episode57〜素敵な愛情、小さな恋情〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
そして長いようで短かった遠征も終わり、ついに王都が見えてきた。
(帰ってきたー!疲れたー。なんか濃かったな…遠征)
そして、馬車は王宮内へと着いた。
各自片付けをしてから自宅に帰ることに。
カヌアは兄二人とロキを連れて、リヴール家へと向かった。
その途中、二人には事の説明を行う必要があった。
どうやってロキと出会ったのかは、彼らも目撃者の一員なのでそこは説明不要であるが、兄達は若干自分の妹が怖くなっていた。
なぜロキをリヴール家へと連れてきているのかの説明の際に、またお前は余計な事をと怒られると思った。
しかし、理由を話すと意外とすんなり受け入れてくれた兄達であった。
屋敷に到着すると、心配してた四男ミルサと父ラスファが泣きながら出迎えて来た。
周りのフラフィーも相まって騒がしさ倍増だ。
そして盛大に抱きつく。
母アメリは優しくおかえりと言って出迎えてくれたが、ロキの姿を見て不思議な顔をして言った。
「あれ?その子は?」
カヌアは恐る恐るに、そして断固たる決意を持って母アメリに交渉した。
名前はロキであるということ。
暗いとこで住んでいたことがあり、既に家族がいないこと。
今まで悪いやつに利用されてたため、帰りに出会った時には心身ともにボロボロであったこと。
そしてカヌアが助けて今に至ると伝えた。
しかし、最後にカヌアが言おうとしたその言葉は、母アメリによって奪われたのであった。
「あの、お母様うちに…」
「うちの子になりなさい!」
とそうアメリが被せていって来たので、カヌアは驚きと嬉しさで母に抱きついた。
「さすがお母様!大好き!自慢のお母様よ!」
母アメリはその衝撃に驚いていたが、すごく嬉しそうな顔をしていた。
そしてその後すぐ、初日に他国の殿下に楯突いた件でカヌアは怒られた。
その頃王宮では、ウィルとカブラが今回の遠征について話し合っていた。
「それにしても今回はすんなり承諾してくれましたね?カヌア様のおかげですかね?ウィル様」
「あぁ。にしてもだ…キルラのやつカヌアに結婚を申し込んでたとは…フッでも速攻振られたか…まぁカヌアが選ぶ相手は決まっているがな…それにしてもこれで準備は整った」
カブラはなんとも言えない表情で見ていた。
(その自信はどこから?)
そして次の日、アルガダ王国からの帰省による挨拶や報告を兼ねて国王陛下への謁見が行われた。
いつものように、ウィルが先陣を切ってまず挨拶をした。
そして、陛下の目はカヌアに向けられた。
「カヌアーリ嬢。此度は初の長旅、ご苦労であったな。聞いたぞ、アルガダの王子を助けたとな?早い傷の処置にあちらも感謝しておったぞ。それと、壊されたという楽器の代わりも手配したとな?いつもながらに感銘を受ける。そこでだ。その二つの行動に称賛の意を込め、それぞれに褒美をやろう。何か望む物はあるか?」
陛下にお褒めの言葉をいただいたカヌア。
それに対し応えた。
「もったいなきお言葉。寛大なお心痛み入ります。あの…その件に関してなのですが、少しお時間頂いてもよろしいでしょうか?」
「そうか。構わない。今すぐとは言わない、じっくり考えると良い」
陛下のほとんどは優しさでできているのではないか。
(陛下、スキ)
カヌアは心が温かくなった。
そして、その褒美に対してニヤニヤが止まらなかった。
時は過ぎ、アルガダの遠征から一ヶ月が経ったある日。
あの帰りに拾っ…出会った少年ロキは、今ではすっかりリヴール家に馴染んでいた。
恐らく齢十、十一と言ったところだろう。
家族がいなかったために本当の年齢を知らない。
ロキは家族からはもちろんのこと、使用人からの評判も良かった。
いつも笑顔で嫌な顔せず真面目に働いてくれているそう。
そして、最近はミザールの街へもよく行くようになっていた。
「ニヤニヤ。ニヤニヤ」
カヌアは言葉に出しながら、ニヤニヤしていた。
「カヌア様…声に出さなくともわかります…そのお顔を見れば」
気まずそうにしながら、ロキは食器を拭きながら言う。
「ンフフフフフ、ロキは最近良いことがあったのでは?」
ロキはその手を止めずに、少し赤くなる。
「カヌア様、本日はメグレスの街へ行くのではなかったのですか…?」
話をはぐらかすロキ。
「そうだったそうだった!今日はサラのとこへ行く予定なのよねぇ。やっぱり手土産が必要よね!行く前にロザリーのとこへ寄ってお菓子でも買って行っちゃおうかなぁ」
カヌアは含みのある言い方をして、チラッとロキを見た。
ロキはロザリーという言葉にピクッと反応した。
「う〜ん、でも私行ったことないから、どれが良いのか全然わからないなぁ」
これまたわざとらしい言い方のカヌア。
「…どれも美味しいですよ…」
顔は赤いままだが、ちゃんと対応してくれるロキ。
「うん!じゃあ一緒に行ってオススメ教えてくれない?あ、でも仕事がまだ…」
カヌアがそう言うと、ロキの手が素早くなった。
「急いで終わせます!」
食器を拭き終えると、台所から走り去った。
(あぁ、可愛い可愛い)
カヌアの顔は恐ろしいほど、ニンマリしていた。
そして一時間後、二人でミザールにあるロザリーの店へ向かっていた。
店に到着し、ドアを開けると鈴の音が軽快に鳴り、カヌア達を出迎えてくれた。
「いらっしゃいま…カヌア様!それにロキも!今日はどうされたんですか?」
そこには、向日葵のように明るい笑顔を向けてくれるロザリーがいた。
火事の後、綺麗に建て直されたそのお店は、街でも人気なお菓子屋さんになっていた。
そこで働くこの可愛い女の子は、看板娘が板についてきていた。
「こんにちわ、ロザリー。今日はね、これからメグレスの街のお友達に会いに行くの。それで手土産にお菓子を買って行こうと思って来たんだけど。どれがいいか迷うからロキに一緒に来てもらったのよ。ほら、最近よく来てるっていうから、ロザリーに会いにね!」
「カ、カヌア様!」
その言葉に焦ったロキは、顔を赤さを隠せない。
「そうなんですね!ロキはカヌア様の所でお世話になっているんですよね?いつも楽しそうに話してくれるんですよ!」
「ふふふ、そう。ロキも同じくらいの子がいなかったから、ロザリーがいてくれて良かったわ。これからもロキをよろしくね!」
そう言って、オススメのお菓子をお願いした。
それとは別にカヌアが目に入った、可愛さ満点のクマさんの焼き菓子も頼んだ。
「あとこれもください。二つね!」
「はい!お買い上げありがとうございます!」
しっかりした口調でに切り替え、店員としての役割をこなすロザリー。
「ありがとうロザリー。ロキもね!そうそう、今日のお昼はエミリアが支度してくれるみたい。だからそれまでゆっくりしていったら?はいこれ。今日のお礼ね!二人で食べて」
カヌアはそう言うと、今購入したクマさんの焼き菓子を渡した。
二人は笑顔になって、カヌアにお礼を言った。
カヌアは仲睦まじくしている二人を見て、とても幸せな気分になった。
二人のフラフィーなんて肩を寄り添いあってるようにも見える。
そしてそのまま二人を残して店を後にした。
カヌアは店を出た後、メグレスの街へと向かった。
(二回目のサラの家!前回来た時は…思い出したくもないあの男…ケッ)
そう思いながらもサラの家に着き、扉をノックするとすぐにサラが出てきた。
「カヌアッ!いらっしゃい!」
これまた生き生きとした笑顔で迎えてくれた。
そして中に入るとサラのお父さんもいた。
フラフィーが歓迎モードだ。
サラのお父さんにこの間のお礼を深々とされて、カヌアは謙遜した。
そして、先程買ったお菓子を食べながらサラの部屋でガールズトークを繰り出していた。
それはもう止まらない勢いで。
剣術の稽古の話やこの間、遠征したアルガダでの出来事などの思い出話をした。
あと忘れてはいけないレイルとの話もだ。
一ヶ月後に迫った、サラの記念すべきデビュタント。
本来なら貴族以外はほとんど出ることはないのだが、今回はウィルの計らいで招待状が用意されていた。
これは数ヶ月前から決まっていたことだったらしい。
(そういえば、レイル兄様とちゃんと打ち合わせできてるのかな?)
カヌアが少し不安に思っていたら、家の扉が叩く音がした。
カヌアは首を伸ばして玄関先を覗いた。
(あっ!レイルお兄様!)
兄の姿に気が付いたカヌアは、何故か咄嗟に身を隠した。
サラに用があったようで、リビングで何やら話している。
それに思いっきり聞き耳を立てるカヌア。
すると突然、レイルがサラの前でひざまつき始めた。
そして、正式にサラにデビュタントのパートナーとして申し込んだのだ。
二人は赤くなりながら、幸せそうに手を取り合っている。
横にいたお父さんも微笑んでいた。
フラフィーが舞い上がっているのが視えた。
さほど遠くないサラの部屋から、覗き見るカヌアの顔面は、恐ろしい程ニヤついていた。
さすがにその存在に気が付いたレイルが、焦ってこっちに来た。
「お、お前…いたのか!」
カヌアのニヤつきほっぺを、ムギューっと摘んだレイルは、照れを隠しているように思えた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




