episode72〜失望感〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
オメオクス国のエダリヤの棄権により、武術部門の決勝戦は
カヌアは勝者となった。
その後のアルガダとの対戦では、カヌアの体力がほぼゼロであったため、すぐに決着が着いた。
よって、カヌアは武術部門の二位となった。
これでも十分すごいのだが、本人はとてつもなく不満であった。
(全っ然納得いかないんですけど!!後で文句言いに行ってやる!!)
そして、武術部門が終わりを迎えたその夜…
カヌアは痛めた身体を冷やしたり、傷に薬を塗ったりして身体を労っていた。
(痛ぇ…でも、これ全部自業自得の傷なんだよなぁ…あいつ…ほんと全然傷つけてないじゃん)
すると、部屋の扉からノックの音が聞こえた。
「あ、ちょ!ちょっと待って下さい」
急いで服を着るカヌア。
「ど、どうぞ!」
そう言うと、扉が開きウィルが入って来た。
手には何やら持っている。
「すまない、突然。その…傷の具合はどうだ?今日、かなり無茶な戦いをしたてたように見えたから…」
「あ、今ちょうど薬を塗っていました。そんなに傷は無く…ん?ウィル様それは?」
「患部を冷やす物と薬を持って来たのだが、必要なかったな?」
(えぇー!優しい!)
「ありがとうございます!使いましょう!二度塗りしましょう!」
カヌアは嬉しさのあまり、思わず服をお腹の上まで上げてしまった。
「まっ!待てっ!!大事ないならそれで良い!様子だけ見に来ただけだから!俺はこれでっ!」
ウィルは顔を真っ赤にしながら早口で言った。
そして、部屋から出たと思ったら隙間からウィルが覗いて言った。
「他の奴の前で…ソレはするなよ」
そして出て行った。
(ん?ソレ?…あぁ、コレ…)
カヌアは顔が赤くなりながら、そのまま持って来てもらった薬をもう一度塗った。
そして…
次の部門へと移る。
剣術大会一日目。
カヌアは昨日の武術部門決勝戦の疲れもまだあったが、そんなことよりモヤモヤ感の方が勝っていた。
早く身体を動かしたくて、ウズウズしていたのだ。
(一回戦…ここか…)
カヌアは自身の試合をするステージに行くと、そこには知った顔があった。
「え…嘘…キルラ様?まさか…」
そう、剣術部門の一回戦の相手は、強豪国であるアルガダの第三王子キルラであった。
「一回戦からこの俺と当たるなんてついてるな!カヌア!」
肩を組んで馴れ馴れしくしてくるキルラ。
(早速強い奴と当たるとは…手加減はいらないな)
カヌアは目が爛々としていた。
「そういえばお前、やるな〜。武術部門で二位だったんだろ?」
「ふっ…まぁね!こっちでも手加減はしないから…覚悟して」
カヌアは彼が王子である事を、もう忘れかけていた。
「ふぅ、こう言う形でなく、違う形の手合わせをしたかったんだけどなぁ〜」
そう、怪しい発言をしてくるキルラに、カヌアは睨みを利かせて言った。
「あんた奥さんたくさんいるでしょ?もういらな…」
「だーかーらっ!カヌアもうちに来いって!俺の妻になれば何不自由なく…」
「断る!!」
突然割って入って来たのは、我らがアルデリアの王子、ウィルであった。
カヌアの肩をキルラから奪って、自分の方へと寄せながらそう言うと、カヌア以上の睨みを効かせた。
「はぁ、またお前か…まぁこれからカヌアと、’上手に’手合わせしてくるからそこで見てろよ」
とキルラが嫌味を言う。
そして、更にウィルに近づくと、すれ違い様に何やら呟いた。
「早く物にしないと、誰かに取られるぞ?」
ニヤッとするキルラを、ウィルは鬼程睨みつけた。
「あの、ウィル様?今日まで剣術を教えて下さいまして、本当にありがとうございました。その成果を必ず出してみせます!この剣で!なので心配せずとも大丈夫です。ウィル様も頑張って下さいね!」
カヌアはお礼と意気込みを言った。
「あぁ、カヌアなら大丈夫だろ。とにかく、とにかくだ。よく覚えておけ。一つだけ言えるのは、あいつにだけは近づくな!キルラだけには触れさせるな!わかったか?」
ウィルはカヌアの両肩をガシッと掴んで、個人的感情のアドバイスを言った。
「え?あ、はい。心得ておきます」
(至近距離攻撃が多いってことかな?)
カヌアは真摯に受け止め、とりあえず近づかないようにしようと思った。
そして、ステージに上がるとキルラと向かい合って礼をした。
開始の合図がすると、カヌアは構えに入った。
(え?構えないの?やる気あんの?何でニヤついてるの?)
カヌアがそう思っていると、次の瞬間風が来た。
かと思えば目の前にキルラが現れ、手から剣が弾き飛ばされた感触があった。
その顔は、そのままニヤついたままだった。
しかしカヌアはすぐさま、クルッと身を拗らせて、弾き飛ばされた剣が地面につく前に掴み取った。
(セーフセーフセーーフッ!落ちなければいいもんね)
剣を持ち直し、キルラに向かって剣を突き出す。
ギギギギという音で剣が交わる中、キルラが言う。
「カヌア、もう一度聞く。俺の嫁になれ」
「しつこい!お断りっよっ!」
と言って、身体を離す。
「はぁ、ダメかぁ〜」
残念な笑みを見せるキルラ。
そして次の瞬間…
キルラが素早くカヌアの元へと近づいた。
そして、カヌアの右手を取りニコッと笑う。
(え?あれ?剣…は?)
そう、既にカヌアの右手にあったはずの剣は、飛ばされていたのだ。
気づく間もなく、感触も一切感じない程に。
そして、キルラが突然ひざまづいて、カヌアの右手にキスをする。
会場中がざわめく。
(なっ!こいつぅー、やりやがったな!)
すると、カヌアが大きな声でレフェリーを呼んだ。
「レフェリー!!判定を!」
すると、レフェリーはビクッとして慌てて判定を言い渡した。
勝者はもちろんアルガダ国のキルラとなった。
カヌアは若干イライラ…いや、腹が立ち過ぎてキルラと目も合わせずに礼をし、その場を後にした。
(くっそ!おちょくりやがって!!こっちは…こっちはこの日のためにクソ練習したんじゃっ!!たくさん!たく…さん練習…したのに…)
少し涙目になって、大切なその剣を握りしめながら部屋へと戻った。
こうして、カヌアは剣術部門初戦敗退となってしまった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




