表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/134

episode79〜その宝玉〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



カヌア含め、昨日の第二回戦で残った十二名は、朝食をとっていた。


その後、自身の馬に乗って、次の第三回戦の場所へと向かった。


そこはカヌアもよく知るカリストの森であった。


叔父であるクーロスが、管理を任されている森だ。


この森はグランシャリオから北東にあり、アリオトとミザールの間に位置している。


カヌアは三、四年前からここでよく修行をしていたので、とても慣れた場所だった。


言わば庭みたいなものである。


(そういえばあれから叔父様に会えてないけどどうしているのかな?)


ふとカヌアはクーロスを心配に思った。


開始地点に着くと、監督者が口を開いた。


「これから説明を致しますので、よくお聞き下さい。本日の馬術における第三種目は、このカリストの森にて宝玉を探してもらいます。その数全部で六つ。見つけ次第、この場所に待機していて下さい。制限時間になりましたら、順番に監督者に見せるようお願い致します」


説明後、開始の合図とともに一斉に他方へと散らばる。


チラッとウィルの方を見るカヌア。


(やっぱり、少し顔色が悪いな…)


心配に思うことは多々あったが、今はこの課題に集中することにした。


森の中をウロウロしながら、目ぼしいところを探索していく。


しかしそう簡単には見つからない。


カヌアは森を見上げながら、久しぶりに森林浴を味わった。


森はいつもと変わらず、青々としていて綺麗だ。


いくら庭みたいなものだと言っても、広い森の中で宝玉を探すのは困難だった。


すると、後ろから慌ただしい声とともに馬が近づいて来た。


「うぁぁぁぁあっ!止まって!止まって!」


カヌアはその声に驚いて、振り向く。


その後ろに、もう一頭がその暴走する馬を追うようにして、ついてきていた。


「レアスッ!急にどうしたんだよっ!あっ!まずいっ!踏ん張って!今行くからっ」


その暴走する馬に乗っていたのは、双子の王子レアスであった。


それを慌てて追うのが、弟のリアスである。


(え?待って、あれ、やばいんじゃ?)


カヌアはそのまま通り過ぎていくレアスを、並行して追いかけた。


「レアス様!?そのままもう少し踏ん張って!!」


更にレグをレアスの方へと近づける。


「カ、カヌアさんっ!?も、もうっ…」


レアスの足が外れそうになり、落馬すると思った瞬間。

カヌアがその身体を抱えて、渾身の力を振り絞りレグへと乗せた。


「ハァハァハァハァハァ…怪我はございませんか?レアス様?」


レグを止めて、カヌアは心配して聞いた。


「ハァハァ…カヌアさん…ありがとう…」


レアスはお礼を言うと、震えたその手をぎゅうっと握りしめた。


レアスの馬を止めに行ったリアスが、彼の馬と共に戻ってきた。


その馬は、主人が背中からいなくなった後、急におとなしくなったようだ。


「一体何があったんですか?」


カヌアが事情を聞くと、レアスが不安そうに応える。


「わからない…この子が急に走り出して…そしたら、片方の鐙が外れてバランスを崩したんだ。でもそのままスピードが緩まらなかったから、体勢を戻す事ができなくて…」


「鐙の部分が?」


カヌアは、レアスの乗っていた馬に近づいて確認した。


「うーん…確かに…ん?んん?これって…すいません。違ったらごめんなさい。多分これは自然に壊れたものでは無いですね…不安にさせるようなこと言いますけど、おそらく誰かが故意にやったものではないかと…」


二人の様子を伺いながら、カヌアは自身の考えを言った。


「え…誰かが…なん…で?」

「何でレアスなの!?どうして…」


二人はショックを受けているように言う。


「そ、それはわからないです…が、とりあえず怪我がなくて本当に良かったです。とりあえず鐙の応急処置をしておきますね!一応自身の馬でないと、失格になるかもしれませんし」


カヌアはその鐙を上手く補強した。


「これで大丈夫かと…あとでウィル様にも報告して、調べてもらいましょう!彼なら必ず助けになってくれます!ね!あ!そうだ!御二方とも、宝玉の方はもう見つかりました?」


カヌアは気を取り直して明るく振る舞う。


二人もカヌアの明るさに少し気を紛らわせられたのか、声のトーンが戻った。


「あ!うん!それはもう見つけたよ!」

「ほらっ!僕達こう言うの得意なんだ!」


二人は少し無理矢理に、ニコッと笑って応えた。


「え!?早い!そうなんですね!私も…ん?」


カヌアは何か言いかけると、少し離れた所に怪しく光る物が目に入った。


それに近づくと、手にしてみた。


「あ、あった!!ありました!これ!宝玉ですよね!?」


それは、光を反射して美しく光っていた。

その宝玉に手を伸ばすリアス。


「うーん、カヌアさん…これは違うね』

「光り方が全然違う。それにニオイも」


二人が揃って、同じこと言う。


(え?光り方?ニオイ!?鉱物にニオイなんてあるの!?)


すると、リアスが何だかクンクンと辺りを嗅ぎ始めた。


それに倣ってレアスも嗅ぐ。


「「こっちだ!」」


双子が同時に同じ方向を指差した。


すると、馬に乗りカヌアに言った。


「「カヌアさんっ!ついてきて!」」


カヌアは唖然としながらも、二人を信じてついて行った。


(マジでどんなニオイ?ここからわかるの?それにしてもさすが双子。シンクロ率がすごい)


そう思っていると、拳くらいの石が不自然に何箇所も積み重なっている場所があった。


二人はその場所…ではなく、その少し離れた場所を探し始めた。


そこは自然に葉っぱが落ちていて、何の違和感もない場所だった。


すると双子がカヌアに向かって、同時に手招きをしている。


カヌアは導かれるまま二人に近づいた。


「カヌアさんカヌアさん!ここを探してみて!」

「ゆっくり優しくね!」


言われるがまま、カヌアはその変哲もない場所を探し始めた。


すると、そこには何ひとつ歪みのないまん丸の玉が埋まっていた。


カヌアはそれを手に取ると、二人は嬉しそうに顔を見合わせて言う。


「あったね!」

「見つけたね!」


「これは…本物ですか?」


カヌアはわからぬまま、そう聞いた。


「うん!そうだよ!この光の屈折具合が、偽物とは全然違うもん」

「確実に本物だね!ほら、太陽に当ててみて!色が変わるからから」


そう二人に言われ、カヌアは宝玉を太陽にかざしてみた。


(確かに、キラキラしてて綺麗。でも…さっきのと何が違うのかサッパリわからない…)


カヌアはそう思うと、一応ニオイも嗅いでみた。

が、やはりわからない模様。


二人のフラフィーも、ニコニコと嬉しそうにしている。


(うーん、嘘ではなさそうだし)


「ありがとうございます!でもどうして?一緒に探してくれたんですか?お二人はもう探し終わってるのに、わざわざ…」


カヌアはお礼を言いながらも、疑問を投げかけた。


「もちろん、カヌアさんだからだよ!さっきのお礼も兼ねてね!」

「僕達ね、カヌアさんのこと好きになっちゃったんだ」


「うん!それにとても信頼もしてるし、ね!」

「ね!」


二人は素直な気持ちを伝えてくれた。


「それはありがとうございます。ふふふ」


しかし、心の中では少し申し訳なく思っていた。


(好いてくれてるのはありがたいけど…未だに二人の見分けがつかないことは言わないでおこう…)


「それにしてもお二人共本当にすごいですね!私には本物と偽物の違いが、全くわかりません。お恥ずかしい話ですが、宝石にはあまり詳しくなくて」


というか全く興味がないのである。


「え!?そうなの!?女の子なのに珍しいね!」

「僕達の出会った女の子達は皆、宝石大好きだったよ!」


二人は非常に驚いていた。


「お二人共、本当にお詳しいんですね!」


「うん!僕達の国は宝石とか鉱物がとても盛んなんだ」

「もちろん、僕達も大好き!小さい時から見てるから詳しくなったよ!」


「ずっと見てても飽きないよね!」

「ね!楽しいよね!」


二人はとても楽しそうに、宝石の話をしている。


その顔はまるで宝石のように、キラキラとしていた。


それを見ていたカヌアも心がほぐれて、笑顔になる。


「ありがとうございます。お二人のおかげもあって、今回の三回戦はクリアできそうです!」


「「じゃあ行こっか!」」


そして三人は、監督者のいる場所へと戻って行った。



戻る途中、カヌアは自分の違和感を再確認した。


(っつ…やっぱり痛めたか…)


レアスを助けた際に右手を負傷してしまった事は、言えないでいた。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ