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episode61〜原因は?〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



先日ファイスの元で、剣を注文してから一週間が経っていた。


剣ができるまでの間、カヌアは他の稽古に時間を費やしていた。


相変わらず弓術は上手ではなかったが、少しずつ的には当たるようになっていた。


「そろそろ筋力も安定して、ブレが少なくなってきたんじゃないのか?」


と言うのは、指南のリビドである。


本日もこんがり焼けた肌に白い歯が眩しい。


「う〜ん、なんですかねぇ…」


「なんだ?しっくり来ないのか?」


「そうなんです…いくらやっても自分のフォームが定まらなくて…なんというかハマる?感じがしないんですよねぇ」


悩むカヌアに、リビドは腕組みをしながら言った。


「そうだなぁ…弓が合ってないのか?練習自体は、遠征の時以外はほぼ毎日やってたしな…」


「なんでしょうかね?この違和感…それがずっと拭えなくて…」


そう言いながら、カヌアは自分の手を見ながら開いたり閉じたりしてみた。


すると、それを見たリビドはカヌアの手をグィッと引っ張って見た。


「お前…ずっとこのグローブでやってたのか!?」


カヌアはキョトンとした顔をして、リビドを見た。


「え?はい…そのまま弓を引くのは痛いので、このグローブで。これとっても丈夫なんですよ?皆さんもグローブしてますよね?」


「これ、馬術用のグローブだろ?これでは弓もコントロールするのは、難しかったんじゃないか?ちゃんと弓術用の’ゆがけ’ってのがあるんだ。お前の場合は練武だな。そうか…今までフォームと、その的の先しか見てなかったから全然気が付かなかった。すまない…俺の管理ミスだ…」


リビドは申し訳なさそうに言う。


「そそそそそんな!リビド指南が謝ることじゃないですよ!私が思い込みでやってしまったとこもありますし」


「いや、カヌアが初心者なのは最初からわかってたのに…」


親身になって悩んでくれるリビドに、カヌアは微笑んだ。


「でも!今わかっただけでも良かったですよ!まだ大会まで二ヶ月以上はありますし、ねっ!だからリビド指南がそんなに沈んでたら、私も集中できませんっ!またご指導お願いしますね!」


そんなカヌアを見て、リビドはふふっと笑った。


「そうだな!これからもっと手を掛けて教えないとなっ」


白い歯を全開にして笑った。


(うんうん!リビド指南はこうでないと!)


とカヌアはその白い歯を見ながら思った。


するとリビドはちょっと待ってろと言い、何かを取りに行った。


「これ、妹のだったんだが、もう必要ないから使ってみてくれ。新品じゃなくて悪いが…」


「えっ!?いいんですか!?妹さんの…?ありがとうございます!……あ!ぴったりです」


そして、再度意気込んで弓を構える。


「これでバッチリいけます!腰、抜かさないで下さいよぉ?ふふふふ」


「よーし!そうだ!放て!」


リビドから掛け声を受けて、カヌアは弓を射る!


「………」  「………?」


「あ…れ?」


「ん?あぁ使い慣れてないグローブだからかもな!よし!特訓だ!」


リビドは大きく外したその弓を見て、やはり練習が一番だと思った。


(なんか気遣わせたような…それにしてもおかしいな…じゃあこの違和感は何?)


カヌアはモヤモヤを抱えたまま、やはり練習あるのみなのだと思った。


そして、それから更に一週間が経ったある日の朝。


ウィルがカブラと武術場へとやって来た。


周りは殿下自ら顔を出したので、少しどよめいていた。


「カヌア!今から一緒にちょっと来れないか?」


その光景を見た周囲が、フラフィーと共に更に騒ついた。


(あぁ、なんか誤解されてる?まぁ、いいか)


気にするのが面倒くさいカヌア。


「あぁ、この後は弓術をしようと…どうかされました?」


カヌアが聞くと、ウィルが少しそわそわした感じで応えた。


「先程ファイス夫妻が来てな、先日頼んだ剣が…」


「行きますっ!!行きましょう!!今すぐにっ!」


カヌアはウィルが言う前に返事をして、グイッとウィルの腕を引っ張って武術場を後にした。


騒つくその場を残して。


応接間にファイス夫妻が来ていると言うことで、急いでその部屋へと向かったカヌア達。


その途中、カヌアは嬉しすぎてウィルの腕をそのまま引っ張っているのに、何の感覚もなく歩いていた。


しかし、ウィルはこれが嬉しすぎて、腕の感覚を噛み締めていた。


応接間では夫妻が、少し緊張した面持ちで待っていた。


王宮に来るのは初めてらしく、この環境に大いに慣れていないようだ。


すると、部屋の扉が開かれカヌア達の姿が見えた。


ウィルの姿を見てまずは挨拶をしようと、頭を下げて言った。


「ウィルテンダー殿下におかれましてはご清祥の…」


「こんにちはっ!ファイスさん!ロディーさんっ!やぁっと!いや!とても早かったのですが、待ちきれなくて!もうできたんですねっ!ありがとうございますっ!この日を今か今かとお待ちしておりましたっ!」


((自由だ))


夫婦は思った。


ウィルへの挨拶を差し置いて、カヌアは二人の手を握って大いに歓迎した。


夫妻はその明るさに救われたようで、緊張が少しほぐれて笑った。


「カヌアさん。こんにちは。お待たせしました。御二方の剣が出来上がりましたよ。確認の程よろしくお願いします」


ファイスがそう言うと、その場に二本の剣を差し出した。


そしてそれを恐る恐る眺めるカヌア。


「さ、触っても?」


「もちろんっ!」


「私の…剣…」


感動でいっぱいになっているカヌアを見て、夫妻も嬉しそうだ。


ウィルも自分の剣を手に取って確認する。


すると、何かに気が付いたようでニコッと笑った。


「素晴らしいな…この技術…細々とやってるにしては勿体無い…」


「お褒めの言葉ありがとうございます。お気に召しましたでしょうか?例の石は…」


ファイスが何やら説明しようとした瞬間、カヌアが感嘆の声を上げていた。


「あぁ〜ん!素晴らしいです!鞘から抜いた時の、この音も良いですね!良いですね!ねっ!ウィル様!」


素が出ていてちょっと気持ち悪い。


すると、カヌアもその何かに気が付いたようだった。


「あっ!ん…?これは?石?え!?まさか宝石…!?」


ファイスの方を見るカヌア。


そしてニコッとしながら頷き、説明し始めた。


「はい。殿下の依頼を受け、剣と鞘に埋め込みました」


「え?ウィル様が…?」


カヌアはウィルの方を見たが、目は合うことはなく少し照れながら剣を見つめている。


「はい。カヌア様の方の鞘には、細かい白翡翠の花紋様のデザインがあしらわれています。そして剣の握りの部分には、一粒の黒翡翠が埋め込んであります。殿下はその逆に鞘に黒翡翠の花紋様、剣の握りには一粒の白翡翠が埋め込まれています。剣の強度は保証します。この二本の剣は同じ鋼からできていますので、いわゆる二つで一つですね!」


(二人で一つ…)


ちょっと違う解釈に変換していたウィルだが、とても満足そうに微笑んでいる…というかニヤけていた。


「素敵…」


カヌアが呟く。


二人とも感動で少し黙り込んでしまったのだが、それが気になったのかファイスが口を開いた。


「あの…何か気になる点がござ…」


「素晴らしいです!本当にっ!何とお礼を言っていいか!大大大大満足ですっ!そうだ!お代金を…」


「あ、それなら既に殿下から頂戴しておりますので」


カヌアはえ?という顔をした後、ウィルの方を向いた。


「え!?そんな!ウィル様!そこまでしてもらっては申し訳ないです!こんな高価な石まで埋めて頂いたのに」


とカヌアは言うが、ウィルはフッと笑った。


「急な注文をしたのにも関わらず、期待以上の物にしてくれた。俺の支払いついでだ。それに金だけはあるからな」


不器用さ満点の言葉を発したウィル。


それを見ていたカブラ。


(ウィル様…そこは大切な人へのプレゼントだとでも言わないと…嫌味に聞こえてしまいますよ)


と思いながら、カヌアの方を見た。


それでもカヌアは感謝の気持ちでいっぱいだったようで、ウィルと夫妻に満面の笑みでお礼を言った。


ファイス夫妻は丁寧にお辞儀をしてお礼を言った後、帰路へとついた。


そこに残ったカヌア達はまだ幸せそうに剣を見つめていた。


しかし、思い立ったようにカヌアが勢いよくウィルの方を見た。


「ウィル様!早速この剣で手合わせ願いませんか?新しいこの剣での初めての一戦、私と」


それに対し、ウィルは……

ものすごく嬉しそうな顔をしていた。


「もちろんだ!やっと特訓ができるな」


そうして、二人は新しい対の剣を手に持ち、剣術場へと赴いた。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

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