episode52〜狙いは〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
キルラは襲撃後、すぐさま王宮に運ばれ手当を受けた。
その時の状況を彼の従者から聞いたところ、キルラ達が門から出るとすぐにそれは起こったという。
斜め後方から何者かが矢を放ってきたらしい。
するとそいつはすぐさま近づいてきて、キルラに手を伸ばしてきたと。
そして、そのまま何かを奪うとすぐに立ち去ったそうだ。
ウィルは深刻な面持ちで言った。
「戻ってきて気が付いたらしいんだが、王家の証が首元から無くなっていたらしい。犯人の目的はおそらくその証かと…」
カヌアはその事に驚いた。
「え!?それってかなりヤバいんじゃ…相手に心当たりはあるんですかね?」
「かなりな…だから国をあげて捜査してるみたいだが…」
「そうですか…それでは明日の催し物は、中止ということになりますよね?」
「いや、それは…どうなるかはわからないが…恐らく…」
ウィルは何やら濁して言った。
幸い矢に毒は塗られてなかった。
それを聞いたカヌア達は、少し安心した。
(王家の証…一体)
カヌアは不安を抱えたまま、まだ眠っているキルラをそっと見つめ部屋を後にした。
次の日、開催日当日…しかし、昨日のキルラの襲撃事件を受けて、一日開催日が延びた。
カヌアは中止かと思っていたが、開催はキルラの強い希望で行われることとなったのである。
キルラは目が覚め、ベッドの上で自身の右手をじっと見つめていた。
すると部屋の扉をノックする音がした。
従者が外を確認して、一度キルラに確認する。
「ウィルテンダー殿下とそのお連れの方々です」
「通せ」
すると、ウィル達が心配そうな表情で中に入ってきた。
「キルラ、具合はどうだ?」
ウィルが声をかけると、キルラは明るく返した。
「なんだぁウィル。そんな顔して!俺は大事ないぞ?全然余裕だ!明日の剣術ももちろん出るぞ!お前達はそのために来たようなもんだもんな!俺だって楽しみにしてるんだ!だから勝ち進めろよ?」
(そのために?ほんとに?)
とカヌアは思ったが、キルラが話しかけてきたのでその考えは止まった。
「お前が手当てしてくれたんだってな、カヌア!礼を言うぞ」
カヌアはそれに対し、頭を軽く下げた。
「殿下、ご無事で何よりです。あの、その犯人に心当たりはあるんですか?顔は誰も見てないんでしょうか?」
「最初は妻達の関係のあった男かとは思ったのだが…姿を見せないようにしていたから、わからない。首にかけていた証を迷うことなく取ったとなると、それを知ってる人物…それに関しての心当たりはないんだ。だが大きさから言って男だったと思う」
(あぁ、女性関係か。まぁこの人ならあり得そうだけど…でも違うとなると…)
そしてその場を後にしたカヌア達。
その日は丸一日空いたので、カヌアは剣術や剣舞の稽古に明け暮れた。
ウィル達は今回の件を受けて、再度警備やら場所やルールの変更やらの打ち合わせをすると言って、忙しそうにしていた。
そして翌日になり、ついに、開催日がきた。
早速午前から剣術が始まった。
今回は各国二十名ずつ程出て手合わせする。
トーナメント式なので同じ国の人と当たることもある。
相手の胸にかかっているペンダントを取った方が勝ちというルールだ。
本来は肩に付けるはずだったブローチを取るというものだったが、ここは昨日の襲撃を受けて変更された件だ。
理由はキルラの傷の位置が肩であったため、傷にできるだけ負担をかけないようにと考慮された。
トーナメントは、最初は他国同士で戦う事になる。
そして、勝ち抜いたもの同士が戦っていくのだ。
さすが、剣大国のアルガダ王国。
カヌアは一回戦二回戦は難なく勝ち抜けたが、三回戦目ともなると中々の強者と当たった。
カヌアとサラは意外にも三人目で敗退してしまった。
カヌアは帰国したら、もう少し剣術に時間を割こうと心に決めた。
そして昨日の件が気になって仕方なかった。
準決勝まで勝ち進んでいたのは、我がアルデリア国のウィル王子であった。
(ウィル様やっぱ強いんだなー!帰ったら少し指導願おうかなー)
しかし、カヌア相手だと浮ついた気持ちになるのが目に見えているので、お勧めできない。
そして準決勝の相手は、アルガダ国第三王子のキルラであった。
なんなくこなす二人だが、そのうち一方のチェーンが外れる音がした。
それはウィルの方であった。
キルラが勝ったのだ。
お互い礼をした後、キルラは何やらウィルに囁いた。
「ウィル、怪我してるからって手加減なんてしてないよな?」
「俺がそんな情けをかけるように見えるか?次うちでやる時は絶対に負けない。アルデリアで待っている」
ウィルは爽やかにそう言い放った。
そうして、決勝は兄弟対決となった。
第一王子対第三王子。
勝ったのはアルガダ王国の第一王子である。
会場内は歓声と称賛の声で盛り上がった。
先日の事件が嘘のようだ。
国王陛下も満足そうにしている。
剣術大会が終わる頃には、既に正午を回っていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




