episode58〜新たな策略〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
今日は武術の稽古に来ていたカヌア。
そこでは指南であるレアが、鬼の殺し合いのような指導をしていた。
カヌアはとりあえず片っ端から、いろんな人に手合わせを願い、難なくこなしていた。
(あれ?なんか皆手加減してるのかな?全っ然手ごたえがなくて、あっという間に終わっちまうな…)
そうではない。
ただ単にカヌアが強くなっていただけであった。
おそらくこの中で一、二を争う強さではないだろうか?
そしてその中には、レアが怖くて逃げ出した者も少なくない。
しかし、そこに残るのはやはり力がある者。
中でも強い女子カヌア。
まさに最強令嬢に近付いている。
そんな物足りないカヌアの元にレアがやって来た。
「私が相手してやろう」
指南自ら誘って来た。
カヌアはこんな良い機会は中々ないと思い、ありがたく承った。
礼と共にカヌアが仕掛けていく。
しかし、やはりそこはレア。
カヌアの出すどの手も足も全て止める。
軽々と止めては攻撃をしてくる。
まるで空気と戦っているような感覚に襲われた。
(さすが、強い。全てを予測しているのかってくらい止められる。フラフィーの動きも読めない)
そう思い、カヌアは何だか嬉しくなる。
尊敬の意を込めて丁寧に礼をして終えた。
すると、いつもはそのまま去るようなレアなのだが、今日は違った。
「そういえばあと三ヶ月だな?あれからどのくらい経ったんだ?三、四年か?何年かかってるんだか、まったく。それにお前のことだ、もちろん出たいと交渉するんだろ?」
レアが何だか当たり前のように、そう言って来た。
「へ?何のことでしょう?」
カヌアが全くわからないという表情で言ったため、レアは驚いた。
「あ?三ヶ月後にこのアストゥル地方の、他四カ国を呼び寄せて、武道大会が行われるじゃないか。それに…あれ?知らない?と言うことは、こりゃ言っちゃまずかったかの?まぁいいか、いずれわかることだ」
そう言うと、レアはそのまま次の指導のターゲットを見つけ去っていった。
「………っ!」
(き!い!て!な!い!何それ何それ!!絶対楽しいやつじゃん!!絶っ対出るっ!!…うーん、でも真っ向からお願いしても断られそうだしなぁ。ウィル様変に心配性なとこあるしなぁ……あ?…あぁ)
ニヤニヤの顔がどんどん膨らむカヌア。
そのうちとんでもなく悪い顔になり、良い事を思いついたようだった。
「とりあえず、まずは事実確認だな。フッ」
カヌアはほくそ笑んで、武道場を後にした。
そして、いつもの如く一日の終わりに、ウィルの所へ報告をしに行く。
それを聞いている間のウィルの幸せそうな顔。
しかし、この後動揺へと変わるのに、そう時間は要さなかった。
「ところでウィル様?少し耳にしたのですが、三ヶ月後に大規模な大会が行われるそうで?」
と満面の笑みで歩み寄ったカヌア。
ウィルは一瞬たじろいだが、何だか少し考えた後に口を開いた。
「あぁ、そうだ。三ヶ月後にこの国で、五カ国合同の武道大会が行われる。種目は武術、剣術、弓術、馬術だ。何ヶ月も前から行っている稽古はそのために開いたものだ」
いつかわかることだと思いウィルは打ち明けたが、カヌアに隠し事ができないと言うのが本音である。
(あは〜ん、なるほどぉ。計画的だったってことねぇ。あれ?もしかして…)
「ということはもしかして、アルガダ王国に行った本来の目的って…」
「さすが、勘が働くな。今回の武道大会に参加してもらうための説得をしに行ったんだ。三年程前から他の国へはちょくちょく遠征し、説得は出来ていたんだが、どうもアルガダだけはうまく了承が得れなくてな。今回はカヌアのおかげもあってか、やっと了承することが出来た礼を言う。それで…」
ウィルが言いかけたが、カヌアがそれを遮った。
なるほどわかりました。長々とお話しありがとうございました。それでは本日はこれにて、失礼致します」
あっさり挨拶だけして、カヌアは部屋を後にした。
(あれ?あまり食いついてこないな?てっきり参加したいと申し出るのかと…)
不思議に思っているウィルだったが、なぜか少し胸騒ぎがしていた。
そして、ウィルの勘はすぐに現実へとなった。
それから二日後。
カヌアの考えはまとまり、陛下の元に謁見しに足を運んでいた。
そう、長い間溜めておいた、例の‘お願い’を本日やっとしに行くのだ。
王座の間に通されたカヌア。
その場にはウィルとカブラも控えていた。
二人はカヌアが何を願い奉るつもりなのか、少しハラハラしていた。
カヌアが少し緊張気味に陛下に挨拶をする。
「国王陛下におかれましては、ご清祥のこととお喜び申し上げます。本日カヌアーリ・ヴァ・リヴールは先日の陛下からの恩賞を承りたい所存で本日参りました。発言をお許し下さい」
「ほぅ。許す。随分考えたのだな?それで?褒美は何にするか決まったか?確か二つだったな」
陛下は快く承諾してくれた。
「はい、一つ目は後日行われる武術大会に私も参加させて頂きたいのです。そしてもう一つは、その大会において決勝まで進めば各武術毎に恩賞を一つ頂きたく存じます」
図々しいことを言ってるなという自覚を抱きながら、カヌアは頭を下げたまま陛下の応えを待っていた。
「なんと…そう来たか。其方は武術の稽古も全て出ているそうだな?うーむ、少し心配なところもある。今回参加する者は各国かなり腕の立つ物達ばかりぞ。それに其方は女子だしなぁ…うむ、相分かった。各種目三位までにしてやろう。そこに入れば各種目毎に褒美をやる。しかし、これだけは約束してくれ。絶対に無理はしないと」
心遣い満載な陛下の許しを得ることが出来て、カヌアは少しニヤッとした。
が、すぐに真剣な表情へと戻った。
「陛下の広大な御心痛み入ります。全身全霊を捧げる所存でございます」
(イエッッッス!!)
カヌアは心の中で盛大なガッツポーズをした。
この娘、あろうことか元々二つだった褒美を、増やす手段に出たのだ。
なぜなら、カヌアがやりたいことがまだまだあるからである。
まぁその結果はカヌア次第であるが。
その様子を近くで見ていたウィルやカブラの不安が的中してしまった。
(はぁ…そういうことか…)
ウィルがそう思うと、王座の間から出たカヌアに話しかけた。
「カヌア!」
「はいっ!これはウィル様っ!」
カヌアはとびっきりのキラッキラな笑顔で振り向いた。
「まさか、陛下に直接願い出るとはな…本当に出るのか?今度はアルガダだけでなく、他に三カ国も出るんだぞ?しかもどれも武や弓に優れている。本気…なんだな。はぁ…くれぐれも言っておくが無…」
「無茶はするな!ですよね!陛下ともお約束したので大丈夫ですよ!ウィル様のご心配には及びませんわ!ふふふふふふふ」
カヌアはウィルの言うことを把握し、被せて言った。
(ものすごい心配なんだが…もはや出ないと言う選択肢は無いに等しいしな…)
不安に思いながらウィルは口を開いた。
「仕方ない…では俺に何か出来ることがあれば言え…よな…?」
するとその言葉を待ってたかの様に、カヌアはウィルを見つめていた。
「では!私に剣を教えてください!ウィル様の剣は力強いのに、無駄がない。そういう無駄な力は使わないようにしてるのでは?私の腕力でももっと出来ることがあると思うんです!是非!ウィル様にご教授頂けないでしょうか?」
カヌアの熱いお願いは、すぐにウィルの承諾を得ることが出来た。
チョロい。
「わかった。だが、俺も少し仕事が立て込んでてな、あまり時間が取れないがそれでも良いか?」
「はいっ!私も他の種目に時間を割いたりするので、ウィル様に合わせますね!あぁ、楽しみ!」
ウキウキしてるカヌアを見て、ウィルは微笑んだ。
(そんなに俺との特訓が…カヌア…)
それを陰ながら見ていたカブラは思った。
(と言いながらも、ウィル様はしっかりお時間取られるんでしょうねぇ…無理をなさらないといいが。それにしても…まさか陛下が承諾なさるとは…はぁ…次から次へと…)
従者はさらに頭を悩ませていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




