episode79〜その宝玉〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
カヌア含め、昨日の第二回戦で残った十二名は、朝食をとっていた。
その後、自身の馬に乗って、次の第三回戦の場所へと向かった。
そこはカヌアもよく知るカリストの森であった。
叔父であるクーロスが、管理を任されている森だ。
この森はグランシャリオから北東にあり、アリオトとミザールの間に位置している。
カヌアは三、四年前からここでよく修行をしていたので、とても慣れた場所だった。
言わば庭みたいなものである。
(そういえばあれから叔父様に会えてないけどどうしているのかな?)
ふとカヌアはクーロスを心配に思った。
開始地点に着くと、監督者が口を開いた。
「これから説明を致しますので、よくお聞き下さい。本日の馬術における第三種目は、このカリストの森にて宝玉を探してもらいます。その数全部で六つ。見つけ次第、この場所に待機していて下さい。制限時間になりましたら、順番に監督者に見せるようお願い致します」
説明後、開始の合図とともに一斉に他方へと散らばる。
チラッとウィルの方を見るカヌア。
(やっぱり、少し顔色が悪いな…)
心配に思うことは多々あったが、今はこの課題に集中することにした。
森の中をウロウロしながら、目ぼしいところを探索していく。
しかしそう簡単には見つからない。
カヌアは森を見上げながら、久しぶりに森林浴を味わった。
森はいつもと変わらず、青々としていて綺麗だ。
いくら庭みたいなものだと言っても、広い森の中で宝玉を探すのは困難だった。
すると、後ろから慌ただしい声とともに馬が近づいて来た。
「うぁぁぁぁあっ!止まって!止まって!」
カヌアはその声に驚いて、振り向く。
その後ろに、もう一頭がその暴走する馬を追うようにして、ついてきていた。
「レアスッ!急にどうしたんだよっ!あっ!まずいっ!踏ん張って!今行くからっ」
その暴走する馬に乗っていたのは、双子の王子レアスであった。
それを慌てて追うのが、弟のリアスである。
(え?待って、あれ、やばいんじゃ?)
カヌアはそのまま通り過ぎていくレアスを、並行して追いかけた。
「レアス様!?そのままもう少し踏ん張って!!」
更にレグをレアスの方へと近づける。
「カ、カヌアさんっ!?も、もうっ…」
レアスの足が外れそうになり、落馬すると思った瞬間。
カヌアがその身体を抱えて、渾身の力を振り絞りレグへと乗せた。
「ハァハァハァハァハァ…怪我はございませんか?レアス様?」
レグを止めて、カヌアは心配して聞いた。
「ハァハァ…カヌアさん…ありがとう…」
レアスはお礼を言うと、震えたその手をぎゅうっと握りしめた。
レアスの馬を止めに行ったリアスが、彼の馬と共に戻ってきた。
その馬は、主人が背中からいなくなった後、急におとなしくなったようだ。
「一体何があったんですか?」
カヌアが事情を聞くと、レアスが不安そうに応える。
「わからない…この子が急に走り出して…そしたら、片方の鐙が外れてバランスを崩したんだ。でもそのままスピードが緩まらなかったから、体勢を戻す事ができなくて…」
「鐙の部分が?」
カヌアは、レアスの乗っていた馬に近づいて確認した。
「うーん…確かに…ん?んん?これって…すいません。違ったらごめんなさい。多分これは自然に壊れたものでは無いですね…不安にさせるようなこと言いますけど、おそらく誰かが故意にやったものではないかと…」
二人の様子を伺いながら、カヌアは自身の考えを言った。
「え…誰かが…なん…で?」
「何でレアスなの!?どうして…」
二人はショックを受けているように言う。
「そ、それはわからないです…が、とりあえず怪我がなくて本当に良かったです。とりあえず鐙の応急処置をしておきますね!一応自身の馬でないと、失格になるかもしれませんし」
カヌアはその鐙を上手く補強した。
「これで大丈夫かと…あとでウィル様にも報告して、調べてもらいましょう!彼なら必ず助けになってくれます!ね!あ!そうだ!御二方とも、宝玉の方はもう見つかりました?」
カヌアは気を取り直して明るく振る舞う。
二人もカヌアの明るさに少し気を紛らわせられたのか、声のトーンが戻った。
「あ!うん!それはもう見つけたよ!」
「ほらっ!僕達こう言うの得意なんだ!」
二人は少し無理矢理に、ニコッと笑って応えた。
「え!?早い!そうなんですね!私も…ん?」
カヌアは何か言いかけると、少し離れた所に怪しく光る物が目に入った。
それに近づくと、手にしてみた。
「あ、あった!!ありました!これ!宝玉ですよね!?」
それは、光を反射して美しく光っていた。
その宝玉に手を伸ばすリアス。
「うーん、カヌアさん…これは違うね』
「光り方が全然違う。それにニオイも」
二人が揃って、同じこと言う。
(え?光り方?ニオイ!?鉱物にニオイなんてあるの!?)
すると、リアスが何だかクンクンと辺りを嗅ぎ始めた。
それに倣ってレアスも嗅ぐ。
「「こっちだ!」」
双子が同時に同じ方向を指差した。
すると、馬に乗りカヌアに言った。
「「カヌアさんっ!ついてきて!」」
カヌアは唖然としながらも、二人を信じてついて行った。
(マジでどんなニオイ?ここからわかるの?それにしてもさすが双子。シンクロ率がすごい)
そう思っていると、拳くらいの石が不自然に何箇所も積み重なっている場所があった。
二人はその場所…ではなく、その少し離れた場所を探し始めた。
そこは自然に葉っぱが落ちていて、何の違和感もない場所だった。
すると双子がカヌアに向かって、同時に手招きをしている。
カヌアは導かれるまま二人に近づいた。
「カヌアさんカヌアさん!ここを探してみて!」
「ゆっくり優しくね!」
言われるがまま、カヌアはその変哲もない場所を探し始めた。
すると、そこには何ひとつ歪みのないまん丸の玉が埋まっていた。
カヌアはそれを手に取ると、二人は嬉しそうに顔を見合わせて言う。
「あったね!」
「見つけたね!」
「これは…本物ですか?」
カヌアはわからぬまま、そう聞いた。
「うん!そうだよ!この光の屈折具合が、偽物とは全然違うもん」
「確実に本物だね!ほら、太陽に当ててみて!色が変わるからから」
そう二人に言われ、カヌアは宝玉を太陽にかざしてみた。
(確かに、キラキラしてて綺麗。でも…さっきのと何が違うのかサッパリわからない…)
カヌアはそう思うと、一応ニオイも嗅いでみた。
が、やはりわからない模様。
二人のフラフィーも、ニコニコと嬉しそうにしている。
(うーん、嘘ではなさそうだし)
「ありがとうございます!でもどうして?一緒に探してくれたんですか?お二人はもう探し終わってるのに、わざわざ…」
カヌアはお礼を言いながらも、疑問を投げかけた。
「もちろん、カヌアさんだからだよ!さっきのお礼も兼ねてね!」
「僕達ね、カヌアさんのこと好きになっちゃったんだ」
「うん!それにとても信頼もしてるし、ね!」
「ね!」
二人は素直な気持ちを伝えてくれた。
「それはありがとうございます。ふふふ」
しかし、心の中では少し申し訳なく思っていた。
(好いてくれてるのはありがたいけど…未だに二人の見分けがつかないことは言わないでおこう…)
「それにしてもお二人共本当にすごいですね!私には本物と偽物の違いが、全くわかりません。お恥ずかしい話ですが、宝石にはあまり詳しくなくて」
というか全く興味がないのである。
「え!?そうなの!?女の子なのに珍しいね!」
「僕達の出会った女の子達は皆、宝石大好きだったよ!」
二人は非常に驚いていた。
「お二人共、本当にお詳しいんですね!」
「うん!僕達の国は宝石とか鉱物がとても盛んなんだ」
「もちろん、僕達も大好き!小さい時から見てるから詳しくなったよ!」
「ずっと見てても飽きないよね!」
「ね!楽しいよね!」
二人はとても楽しそうに、宝石の話をしている。
その顔はまるで宝石のように、キラキラとしていた。
それを見ていたカヌアも心がほぐれて、笑顔になる。
「ありがとうございます。お二人のおかげもあって、今回の三回戦はクリアできそうです!」
「「じゃあ行こっか!」」
そして三人は、監督者のいる場所へと戻って行った。
戻る途中、カヌアは自分の違和感を再確認した。
(っつ…やっぱり痛めたか…)
レアスを助けた際に右手を負傷してしまった事は、言えないでいた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。
大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。




