episode63〜同感〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
五カ国対抗の武道大会まで、あと二週間をきっていた。
そんな中、グランシャリオの都をサーカスのように練り歩く列が現れた。
民達が驚いた表情をして、それらを見る。
しかし、それと同時に笑顔で見ている人も多かった。
馬はもちろんのこと、ゾウやラクダ、熊なんかもいた。
ちゃんと強調されているらしく、とても大人しい。
彼らはとても動物を愛しているらしく、煌びやかな装飾を施してあげていた。
そう、それらはアルデリアから南西に位置する、サルミニア王国の一行であった。
その中心にいたのが、幼く見える双子の王子達であった。
その名もレアス・ルージュ・サルミニア殿下とその弟、リアス殿下である。
カヌアは例のごとく、王宮からライバルになり得る輩を偵察していた。
その手にはウィルから借りた、高価な双眼鏡があった。
他にも虫眼鏡などの偵察グッズを借りている。
いつ使うのであろうか?
(すごいな…サーカスでも営んでるんか?)
そして彼女の隣には、なぜかまたワイムもいる。
「あれはサルミニア王国の殿下一行ですね。彼らは一卵性の双子で、とても動物に精通してます。おそらく馬術では優勝候補でしょう」
従者改め情報屋として、詳しく説明してくれる。
「なるほど…負けられないわね。てか、あんた暇なの?こんなとこでサボってて大丈夫?」
カヌアはそう言うが、それは何も知らないからこそ言えることである。
ワイムのフラフィーは無表情のままでわかりにくい。
(心外だな…一体誰のためにこんなことを……好きで張り付いてもいないし、ましてやサボってもいないのだが)
と思うワイムであったが、そこはグッと我慢した。
「ご心配なく」
「…まぁ解雇されたら、うちへおいで」
謎のお節介を焼き始めるカヌアに対して、少し呆れ顔でワイムは頷いた。
サルミニアの王子達は、陛下への挨拶を終え用意されていた部屋へと案内された。
引き連れてきた動物達が多いため、特別に飼育するための広場も用意し、その横の部屋で滞在中は過ごすという。
「あくまでも動物達が中心なのね…わかるわぁ〜その気持ち」
更に近くまで来て、偵察しに来ていたカヌアが言葉を漏らす。
そんな姿を見ていたワイムは思う。
(この人こそ暇なんじゃ?とても令嬢には見えない)
それはもう誰もが思っていて、誰もが諦めていることである。
すると後ろから気配もなく、少し幼い二つの声が聞こえてきた。
「ねぇお姉さん達、あの子達に興味あるの?」
「触ってみる?」
「とてもいい子達だよ?」
「おいでよ!」
交互に喋っている双子を見て、混乱している間に動物達のところへと引っ張られていた。
カヌアは馬が大好きだが、他の動物は触ったことがない。
ましてやこんなに大きい動物には、少しビビっていた。
しかし、横を見るとワイムが難なく触っていた。
恐れる心は一切なく、純粋に優しく触れていた。
(あれ?いつもと違うな…フラフィーの雰囲気がとても柔らかい。…あのマスクの下は笑ってたりするの?)
まだワイムの素顔が気になっていたカヌアであったが、硬い皮膚がカヌアの頬をなぞった。
(ビックリしたぁーでも動物はこっちが怖いとわかると全部伝わるからなー。ここは平常心で…)
カヌアがゆっくりとその長い鼻に手を伸ばす。
すると、そっと優しく絡めるようにカヌアの手に触れて来た。
(可愛い…可愛い可愛い可愛いーーー!)
「ふ、ふふふふふふ」
(あっちの子も触りに行っちゃおう、ふふふふふふふ)
カヌアの気持ちは昂っていた。
その様子を見ていた双子の王子は、ワイムにそっと言った。
「あのお姉さん大丈夫…?」
「何かに取り憑かれてるのかな?」
「あの子達を可愛がってくれてるのはわかるんだけど…」
「何だか、皆ちょっと引いてるよね…」
ワイムは笑いを堪えて言った。
「大丈夫ですよ。彼女は純粋に動物が好きですから」
「ねぇ!これから少し乗馬しない?この辺もあの子達に慣らさせたいでしょ?えぇと、レアス殿下とこちらがリアス殿下?」
カヌアが二人を順番に見て言ったが、流石に初見でどっちがどっちかわからない。
だから見事に間違えてはいるが、双子は特に気にしてはいなかった。
むしろ誘われたことが嬉しかったのか満面の笑みで応えた。
「うん!行きたい!」
「もっと気楽に呼んでよ!えぇと、お姉さんの名前…は…」
「あ、申し遅れました。わたくし、カヌアーリと申します。カヌアとお呼び下さいませ」
少し令嬢風に挨拶をしたカヌア。
「それで、こっちがワイム!」
しかし、親しみが勝ったのかすぐに馴れ馴れし…隔たりのない話し方に変えた。
そして各々の愛馬を連れて、カリストの森の方まで乗馬をしに行くことになった。
厩へとレグとワイムの馬を借りに行った際、カヌアは少し違和感を覚えた。
厩番のリアムとワイムを交互に見る。
(ん?二人は顔見知り?まぁ王宮勤めだから普通か…それにしてもフラフィーが…めっちゃ見合ってるよ?)
カヌアは不思議に思ったが、双子を待たせていたので急いで待ち合わせの場所へと行った。
(ん?てか何で私、ワイムと一緒に乗馬までしてるんだ?)
四人は都を抜け、そして街を抜けた。
「はぁ、気持ちいいね!」
「いいね!最高だね!」
「この子達も喜んでるね!」
「ご機嫌だよね!」
その双子の会話に、カヌアは少し安心した。
「すみません。遠距離の旅路で今日着いたばかりなのに、急にお誘いしてしまって…明日以降にすれば良かったですよね?」
カヌアは少し申し訳ない気持ちで話した。
「え?何で?カヌアさんが謝ることじゃないよ?」
「そうだよ?それに僕たちすごい元気なんだ」
「そうそう。ここまでだってゆっくり進んでたから、爽快に走りたかったし!ね!」
「ね!」
そんな風に言ってくれるのを嬉しく思い、カヌアはニコリと微笑んだ。
(二人ともルビーみたいに赤い瞳…とても綺麗)
「ふふ、ありがとうございます。お二人はとても仲がよろしいんですね!」
「うん!仲がいいのはもちろんだよ」
「そうだよ!だって僕達は、二人で一つのようなもんだもの」
「そう!通じ合ってるからね」
「ね!」
カヌアはそんな二人を見て、幸せな気分になった。
どっちがどっちだかわからないが…
するとその様子を見ていたワイムは、カヌアに呟いた。
「双子は双子なりの解釈があり、底知れぬ繋がりがあるのですよ…」
(そう言うものなのか…それにしても本当、何でも知ってるなこいつ)
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




