episode98〜推測〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
先程の出来事が、未だ信じられないカヌアとウィル。
このまま自室へ戻ることは、どうしてもできなかった。
ウィルも同じ気持ちだ。
(話さないと…今起こった状況…ウィル様にも起こった状況…お互いに確認しないと)
カヌアはそう思い、口を開いた。
「私たち、今のことを把握するために、きちんとお話する必要がありますよね?忘れないうちに」
「あぁ…気になることだらけだ…それに…」
「不安…不安ですよね…私の中に…私達の中に誰か居るようで…自分じゃない誰かが…あの意識が持っていかれる感じ…嫌な感じが…まだ残っている…」
「カヌア…それを感じながら、あんなに何度も民に声をかけていたのか!?俺はまだあの一度だけだったが…あれを何回も…何十回もしていたなんて…精神的に辛かったんじゃないか?そんな無理までして…どうして…」
ウィルが信じられないという表情をしている。
「どうしてですかね…自分でもわかりませんが…止めないとって…止めないと探せなくなるって………え?探せなくなる?何を?」
カヌアは咄嗟に出た自分の言葉に、困惑していた。
自分が何を言っているのか、理解ができなかった。
「カヌア…?何を…?とりあえず部屋へ行って休もう。ちゃんと休んで、明日また話そう。部屋まで送…」
とウィルが言いかけたが、カヌアがウィルの袖を引っ張って止めた。
「あの…今日はウィル様のお部屋へ…行き…たいです…」
(あ?え?何を言って…!?これも誰かが乗っ取って言ってるんか?そうだよな、そうに決まっている…私がそんな…こと…)
カヌアは顔が真っ赤になった。
すぐに間違ったと思い、その掴んだ手を話す。
「あやややややややぃやっ!!とんだことを!お疲れなのに…」
しかし、驚き顔が紅潮したウィルは正直な気持ちを全開にし、離したカヌアのその手を掴んだ。
「今の言葉忘れるなよ。わかった。今夜は共にいよう。…途中で帰したりはしないからな」
ウィルは言うと、その手を引いて部屋まで一直線で向かった。
使用人にカヌアの着替えを頼んだウィルは、支度が終わるまで公務室で自身の着替えを済ました。
自室に戻ると、カヌアは緊張しながらも紅茶を飲みながら、のんびりしているふりをしていた。
ウィルを迎え入れる笑顔がぎこちない。
「すいません、お先に頂いてました。ウィル様もお飲みに?」
「あぁ、もらおう…」
紅茶を淹れる手が震える。
「ふふふふふふ、どうぞ」
動揺の現れだ。
「早速ですが、先程の話をしても大丈夫ですか?」
カヌアがそう言うと、ウィルは心配して返した。
「俺は構わないが、カヌアは大丈夫なのか?かなり体力を消耗していたように見えたが?」
「はい…意外と大丈夫です」
(アドレナリンがガンガン出てて…後が怖いのよ)
カヌアは目が爛々としていた。
「そうか…では無理はしない程度に少し整理をしよう。最近起きていた民達の不可解な行動だが、今まで誰が止めようにも無視され何にも反応がなかった。そのため止める術がなかったんだが…しかし今日の大きな混乱で、カヌアと俺が直接目の当たりにした。その時にカヌアのある言葉で、異様な行動をしていた民は意識を戻し、その行動をやめた。‘ヤメヨ‘…これだな。そしてその時カヌアの眼が、一瞬だが緑色になったのを俺は確認した。しかも左眼だけな…そして意識の戻った民達はその時の記憶がないような感じだったな…」
ウィルは自分の見た光景を話した。
「はい…自分でも覚えてる部分と覚えてない部分がありますが、意識が遠のいた時に発したのは、その言葉で間違い無いかと…でも自分の意思でも声でもなかったように感じました。その後私が見たウィル様も、その私と同じような状況と同じような事が起こったのではないかと…私と違うのが三点程。一つは発した言葉ですね。ウィル様が言い放ったのは‘ヒツヨウナイ‘です。その瞬間、全員が…異様な行動をしていた民の全員が一斉に行動をやめました。これが違う点の二点目です。それともう一点。ウィル様の眼です。一瞬でしたが、その言葉を発した時、その眼は二重に光っていました。外側が青のような緑のような色の輪で、内側がオレンジっぽい色の輪…そしてそれは両眼に現れていました。実は…私は以前に視たことがあるのです…その二重の輪を…」
と言うカヌアは、少し不安が浮かんだ表情をし始めた。
「それは…いつだ?」
ウィルが驚いたように聞いた。
「はい…ウィル様が馬術四日目のレースの時に倒れた後です。夜にウィル様の自室へと様子を見に行ったのです。ウィル様は眠っておられましたが…その…私はウィル様の容態が気になりお側へと…勝手に近づいて申し訳ありません。その時に、えぇと、顔に手を当て、ま、瞼に触れたのです…その時に私の視界が眩しくなり、ほんの一瞬だけ先程と同じような二重の輪が視えました…」
カヌアは申し訳ない気持ちと、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
ウィルも釣られて赤くなる。
カヌアは堪えながらも話を続けた。
「あの…私達のこの眼の現象は…例の男も何か関係があるのでしょうか?」
あまりピンと来てない様子でウィルが聞く。
「例の男?」
「はい…花模様のアザの男です。色が全く同じかは比べる者が他にはいないのでわかりかねますが、私の緑の左眼と…例の花模様のアザのある男のオレンジ色の右眼…以前に見たと言いましたよね?アルガダへの遠征の途中の湖で…夜に」
カヌアが思い出すようにそう言うと、ウィルは思い出してハッとした顔をした。
「あと、気になることがもう一点…私が先程突然発した、‘探せなくなる‘というあの言葉。意識があったにも関わらず発した…。何かを探してる…私達は…今、探してるものがありますよね…?」
カヌアが続けて推測する。
「地下…室か?まさか…なぜそれと地下室が繋がる?」
「はい、まさにそれかと…地下室らしき部屋を私達は今探してます…繋がりがあるかはわかりませんが、民の異様な行動にはやはり意味があるんじゃないでしょうか?そして、民達の黒いフラフィー…はぁ…気になる事が多すぎて…頭がパンクしそうです…」
カヌアは考えがまとまらなくなって来た。
眠気が急に来たのだ。
するとカヌアは、ウィル越しに前方にある窓を見た。
カヌアは何かを思い…そして、窓際まで移動した。
「月…満月?あれ…?確か…湖で男を見た時も満…」
するとカヌアは急激な眠気に襲われた。
それはもう立っていられないほどの眠気だ。
倒れそうになるカヌアを、間一髪でウィルが支えた。
腕の中に収まった時には、既にカヌアは眠ってしまっていたのだ。
ウィルは驚いて、そのままベッドへと運んだ。
そして自身も同じく、身を横にして眠りについたのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。
大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。




