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episode81〜レース中の悲劇〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。


馬術部門の四日目。


その人数は十分の一の五名となっていた。


そしてカヌア達が今いるここは、王都グランシャリオから北西の森である。


サラの家からとても近い。


彼女の父が、このキュグニーの森で猟をしている。


獣も多く、王宮主催の狩りによく使われる場所でもある。


本日の種目は森林レースである。


ルールは簡単。


森の中をスタート地点から、ゴールまでただ突っ走るのみ。


多少道は険しいところはあるが、二回戦みたいな障害はない。


そして、今日もカヌアは全力を尽くす予定だ。


出場者五名が、スタート地点へと立つ。


(ん?何であの二人、あんなに離れているんだろ?)


カヌアのその視線の先には、双子の王子の姿があった。


少し疑問を抱えたが、今はレースに集中することにした。


開始の合図と共に、その場の全員が一斉に走り出す。


レグはいつものごとく、険しい道をモノにしていた。


なのでカヌアは身体に負担をかける事なく、安心しての乗っていられる。


現在カヌアは、三位をキープしていた。


後ろにはウィルとレアスがいる。


(ん?ウィル様?やはり具合悪そう…)


カヌアはウィルの様子を見て思った。


三十分ほど走って、あと少しでゴールというところまで来た。


ふとカヌアは、後ろに寂しさを感じて軽く振り返った。


(あれ?誰もついてきていない…)


いや、かなり遠くの方にレアスの赤髪が見えていた。


しかしウィルの姿はなかった。


(え?ウィル様?)


カヌアは猛烈に嫌な予感を感じた。


しかしゴール地点が既に見えていたので、そのままスピードを落とさずに走った。


そしてゴールするとともに、監督者から三位の称号が言い渡された。


それを聞いたカヌアは、そのままレグをUターンさせ、元来た道を一直線に戻った。


(何だろ?この胸騒ぎ…ウィル様…?)


途中レアスとすれ違った。


レアスも何事かと思ったが、カヌア自身ががすれ違ったことにも気が付かないほどであったので、そのまま走り続けた。


カヌアは、更にスピードを上げた。


すると遠くの方に、数名が集まっているのが見えた。


そこの中心にいたのは、カブラに抱えられたウィルであった。


カヌアはその場に急いで行くとレグから降り、ウィルの元へと駆け寄った。


「ハァハァハァハァ…ウィル…様?ウィル様っ!?一体何があったのですか!?」


カブラが、心配そうにウィルを見つめながら応える。


「ウィル様は…途中で倒れられました」


「え!?落馬したんですか?」


「いや、危ういところでしたが、その前に自ら馬をお止めになられたので。落ちる寸前で私が支え抱えました」


カブラがそう言うのを聞いて、カヌアは少しホッとした。


しかし、顔色の悪いウィルを見て、不安な表情は拭えなかった。


カブラが王宮からの迎えが来るまでの間、木陰にウィルを休ませた。


「ここ最近、顔色があまりよろしくなかったですものね…やはり無理なさってたんですね…ウィル様」


カヌアが心配そうに言う。 


(そうだ!)


カヌアは何やら思い出したように、ポケットからある小袋を出した。


「カブラ様、飲み水をお持ちですか?」


「はい…ウィル様にですか?でもこの状況だと飲めな…」


と言いかけたカブラだが、カヌアのその目を見て悟ったようで水をスッと渡した。


「あの。皆様あちらを向いてもらってても、よろしいでしょうか?」


カヌアが周りの人達にそう言うと、全員ウィル以外の違う方向を見た。


すると、カヌアは持っていた例の薬を自分の口に含み、水を入れた。


そして、そのままウィルの口へと流し込んだのだ。


飲み込むまで、口で蓋をするように長い間そうしていた。


(あぁウィル様ごめんっ!でも…何だろ?この感じ…どこかで身に覚えが…)


カブラは人としては見ない方がいいと思っていた。

しかし、殿下の側近としては見て確認する必要があったため、それを盗み見た。


(あの薬は…?それにしても何でしょうね…このむず痒い感覚は…)


と思いながら、カブラは再び遠くの方を見た。


ウィルが飲み終わった頃を見計らって、カブラがカヌアに近づいた。


「カヌア様…今ウィル様に与えた薬は…」


(やはり見ていたか…)


「…はい…以前私の具合が悪くなった際に、ルヒト様から頂いたものと同じ薬です。その時に予備を一つ頂いてたので…すいません…勝手に与えたりして…ウィル様の身に何かあれば、私が責任を取ります」


そう、あの時確かに、カヌアはルヒトから予備の漢方薬をもらっていたのだ。


それを常に、ポケットに入れて持ち歩いてた。

ウィルに飲ませたのはその薬だった。


「あの、カブラ様…申し上げにくいのですが、このことは内密にお願いできますか?その口から薬を流した事は…」


「大丈夫です。何を飲まれたのかはご報告しますが、どうやって飲んだのかは口外致しません。薬の成分も、後ほどルヒト様から詳しく聞いておきますのでご安心を」


そうカブラが言うのを聞いて、カヌアはホッとした。


さすができる従者。

話がわかる。


その後ウィルは棄権扱いとなったが、既にカヌアが三位の称号を得ていたので、ウィルはどちらにしろその時点で四回戦敗退となった。



ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。

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