episode67〜森のクマ五郎〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
(やれる!イケる!ぶちのめすっ!)
カヌアは生き生きしていた。
先程のルヒトからもらった薬もどきが速攻効いたのか、目がギンギンにかっ開いている。
一体何が入っていたのか…
武術、一回戦。
対スプルミア国。
カヌアはステージへと上がった。
周りがとてもざわつく中、彼女は堂々としていた。
男でもこういう華奢な輩もいるから、見た目は何とかなっていた。
しかし流石に名前を呼ばれると、周りも女子だと気が付く。
(はいはいはいはい…皆様のフラフィーがバカにした目で、私を見てるのはわかりますよー)
ブーイングが湧き起こる事もあるが、カヌアは気にしていなかった。
「フッ…フフフフフフフ」
むしろカヌアは不敵な笑みを浮かべていた。
(スプルミア…弓が強いみたいだけど、武術はどうかしらね、フッ)
薬のせいか、怪しすぎる笑みが多過ぎて、若干周りが引き始めた。
初戦は人数を早く絞るために、何箇所かのステージに分かれている。
見世物みたいにカヌアのステージには、人が多く集まっていた。
すると、見物人の中に一際目立った方々がいた。
(カヌア…本当に戦ってる…しかもうちの一番の強者と)
とルヒト。
(おいおいおいおい、初っ端からあんな強そうな相手大丈夫かよ)
とキルラ。
(あの小娘…どこかで…)
とエダリヤ。
(わーカヌアさん出場してるんだ!)
(えーカヌアさん何でもできるんだ!)
とレアスとリアス。
(好きだ。カヌアに怪我させたら…タダじゃおかない)
と相手を睨みつけるウィル。
そう、各国の王子達が見に来ていたのだ。
礼をし、開始の合図が鳴る。
すると、相手は中々仕掛けてこない。
カヌアは、ん?と首を傾げた。
(あれ?もしかして女子だから躊躇しちゃったのかな?別にいいの…え?)
すると次の瞬間対戦相手の姿が消えた。
(ハッ!上か!)
とても身軽に見えないその大きな身体が、まさかの一瞬にして高く飛び上がっていたのだ。
カヌアは間一髪の所で横へと逸れた。
(ひぃいいー!!全然躊躇してないぃいー!やる気満々っ!)
とカヌアは思ったが、何か気になったのか男の顔を凝視し始めた。
すると、急に叫んだカヌア。
「顔が怖い!!顔が怖いのよあんた!!」
「…は?」
男は血管が顔に浮き始めた。
怒です。
(あぁ、あいつが一番気にしてる事だよ…カヌア)
それを見ていたルヒトは思った。
「顔が怖くて集中できないっ!」
訳わからない事を言っているカヌアを見て、会場が笑いを堪え始めた。
しかし、カヌアは至って真剣だ。
男は更に怖い顔になり、勢いよくカヌアに向かって来た。
全体重を注いで。
(コワイコワイ…あいつは飛ぶ熊!飛ぶ熊!熊!クマさん…森のクマさん?いや、クマ五郎!)
急にニヤニヤし始めたカヌアを見て、森の熊五郎は少し怯んだがそのまま真っ直ぐカヌアの所へと来る。
カヌアは目を瞑って感じた。
とにかく五感を駆使して感じたのだ。
そして…目が大きく見開く。
その瞬間、ウィルは目を見張った。
(え?左側の目が…緑…?)
しかし、それはすぐに消えた。
ウィルにしか見えてなかったようで、周りはどうなるのか不安や面白がるように見ていた。
(見間違えか…?)
そして、カヌアは避けも逃げもしなかった。
真っ直ぐにその男だけを見た。
男は体当たりをした。
いや、したと思った。
(あれ?今当たった?でも感触が…感覚がない…)
そう男は思ったが、次の瞬間カヌアが目の前に現れた。
「え…?」
そしてそのまま倒れた。
彼が次に目を覚ますのは、それから半日ほど経った後であることは今はまだ誰も知らない。
会場も何が起こったのか、わからない者がほとんどだった。
しかし、各国の王子達は優れた観察眼が備わっていたため、全てを見ていた。
(今…カヌアはあの一瞬で…)
(カヌア…いつの間に…)
(あの娘、見失うとこだったが…)
(ビックリだよ!見えにくかったけど…)
(すごいや!あんな風に…)
(さすがだ…あの速さで…)
そう、カヌアは一度前に出てから、その後すぐに後ろへ後退したのだ。
そして瞬時に、男の首を手刀一本で気絶させていた。
それは本当に見えない程の速さだった。
会場が圧倒され、雰囲気が一気に変わった。
というか、カヌアへの見る目が変わったとも言える。
陛下が遠くの方で感心した声をあげていたのは、側近しか知らない。
慌ててレフェリーが号令をかける。
「しょ、勝者!アルデリア国!カヌアーリ!」
カヌアはフッと笑って呟いた。
「熊五郎、見たか?」
と勝手にあだ名を付けて、少し我を忘れていた事に後で後悔する事になる。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




