episode66〜開会式にて〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
ついに来た。
本日がその待ちに待った、五カ国対戦の武道大会の開催日だ。
開会に伴い、各国の出場者が会場である大広場に集まり、列を成す。
アルデリア国の陛下を中心として、扇形に並ぶ参加者達。
ウィル以外の各国の代表者が前へ出た。
すると全員が陛下の前でひざまづいた。
それぞれ同じような宝玉を取り出した。
王家の証だ。
宝玉といっても紙みたいに薄い厚さの石だ。
すぐに割れそうだが、ものすごい強度の石で出来ているらしい。
(あれは確か…キルラ様が奪われたのと同じ宝玉?)
カヌアはそう思いながら、キルラの方を見た。
そうである。
先日の遠征の際に、キルラが何者かに矢で襲撃され、奪われたその王家の証である。
犯人は未だ捕まっておらず、その証はキルラの元に戻って来てはいない。
よって、証が無いので今回の忠誠の誓いはひざまづくだけになっていた。
他三ヶ国がその証を陛下の前に差し出し、その三つを重ねた。
その瞬間…
会場全体、いやこの国全体を覆うほどの眩い光が放たれた。
それはもう目を開けてられないほどの。
(なっ!なにこれ!?)
しかし、カヌアは違った。
眩しくはあったが、目が自然と開いたのだ。
それはカヌア自身の意思ではなく、誰かが開けろと言ってるかのように…だが、なぜか右目は開かなかった。
左の目で見たその光は、王宮から東の方に一直線に伸びていた。
どれ程も経ってないその時間は、数秒程で終わった。
光が消えると、その場にいた者達に騒めきと動揺が流れる。
「これは…一体…」
カヌアも動揺を隠せずに、周りを見渡した。
しかし、その場にいた全員が目を瞑っていたらしく、その光の線については誰も話していない。
その時国王陛下のお言葉があった。
「静粛に。只今…予想外の事が起きたが、この場を持って武道の正式な開催を宣言致す!全員正々堂々と悔いのないよう臨むように」
その場を収めた。
その言葉に不安が吹き飛んだ出場者は達は、その場で歓声と雄叫びを上げた。
(予想外…って事は以前は光ったことがなかった?気のせいかな…何だか…胸がざわざわする…)
カヌアは東の方を見つめながら思い、少し顔色が悪くなっていた。
その嫌な予感は…そう遠くない未来に現実へと変わる。
カヌアにとっても世界にとっても…
この後は、今いるこの広場で武術の試合があったため、カヌアは一度端へと捌けた。
しかしどうもさっきの出来事が、頭に残って集中できないでいた。
少し気分も悪いので、水分を取ろうと給水場へと向かった。
(あぁ、気持ち悪いな…)
すると、そこへスプルミアの第二王子である、ルヒトがやって来た。
「あれ?君は…カヌアーリ?どうしてここに?」
(げっ!会うとは思ってたけど、ここで!?今じゃないのよ、今じゃ…)
「ご、ごきげんよう…ルヒト殿下。本日はお日柄もよく…大会日和ですね…」
カヌアは気持ち悪く、頭がうまく回っていなかった。
そのため自分が何を言ってるのか、訳わからずにいた。
「顔は全然晴れてないけど…大丈夫?」
「あ…はい。とんだ御無礼をお許し下さい…。先程の強い光で少し…気持ち…ゔぅ…」
カヌアは吐く寸前の状況まで来ていた。
そのままダッシュで厠へと走って行った。
(ふぅ〜スッキリ…)
「…………ハッ!!ヤバい!ルヒト様の前であんな…!」
すると、ルヒトが心配そうに近寄って来た。
「え?ほんと大丈夫?カヌアーリ?」
「え!?ル、ルヒト様!?まさかここでお待ちになられてたんですか!?」
「あ、うん…相当顔色悪かったよ?あ、でも今は少し良くなったのかな?」
ひょこっとカヌアの顔を覗いて、ルヒトが言う。
「あの…急に走り去ってしまい、申し訳ありませんでした…」
恥ずかしいのと申し訳ないのとで、少し顔が赤くなって言うカヌア。
「あ、うん、それはいいんだけど…はい、これ。一応飲んどいた方がいいから」
と言って、薬と水の入ったボトルを渡した。
しかしカヌアはあまり信頼していない人からの薬に抵抗があり、飲むのを躊躇していた。
「あ…ごめんね。怪しいよね。大丈夫!薬っていう薬ではなくて、栄養のある木の実や果物を砕いて乾燥させた物だから。うーん、ちょっと貸して」
そう言って、それを少しつまむとルヒト自ら飲み始めた。
「ほら!ね!何もないでしょ?」
「え!?殿下!?」
驚くカヌアに、優しく微笑むルヒト。
「ふふ、だから心配いらないよ?ね!カヌアーリ」
「はい…」
カヌアはドキドキしながらも、その薬もどきを飲んだ。
(何この王子、天使?…優しい…え?顔も美しいけど心も美しい…こりゃモテるわぁ…)
「ありがとうございます。殿下自らのお手を煩わせてしまいすいま…」
と言うカヌアの口に指を当てて、ルヒトは言った。
「あまり、謝らないで。それにルヒトでいいよ。カヌア」
(この人なんか…リュカ様に雰囲気似とるな…それに、瞳がなんて綺麗な青)
「はい…あ!ヤバい!始まりますよね!行かないと!」
(ヤバい??何語だ?)
カヌアの言動に少し戸惑うルヒト。
「カヌア?もしかして、え?出場者?」
「はいっ!ルヒト様!色々ありがとうございました!また後ほど!」
しかし行こうとしたカヌアの手を掴んで、何やら渡してきたルヒト。
「一応もう一つ渡しておくね。また具合が悪くなったら飲んで」
ルヒトはそう言って、予備にその薬を渡してくれた。
「ありがとうございます!ルヒト様っ!」
そしてカヌアは会場へと走り去って行った。
(ん?待って…本当に出場するの!?女の子…だよね?)
一度は誰もが疑問に思う事を、ルヒトも思って見送った。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




