episode80〜違和感だらけ〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
宝玉を手に入れた三人は、スタート地点の監督者のいる元へと向かっていた。
カヌアは、先程からずっと右手の痛みを我慢していた。
監督者のいる場所に到着すると、半分以上は既にいたであろうか。
皆その手には、宝玉らしき物を持っていた。
(あれ?おかしいな…宝玉の数は、全部で六つって言ってたような…)
そして、全員が揃うまで待っていると、ウィルの姿が見えた。
カヌアは朝からのウィルの体調が気になり、話しかけに行った。
「ウィル様?今朝方から体調が、あまり良ろしくなさそうでしたが大丈夫ですか?」
「あぁ、さほど悪くはない。少し寝不足でな」
そう言うウィルに対して、カヌアは少し気まずそうに言った。
「やはり…私の寝相の悪さであまり眠れなかったんですね…二度とそのようなことがないように、今後ご一緒するのは…」
「それは違う…カヌアのせいではない。自分の問題だから…心配してくれて嬉しく思う。それより宝玉は見つかったか?」
「はい!レアス様とリアス様が手伝ってくれて…あ、これ、反則になりますかね?内緒でお願いします」
人差し指を口元に当ててカヌアが言う。
(可愛い…)
そう思いながら、ウィルはカヌアをフォローするように言った。
「いや、ルール上は問題ないだろう。ただし、それが本当に本物かどうかだ…」
(ん?ウィル様もあの二人と同じようなことを言ってる…やっぱり隠されていた宝玉には、本物と偽物が混ざっていたのか…私一人じゃほんと、無理だったな…)
そうしてる間にも、最後の一人が到着したようだ。
順番に監督者の元へと並ぶ。
そしてカヌアの番が来た。
監督者が手を出して、宝玉をと催促してくる。
それをカヌアは渡そうとした。
が寸前で手を引っ込めた。
(ん?あれ…そういえば…)
カヌアは、その宝玉を監督者に渡さずに見せた。
そう、最初の説明で言われたのは‘見せること‘だったのを、カヌアは思い出したのだ。
すると、監督者は頷き、持っていたボードに何かを書き始めた。
下がっていいと言われ、カヌアはまた待機場所へと戻って行った。
そして、最後の一人が監督者の元から離れ、こちらへと戻って来る。
監督者もこちらへ来ると、次々と名前をあげ始めた。
「アルデリア国、ウィルテンダー殿下、カヌアーリ嬢。
サルミニア国、レアス殿下、リアス殿下。
スプルミア国、ルヒト殿下。
以上この五名が、第四回戦への出場となります」
カヌアはウィルと顔を見合わせ喜んだ。
(でも五名?誰か見せないで渡しちゃったのかな?)
そう思いながらも、レアスとリアスの元へと駆け寄り、喜び合うと彼らにお礼を言った。
そんなカヌアを見ていたウィルは、その異変にいち早く気が付いていた。
その夜、王宮にてカヌアの部屋の扉を叩く音がした。
カヌアが返事をすると、ウィルが入ってきた。
また、何やら手に持っている。
(いつも何かしら持ってきてくれるな…)
カヌアはそう思いながらも、ウィルに挨拶した。
「ウィル様、本日はお疲れ様でした。こんな時間にいかがされました?」
するとウィルはカヌアに近づき、右手を優しく持ち上げて触った。
「いっ…」
カヌアは痛みで顔を歪めた。
「やはりな…カヌア、手首を痛めてるんじゃないのか?」
ウィルにそう言われると、見抜かれてると分かったカヌア。
競技中に双子の王子と、何があったのかを説明した。
「そうか…もちろんそれは早急に調べさせよう。それより、まずは手当てをしないと」
ウィルはソファに座り、カヌアの右手を軽く冷やしてくれた。
その手は冷たく気持ちいいが、顔の方は熱く恥ずかしい。
そして薬を塗ると、ウィルは丁寧に包帯を巻いてくれた。
(ウィル様器用〜)
カヌアは感心しながら、それを眺めていた。
巻き終わった後、ウィルは考えるように言った。
「それにしても、最近不審な事件が多いな。不思議な現象も…一体何が起こっているんだ…」
不審な事件は確かに多々起きている…
ここで少しおさらいをしておこう。
全てが繋がっているのかどうかはわからないが…
ウィルとカヌア、ニーナとロザリーとともにトゥバンの丘へと乗馬に行った帰り、カヌアが矢で狙われた件が最初であった。
その後、アルガダへ遠征に行った際、キルラの王家の証が盗まれた。
またその二日後には、アルガダの剣舞当日に楽器が何者かによって壊されていた。
そして遠征から数ヶ月後の今回の武道大会でも、王宮内厩の近くの古屋のボヤが起こり。
更に今日、レアスの馬の鐙が故意に壊されていた。
そして一番気になっていたのは、今回の武道大会の開会式から感じていた。
例の強烈な光の件だ。
各国の忠誠を示すため、誓いの行動によってそれは起きた。
各々の王家の証を重ねた瞬間、眩い光が国中を覆ったのだ。
そして、昨夜の地震だ。
この国では地震は滅多に起こらない。
しかし、いきなり大きな地震が起こったのだ。
どの事象においても、未だ真相は解明されておらず、不明のままだった。
ウィルは国中が不安に陥る前に、何とかしないと思っているが、それが中々進展せずにいた。
それに加え、共通の夢やカヌアの個人的な不安要素である、花模様のアザの男の件もあったので、尚更用心しなければと思っていた。
するとカヌアは口を開いた。
「ウィル様…処置して下さり、ありがとうございます。確かに最近不可解な事件が起きていますね。不安じゃないと言ったら嘘になりますが…ウィル様はちゃんと休めています?私には、背負い過ぎているように見えます。それに加え、いつも私なんかを心配してくれて…あまり根詰めないよう、お身体大事にして下さいね。私にも何か手伝えることがあれば、何でもおっしゃっ…」
「なら…少しの間だけ。このままで…肩を貸してくれないか?」
心配してくれるカヌアに少し力が抜けたのか、ウィルはカヌアの肩に頭を寄せた。
そう言うウィルが可愛く見え、カヌアは愛おしくて仕方がなかった。
「はい…お気の済むまでお貸しします」
顔が赤くなりながらも、微笑んでカヌアは身を貸した。
(あぁ…ダメだってわかってる…でも…ほんと…困るなぁ…)
カヌアは湧き起こる感情を制御しようと、自分に言い聞かせていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。
大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。




