表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/134

episode6〜お見舞い〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。


静かな廊下を心臓の鼓動が響く。


カヌアは今、ある想いを抱えウィル殿下のいる部屋に向かっていた。


(とにかく穏便に済ませたい… リヴール家の名誉もかかっている… )


コンコンコン


「ウィル殿下、お休み中失礼致します」


案内してくれた従者が、ドア越しに声を掛ける。


すると、中から髪の長い綺麗な顔立ちの青年が、静かに顔を覗かせた。


「何だ? ウィル様は今… 」


彼はこちらを見ると、後ろに控えていたカヌアと目が合った。


そして、従者が陛下からの伝言を青年に伝えたところ、すんなりと中に通してくれたのだ。


(ウィル王子の側近か。美しいな、髪が銀色だ)


中に入ると、部屋の奥の方から咳をする声が聞こえた。


「カブラ、どうした?」


そのかすれた声は、美しい造りのベッドからだった。


しかし姿は見えない。


「ウィル様、お客様がお見えになられております。リヴール家のご息女、カヌアーリ様です」


そう言う側近ことカブラの横を見て、カヌアは思った。


(む? この人のフラフィー、めっちゃニヤついてないか?)


それを聞いたウィル王子が、グッと起き上がる。


「突然の訪問お許し下さい。わたくし、リヴール家のカヌアーリと申します。ウィルテンダー殿下、この様なお時間に申し訳ございません。お風邪を召したと陛下からお聞き致しました。お加減の程、いかがでしょうか?」


そう言いながら、一礼するカヌア。


恐る恐る顔を上げてみる。


(うわぁーやっぱ熱すごいんだ。顔が真っ赤! 熱そうだもん… 早く謝って退散しよう)


しかし、動揺が隠さずに、言葉が乱れてしまった。


「あ、あの、私、昨日は申し訳ございませんでした。池で濡れてしまったせいで、こんなお風邪を召されてしま… 」


「ちょっ、すまない。カブラ、席を外してくれないか?」


何かが気になったのか、話を遮られてしまった。


するとウィルは、カブラに目を向けた。


カブラは、二人のとんでもなく間にいたのだ。


本人はスンとして立っているが、食い気味で話を聞いているように見える。


目が笑っていたのだ。

彼のフラフィーはというと、肩に乗って舞い上がり状態で聞いてる。


(本人とフラフィーのギャップがすごい)


「これは失礼。わたくしめが聞いてはよろしくないような、お話もあるかもしれませんしね。どうぞごゆっくりと、存分に、お話しくださいませ」


(含みがある言い方だな。いや殿下、風邪引いてて辛そうだから)


「昨日の件は特に気にしてない。お前は… 引かなかったのか、風邪」


王子から、まさかの優しいお言葉が飛んできた。


「あ、はい! わたくし、昔から身体だけは丈夫な様で」


「そうか… 」


ウィルは安心したように、フワッと笑った。


(なんと! 王子スマイルーー! え!? 笑ったよね今!? それとも、「へっお前はいいな!」 的な笑い? どっち!?)


フラフィーで確認をと思ったカヌア……

しかしおかしな事に、視えるはずのソレが見当たらない。


「ニーナから全て聞いている。それにその場で見てたからな、ずっと」


(え? ずっと? いつから? 見張られてたのか)


「私も先程知りました。まさか、あの美少… お嬢様がニーナ王女だったなんて… 」


「ニーナは茶会を、とても楽しみにしていたからな。嫌な結果にならずに済んでよかった。俺からも礼を… 」


(ん?)


「お前… その眼の色… ゴホッゴホッ」


「殿下、どうかお身体を横にして下さい。とてもお辛そうで… 」


焦ったカヌアが近づいて、毛布をかけようとした瞬間…


「だ! 大事ないっ! 下がれ!」


思いがけず、強い口調になってしまったようだ。


(あ、馴れ馴れしかったかな。怒らせ… )


「そ、その、移したら大変であろう… 風邪を」


表情は毛布で隠れて見えないが、その口調が和らいだのはわかった。


(えぇー優しいじゃん、王子〜ツンデレかよ!)


「お心遣い痛み入ります。それでは、そろそろ失礼致します。早く良くなるようお見舞い申し上げます」


そう言って、カヌアは一礼し、部屋を後にした。


そして部屋を出ると、カブラが立っていた。


「本日はわざわざ足を運んで頂き、ありがとうございました。またいつでもいらして下さいね」


(フラフィーが視えるのに、何を考えているかわからないなこの人)


カヌアはぺこりと会釈をして、家族の元に戻った。


カブラがウィルの元へと近づき囁いた。


「彼女、また来てくれますかね? 仲良くなれました?」


「… うるさい」


ウィルは頬をまだ赤くしながら、弱々しい声で返した。


「ふふふふふ。おやすみなさい殿下」


そう言い、優しく部屋の明かりを消したカブラ。


ウィルはふっと笑みを浮かべ、深い眠りについた。





そしてカヌアは家族と合流してから、馬車で帰宅した。


屋敷へ戻ってから、ウィルの言ってた事が少し気になり、鏡に顔を覗かせていた。


(あ、可愛い… 私)


その前に自分を愛でていた。


(この国の私、そう ’カヌアちゃん’ はお目目がクリクリで可愛い! 父、母ありがとう!)


ニヤニヤが止まらない。

自画自賛が止まらない。


(…… )


(…… この顔は、うん、封印しとこう。台無しになるわ)


「それにしても眼の色って?? 何だ?」


(別に変わりなく茶色だけど?)


カヌアは不思議に思ったが、明日は朝早く家庭教師が来る予定なので、もう眠らなければならない。


今日は本当に疲れた。

そして明日から、またレディーへの道を黙々と進まなければならないと思うと、少し憂鬱な気分になった。




ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ