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episode68〜すり合わせ〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



武術部門の一回戦が終わり、カヌアは今の一戦で少しやらかしてしまったと後悔していた。


(あー私の令嬢キャラは何処に…)


カヌアはその場を後にしようと、ふと他のステージのフラフィー達が気になった。


その一戦は始まったかと思ったら、一瞬で歓声が上がり終了したようであった。


(え?秒で終わった?なんて強者…どれどれ…)


偵察魂を持って覗きに行ったカヌア。


するとそこには知った顔があった。


「クーロス叔父様!?」


カヌアが叫ぶと、物足りなさそうな顔をしたクーロスがこちらへ気が付くと近づいて来た。


「あぁ、カヌ…」


「キャーーーーッ!叔父様何でここに!?いつの間に出場してたんですか!?言ってくだされば良かったのにぃー!もうっ!すごく嬉しいっ!」


カヌアは無心で抱きついた。


クーロスはカヌアに抱きつかれ慣れはしていたが、流石にこの場でそれをされるのはバツが悪かった。


カヌアを引っ剥がし場所を移動した。


もちろん、それに嫉妬や驚いた者はいた。


大いに嫉妬した者もいた。一名…


「カヌア…ここで抱きつくのはやめなさい…ほんと、勘弁してくれ…」


クーロスが困ったように言った。


「え!?何でですか!?何でそんな悲しい事言うんですか!?ひどいひどいひどい!」


まるでめんどくさい恋人のようだ…


「それより、一回戦見てたぞ?あんなデカブツを一瞬でやるなんてな。さすが俺の一番弟子だ。それに何だか雰囲気が…変わったな?」


(一番弟子…嬉しいけど…弟子?)


カヌアは変なとこに引っかかっていた。


「そうなんです!その人の空気を感じ取ってみました!王宮に通ってるうちに色んな事があって、色んな人と対戦して、わかったんです!その人にしかない、その場にしかない空気があるんだって。動きはもちろんですが、息遣いも瞬きも人それぞれ皆違うんですよ!面白いですよね!それに、武術の指南がめっちゃくちゃ強いおばあちゃんで、その人がまるで空気そのものなんです!」


カヌアが楽しそうに話していると、クーロスは微笑んで言った。


「あぁ、確かに…あの人は本当に空気みたいだ。めちゃくちゃ怖いけどな」


「え?知ってるんですか?」


「レアさんだろ?俺は彼女の一番弟子だからな」


「え!?ええぇえ!?じゃあ…もしかして…前に言ってた、叔父様を武術の指南に頼んで来た人って…」


「あぁ、レアさんだ。何も言ってなかったのか?」


「はい…あ、でも、叔父様の事を一度聞かれた事があったような…」


「そうか…とりあえず一回戦突破おめでとう!これからもっと強いやつと当たるぞ?油断するなよ…あと…その腕を離せ」


カヌアがぎゅうっと組んでいた、自分の腕を見て言った。


不満そうに頬を膨らませて渋々離したカヌア。


「じゃあな」


そう言うクーロスの背を、寂しそうに見つめながら見送る。


「あぁ…素敵すぎる…」


するとそれを終始見ていたストー…ウィルが近寄ってカヌアに話しかけてきた。


「今のは誰だ?」


「わっ!ウィル様!試合は終わったんですか?」


(見てなかったのか…)


残念に思うウィル。


それよりクーロスの事がものすごく気になるようで、前のめりでカヌアに聞いた。


「あぁ、勝った。それより今のは知り合いか?かなり親しそうだったが?」


「あ、はい!幼い頃から可愛がってもらっているので。彼は母方の親戚のクーロス叔父様です」


ニマニマしながらカヌアがそう言ったので、嫉妬は残るもののウィルは少し安心した。


「あぁ、武道の師だったな。出場してるのか?」


「はい。私も今知って驚きました。ほんと秘密主義〜。しかも武術のレア指南のお弟子さんだったんですって!」


嬉しそうにカヌアが話していると、ウィルも微笑んで言った。


「そうか。それならかなり強いんじゃないか?強力なライバルだな」


(カヌアの小さい頃をよく知っている…)


未だ嫉妬が拭えないウィル。


「早く当たりたいです!」


前向きに言ってるカヌアだが、ウィルは先ほどの開会式のことが気になっていたのでカヌアを自室へと誘った。


「わざわざ移動してもらってすまないが、どうしても確認しておきたいことがあってな…先程の…」


ウィルが先程の事を言おうとしたが、察していたカヌアは口を開いた。


「開会式での強い光ですよね?あれは一体…何だったんですか?以前も同じようなことが?」


「やはり…カヌアも感じていたか。いや、あんな現象は初めてのことだ。驚いたのはそれだけではない…」


ウィルが次に何を言おうとしてるのか、カヌアは心臓の鼓動が早くなるのを感じながらその言葉を待った。


「視えたんだ…‘光の道‘が。あれは…」


その瞬間、ガタッという音と共に椅子が倒れた。


カヌアが勢いよく立ち上がったのだ。


とても驚いた顔をするカヌアにウィルは言った。


「もしかして…視えたのか?カヌアも、あの一筋を…」


「…ハッ!すすすすいません!びっくりしてつい…私も視ました。周りの人は視えてなかったみたいですが…あれは東の方角に向かっているように見えました。一体何を示していたのか…確認したくてもあれが本当に存在したのかどうかもわからなくて。あまりに一瞬だったので…でもウィル様も視たとなると、やはりその‘光の道‘…はどこかに向かって何かを示していた。でも不思議なのはそれだけでなく、眩い光の中、意識とは関係なく眼が勝手に開いたのです…左の眼だけが勝手に…」


「左眼のみ?どういうことだ…?俺はしっかり両眼で見たぞ?それに、なぜかその光自体をあまり眩しいと感じはしなかった。それも不思議だよな」


二人で考えながら唸っていると、カヌアがふと声を漏らした。


「東…ミザールの街?トゥバン…トゥバンの丘?どちらかに何かあるんでしょうか?どっちかというと、トゥバンの丘の方が何かありそうですけど…私…何か嫌な予感がするんです…その‘光の道‘を視た時もざわざわと不安が込み上げてきて…開会式が終わった直後に気分が悪くなり…」


また少し顔色が悪くなり始めたカヌア。


そんな不安がるカヌアを見て、ウィルは近づいて背中を優しくさすってくれた。


「すまない…この話はこちらでももう少し調べる。それからまた話そう。大丈夫か?」


と言われ、カヌアは深呼吸をした。


「はい、ありがとうございます。先程も具合が悪くなった時に、ルヒト様から怪しい…いやとてもよく効くお薬を頂きました」


「薬!?まさか、それを飲んだのか!?」


「あ、はい。それはもうすっかり元気になりました。あっでも私も、もちろん最初は飲むのを躊躇しましたよ?そしたら、それを目の前でルヒト様も飲んでみせたので…毒ではないと思い…」


何だか怒ってそうなウィルの顔を覗きながら、カヌアは言った。


「はぁ…ほんと、心配だ俺は…いくら目の前で飲んでみせたとはいえ、ほぼ初対面のやつからもらった薬を飲むとは…」


「あ、えぇと、ご、ご心配なく?」


とカヌアは言葉を間違えたのか…ウィルがキッと鋭い目を向けて言った。


「心っ配っだ!以後!二度と!飲まないように!」


叱責されたカヌアは萎縮して返事をした。


「とりあえず、今はこの大会に集中して、例の光の事は後で考えよう。父上からもらうんだろ?褒美を。そのために今まで頑張ってきたんだ。まぁ無理はしないで欲しいが…応援はしてるから…」


ウィルはカヌアをふと見た。


ある意味心配しなくとも、カヌアは既にその褒美のことで頭がいっぱいになっていた。


(いや、ほんと…大丈夫かな…)


ウィルはやっぱり不安だった。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

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