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episode59〜大切なものは大切に〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。





五カ国合同の武道大会まで、あと三ヶ月を切った。


これからカヌアは、更にレベルアップするための特訓に明け暮れることとなる。


本人がそうしたいのだから見守ろう。


しかしその前にサラの一大イベント、デビュタントがあるのだ。


そして、陛下からの謁見から一週間後の夜。


リヴール家にて。

今、三男レイルは珍しく緊張していた。


それを見ていたレイルの妹カヌア。


ニヤニヤが止まらない。


それはもう最大級のニヤニヤだ。


その視線を痛いほど感じているレイルは、その張本人に言った。


「おい!準備はもう良いのか?お前も殿下と出席するんだろ?」


「えへへへへへへへ。良いですね!兄様!幸せですね!最高に!楽しみですね!サラのドレス姿!」


「聞けよ…はぁもういい。俺は行く」


レイルはウザさ満点のカヌアを置いて、用意していた馬車でサラを迎えに行った。


その後カヌアもお迎えの馬車が来たので、ウィルと共に馬車へ乗り、王宮へと向かった。


ドレス姿のカヌアに、いつもながら頬を染めるウィル。


「ウィル様、サラのために招待状を送って頂き、本当にありがとうございます!本人もとてもこの日を楽しみにしてました」


「あぁ、そうだな。レイルもきっと喜んでいるだろう」


「はいっ!それはもうっ!とっても!」


カヌアはキラキラ笑顔を無駄に放出した。


(ドレスも社交界もあまり好きじゃないけど、今日はウキウキが止まらない。早く見たいなーヌフフフフフ)


そして会場へ到着すると、やはりこの場は煌びやかであった。


何回来ても慣れないと思うカヌア。


しかし社交界ではいつも隣にウィルがいてくれるので、カヌアはなぜか安心していられた。


社交界に顔を出している重鎮達や知り合いが挨拶をしてくるので、ウィルはそれらに対応するのに忙しかった。


(群がる群がる…さすが、殿下。大変だな…あんなに愛想笑いして…)


そう思いながら眺めているカヌアに、横から長男のロイドが話しかけてきた。


「ほら、来たぞ」


そう入口の方を指差した。


カヌアはその方向を見る。


するとそこから今回のデビュタントに出る女性達が、パートナーを引き連れて登場してきたのだ。


しかしカヌアは彼女しか見えていなかった。


本日の主役サラである。


カヌアは思わず呼吸をするのを忘れた。


それほど、美しく輝いていた。

サラ自身がそうであるのはもちろんのこと、隣にいるレイルが彼女をそうさせているのも否めない。


「あぁ…素敵すぎるぅ〜美しい!綺麗!甘美!!」


カヌアはうっとりとしていた。


(レイル兄様…もっとスマイルできないのかしら?無表情だけど…フラフィーはほんと正直ねぇーふふ)


カヌアの熱烈な視線を感じたのか、サラと目が合った。


サラはニコッと笑い、そして照れていた。


カヌアの時と同様に国王陛下と王妃に挨拶をし、ダンスが始まる。


主役であるデビュタントの女性達が位置に着く。


そして、華麗なダンスをパートナーと踊る。


サラとレイルが一番美しく見えるカヌア。


優雅に踊り終わった二人が、カヌアの元へとやってくる。


「サラ!サラ!サーラッ!」


「ふふ、カヌア、そんなに呼ばなくても」


サラは嬉しそうに笑う。


「今日はおめでとう!本当に本当に綺麗だよ!素敵!お兄様には勿体なさすぎる!」


カヌアは絶賛して言う。


レイルはそんなカヌアを少し睨む。


しかし今日はとても幸せなようでで、心が広いようだ。


「ではでは…」


カヌアは突然、サラの前でひざまづき手を差し伸べた。


「サラ・ブーディ・リーヴナンド嬢、わたくしと踊っていただけませんか?」


カヌアはダンスの誘いをし始めた。


周りは少し驚いたが、ウィルもレイルも微笑んで二人を見守った。


「はいっ!喜んでっ!」


サラはとびっきりの笑顔で返事をした。


もちろん男役の踊れないカヌアは女性役である。


二人はとても楽しそうに踊る。


「サラ!約束!叶えてくれてありがとう!一緒に踊れて嬉しい!そして…早く私の家族になってね!」


カヌアはさらっと言ったつもりだが、サラは顔を真っ赤にして照れていた。


(はぁ…まさか妹に奪われるとは…)


レイルはそう思いながら、二人の幸せそうな顔を見て微笑んでいた。



さて、無事にサラのデビュタントも終わり、皆が幸せでいた翌日。


カヌアはその数秒後に、絶望の淵に立つことになる。


ウィルの元へと剣の指導をしてもらおうと、屋敷で支度をしていた。


そして、部屋で剣を鞘から引き抜いた時にそれは起こった。


引いた時の感覚が妙に軽かったのだ。


「え…?え?」


剣が真っ二つに割れていたのだ。


「ええぇぇぇぇぇぇえーーーーーっ!!!な、なっんっでっ!!?いぃぃぃやぁぁぁあ!」


その叫び声に驚いた家族が、カヌアの部屋に飛んできた。


一番最初に部屋に辿り着いた三男レイルが言う。


「うるっさいっ!なんだお前は!朝から…ん?」


その状況を見て、レイルが近寄ってきた。


「お前…いつから剣の手入れをしていない?」


レイルは、その無惨な剣を手にして言った。


カヌアはガン泣きの顔をあげ、鼻を啜って言った。


「へ?いつからでもないですよ?だっていち…」

「ども?」

とレイル。


「したこ…」

「とが?」


「な…」

「ないのかっ!!!」


ブチギレながら、カヌアの頭を両脇からグリグリするレイル。


「痛ぁっー!」


もがくカヌアに、四男ミルサがすかさず擁護する。


「ちょっレイル兄さん!そんなにいじめないであげてよ!」


カヌアを抱きしめながら言う。


こめかみを抑えながらレイルをじとじとと見るカヌア。


「お前、剣をもっと大事にしろ。そりゃあ、あんだけ剣を気ままに振りまくってたらこうなるだろうな。お前の場合、最低でも一週間に一度だ。俺は毎日確認して二、三日に一度は見てもらっているがな」


「さすが指南〜」


少しおちょくって言うカヌアを、睨みつけるレイル。


(ゔっ…鬼指南)


「剣の整備なら王宮内でもやってるが、今は例の大会の前で依頼が殺到してるから、順番が来るのに時間がかかるんじゃないのか?それに…その剣じゃもう…」


次男のフーリがそう言うと、カヌアは遠くを見つめ始めた。


(クーロス叔父様から貰った剣なのに…新しい剣を買うしかないのか…)


「そういえば…フェクダの街の外れに、鍛冶屋をやっているという小さな店があると、部下に聞いたことがあるな。夫妻でやってるから、あまり商売としては成り立ってないみたいだが…腕は良いらしいぞ?」


レイルのその言葉に、耳をピクッとさせてカヌアが反応した。


(ん?フェクダ?鍛冶屋?)


「レイル兄様、その鍛冶屋の店主ってもしかして車椅子で生活してる方ではないですか?」


「あ、あぁ…確かにそのようなことを言ってたかもしれない。なんだ?知り合いか?」


「はい!ウィル様も知り合いなのでお誘いしてみます!」


早速、走り去ろうとしたカヌアの首根っこを捕まえて、レイルが囁いた。


「殿下に迷惑はかけるなよ?くれぐれも問題を起こさないように、なっ?」


「肝に銘じます…」


カヌアは萎縮して言った。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。


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