忘れてはいけません。

おじいさんとおばあさんは桃太郎達を助けるための強い仲間を探さなくてはなりません。

『転移は無事に成功したようですね』

「め、女神様かしら?」

『はい。説明を補足しますのでよく聞いてください』

おじいさんとおばあさんは背筋を伸ばして女神様の言葉に耳を傾けます。

『この世界の子ども達は超能力……あなた方の言葉で言うと妖術のような物でしょうか。そういった力を操ります』

妖術。鬼と渡り合うにはそのくらい突飛な力でないといけないのかもしれません。 女神様は補足を続けます。

『わたしの転移の力、言葉のやり取りはおじいさんとおばあさん、そしてその団子を食べた者にしか作用しません』

つまりは団子を消費せずに仲間として連れ帰ることはできないということです。

「女神様、質問ですじゃ。先程女神様が見せてくださったお方ですが……」

『来ました』

どこにいるのか、とおじいさんが尋ねる前に目的の存在に出くわしました。

「……あン?」

少年にも少女にも見える華奢な子どもでした。低めな声から判断すると、この子は男の子です。雪のように真っ白な髪に鮮血のような真っ赤な瞳が特徴的です。

「見つけましたよ!おじいさん!ほら!」

「分かっておる!分かっておる!」

手を叩き合って喜び合うおじいさんとおばあさん。 しかし、目の前の少年はおじいさんとおばあさんを無視して通り過ぎようとしてしまいました。

「ちょっと待って!」

「ちっ……」

慌てて止めようとするおばあさんでしたが、少年は鬱陶しそうに舌を打ちました。

「あなた、名前は確か……そう!礼太君ね!」

「そうじゃ。礼太じゃ」

女神様から事前に聞いた名前です。実際はもう少し長い名前だったのですが、おじいさんとおばあさんは聞き取れた部分……名前の下の方を抜き取って呼ぶことにしました。

「レイタ……?」

「礼太!話を聞いてくれ!」

おじいさんの必死な頼みに、少年は何とか足を止めてくれました。

「つまンねェ話だったらぶっ殺すぞ」

ギロリと睨みを利かせて言う少年に、

「こらっ!」

おばあさんは叱ります。

「子どもがそんな悪いこと言わないの!」

「あァ……?」

「分かったら返事」

「ちっ……何なンだこのイカれたババアはよォ……」

「また悪い口利いて……ダメって言ってるでしょ?」

「とりあえず落ち着け、ばあさん。話が進まん」

おじいさんは包み隠さず、少年に事情を告げます。すると、

「……イカれてやがるな」

話を聞いた少年は呆れたように溜息をつきました。

「頼む!ワシらにはお主の力が必要なんじゃ!」

「お願い礼太君!ワタシ達の世界を助けて!」

おじいさんとおばあさんは頭を下げて必死にお願いします。しかし、

「……てめェ達の世界のことだろ。てめェ達で何とかしろってンだ」

「……話は信じてくれるんじゃな」

「……ンなイカれた格好してるジジイとババアがここにいるかよ」

「礼太君……ありがとうね。信じてくれて」

「……ちっ」

口は悪いけれど、この少年はおじいさんとおばあさんの突飛な話を信じてくれました。

「……やめときましょう、おじいさん」

「ばあさん?何を?」

「こんな子どもを危険なことに巻き込むのは間違ってるわ」

「むぅ……それはそうじゃが……」

おじいさんはしばし閉眼して考えます。やがて、

「……そうじゃな。女神様には悪いが他を当たろう。なぁに、異世界にはこの小僧よりももっと強い者もいるじゃろうて」

「そうですね。礼太君はまだ子ども。戦いのできる歳じゃないわ」

おじいさんとおばあさんは知る由もありませんでした。 この言葉が目の前の少年に静かな火をつけたということを。

「……気が変わった」

「「……?」」

「団子をよこせクソジジイ」

「いや、しかしお主……」

「鬼だか何だか知らねェが、お望み通り話に乗ってやるっつってンだよ」

「……いいの?礼太君……」

「俺の気が変わンねェ内によこしやがれ」

「そ、それじゃあ……」

おじいさんは少年に伝説のきび団子を渡します。

少年は団子を頬張り、咀嚼します。そして、ごくんと飲み込みました。

「これで異世界とやらに行けンだろ?」

「そのはずじゃが……」

「女神様?」

『よくぞ仲間にできました。早速ですが次の世界に転移させます』

おじいさんとおばあさんの部屋を照らした激しい光が再びこの場に生じます。

女神様の転移の術です。 女神様の光は三人を包むと、再び遠いの世界へと連れていくのでした。


彼は礼太君です。どこぞの道路標識の名前の方とは一切関係ございません。どうか続きもお願いします。

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