episode88〜痛みとは〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
社交界のお時間が参りました。
そう、憂鬱なお時間が。
本日のカヌアは、昨日とは違う、薄い黄色のドレスを身に纏っていた。
(別に昨日と同じドレスでも良かったんだけどな…でもウィル様が用意してくれたから…着ないわけには…まぁとりあえず今日こそは…)
今夜はさっさと踊り終わらせて、豪華な食事の所へと行く事を決意しているカヌア。
しかし…数分後にカヌアの決意は、最悪な事態として打ち砕かれることとなる。
昨日と同じく、最初にウィルとダンスをしたカヌアは、ドレスとは思えないほどの身のこなしで、フロアの中心から出ようとしていた。
もちろんウィルはダンス後に、即女性達に囲まれて動けなくなっていた。
すると遠くの方で、とんでもない音が聞こえた。
パァーンッ!
ガシャーッン!
(ぉうっ!?どうした?どした?誰か引っかかっ…)
カヌアはそう思い、音のした方へ振り向いた。
しかしそうではなかった。
そこには同じ背格好をした、二つの赤い髪が見えたのだ。
(え?レアス様とリアス様!?何事!?)
カヌアは急いで、二人の元へと向かおうとした。
その騒ぎに、周りも不安になって集まっている。
そして人混みの中で、声がした。
「おい!二人ともやめるんだっ!」
その声はキルラだった。
しかし二人の睨み合いは続今ていた。
すると、あろう事か社交界には相応しくない物が、レアスの腰から出て来た。
剣である。
(え?何で剣なんか持ってるの?てか…何あれ?)
カヌアはその目で視たことのない、異常モノを視てしまった。
(な…んで?レアス様?のフラフィーが…黒いの…)
そして、レアスの剣がリアスへと振り下ろされた。
咄嗟にリアスは避ける。
そして、近くにいた護衛の腰から素早く剣を奪った。
「リアス!?どうしちゃったの!?こんなことして!!あの件なら僕は何度も言ってる!やったのは僕じゃないっ!証拠だってあ…」
するとまた、レアスの剣がリアスへと向かう。
その剣を受け止めるリアス。
「嘘だ!嘘をつくなよ!全部聞いたんだ!お前がやったって!だから勝手に行動してたのか!?ずっと俺が邪魔だったのか!?双子は不吉だからって信じてるのか!?」
その剣に力を込めるレアス。
そして、カヌアは更に目を見張った。
(え!?リアス様のフラフィーも黒く…なり始めてる…?マズイ!!よくわからないけどマズーーイッ!)
カヌアは更に騒ぎの中心へと慌てて向かった。
しかし人が多くて中々進めない。
その時、渾身であろう一振りが振り下ろされた。
それをギリギリのところで食い止めるリアス。
そして、一度それを跳ね返すと、すぐ様もう一振りが…今度はリアスの首元を狙って。
皆が目を瞑りたくなるような光景が、脳裏に浮かんだ。
そう…誰しもが残酷な…光景を。
しかし、覚悟した次の瞬間、鈍い音が聞こえた。
それは剣の交わる音でもなく。
首を切られた痛みのある声でもなく。
双子はその瞬間、目の前の剣に血が滴るのを見た。
そしてその血は、自分達の血でないことにすぐに気が付いた。
なぜなら美しい黄色のそのドレスに、赤い色の点で染まり始めたからだ。
それを身に纏っている女性は、両手から血が流れていた。
「カヌアッ!!」
そう叫んだのはキルラだった。
キルラだけじゃない。
誰しもがその光景に目を見張る。
そして、剣を握る力を緩めた双子。
カヌアは二つの剣を、自らの素手で止めたのだ。
剣を持ち合わせていなかったのだから、こうするしかなかった。
二人を止めるなら、カヌアにはなんてどうってことなかった。
そして、カヌアの鋭い目は二人へと向けられた。
「あんた達…何やってんの?今…何をしようとしてたか…わかる?」
そうカヌアに言われ、黙る二人。
しかしカヌアは止まらない。
「ねぇ…一体どうした?これが何になる?唯一無二の存在をこんな事で汚すの?なかったことにするの!?あんた達は‘ひとつ‘なんでしょ!?ならなぜ、信じてやれない!?」
「それは…リアスが…勝手に…いつも一緒にいるのに…あの時だけはひとりで…いなくなって…見えなくなって…」
少し震えながら言うレアス。
「そうね…今までがお互いを、思い合いながら生きて来たのはわかる…ただね、あんた達はそれぞれ違う人間なの。わかる?あなたはレアス!君はリアス!…あれ?合ってる?とにかく、全くおんなじに合わせる必要なんてないんだから、それぞれ自由にやれば良い。それでお互いの行動が見えなくなって、それで見えない物を信じられなくなって、勘違いして、話し合いもせずに…片方が傷付けば気持ちは痛いかもしれないけど、実際は傷つけられた方だけ!ここで傷つけられた痛みは、片方は感じない…感じられないんだよ!?そして、もう二度と戻って来ない…取り返しがつかなくなる。それに…そんなんでお互いがバラバラになるなんて…私には耐えられない!見てるこっちが胸が苦しくなるんだから、その苦しみ以上にあんた達はもがくはず…」
カヌアは手から滴る傷の痛みを感じなかった。
それよりも、二人の心が離れていく、その痛みの方が辛く苦しかった。
「うん…。ごめん…ごめん…リアス」
「僕も…ごめん…僕は何よりレアスが大事だから…」
二人の王子は、堪えてた涙が溢れながら言った。
二つのフラフィーが白く戻るのがわかる。
「カヌアさん…傷…ごめん、ごめんね…ありがとう」
「もっと早くちゃんと話せれてば…」
泣き崩れながら言う二人を見て、嬉しい以外の感情はなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。
大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。




