episode51〜狩る者〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
コンコンコン。
カブラが、その優美な扉にノックをする。
ウィルは先程もここへ来た。
本日二度目のキルラの自室である。
晩餐に行く前に、事故だったとはいえ、無断で浴場に入ってしまったお詫びをしに来ていた。
一応彼も王族なので。
すると、キルラの従者らしき人物が部屋から出てきた。
「はい…これはウィルテンダー殿下。キルラ様ですね。少々お待ちを」
少しすると中へと通してくれた。
中に入ると、煌びやかな装飾や家具などが置いてあった。
見たことのないようなデザインが施してある。
そして、キルラはその中心に位置するベッドの上で、寝そべっていた。
近くには妻らしき女性が何人もいる。
フラフィー達はとてもリラックスしたかのように、浮遊していた。
(何だろうこの感じ…とてつもなく…殴りたい)
カヌアはこの男を目の敵にしていた。
キルラはカヌア達が部屋に入ると、嫌味ったらしく言ってきた。
「やぁウィル。おや?そこにいるのは、先程裸の付き合いをし…」
「していない」
カヌアはボソッと言い放った。
一応王子なのに、それがなかなか頭にインプットされてこない。
それほどキルラの素行が気に食わなかったのだ。
しかし、なぜかキルラはカヌアの言動が鼻につくことはなかった。
「ほぉう、似合ってるじゃないかカヌア」
(ッカァァア!馴れ馴れしく呼ぶな!見るな!)
カヌアは無視した。
「ん?カヌア?弁解しに来たんじゃないのか?」
キルラは更に突っかかるような言い方をしてきた。
「はぁ…キルラ殿下。お言葉ですが、私はあの場で覗き見をしていたわけではないのです。ですので弁解という言葉は相応しくないです。知らなかったとはいえ、勝手に浴場に入ったのは申し訳なかったですけど…要はですね、王宮内を散歩してたら迷ってしまい、その時に湯気が立ち上がってるあの場所を見つけたのです。食堂かと思い覗いたら、足が滑り下に落ちました。そして、目の前にネズ…フッ」
カヌアは思わずニヒルな笑みを浮かべた。
(この女…なんなんだ)
キルラは不思議に思っていた。
「まぁそういうことにしといてやってもいいが…それより食堂かと思って近づいたとは、よっぽど腹が減ってたんだろうな?じゃあ行くか?」
キルラはベッドから起き上がると、おもむろにカヌアに近づいてきた。
そして、カヌアの肩をギュッと抱き寄せて部屋から出ようとする。
(え!?何!?気安い!気安すぎるよ!こいつ!)
キルラは半ば無理矢理連れてこうとした。
そして、部屋の外に出ようとしたら、即座にウィルがキルラの手を取って何故か代わりに自分の肩にその手を置いた。
「え?」
困惑するキルラ。
「さぁ一緒に行こうかっ!」
思ってもない笑顔で、晩餐の会場へと向かったのだった。
そしてまた新たな勘違いがここに生まれることとなる。
(なんか…よくわからなくなってきた…ウィル様もう色々と隠すのやめたらいいのに)
カヌアはそう思いながら、晩餐へと足を運ぶのだった。
そして次の日。
朝食が終わると、ウィルがカヌアの元へ来た。
「ウィル様?どうかなさいました?」
「カヌア、今日は予定が…その…特に予定がなければ街へ行ってみないか?」
勇気を出して照れながら言う。
「はいっ是非!私も行きたいと思ってたんです!初日はバタバタして見れませんでしたから。それに知らない土地だから、少し不安でウィル様がご一緒ならとても心強いです!」
その言葉に嘘はなかった。
ウィルはその笑顔を見て、更に幸せになる。
「では準備出来次第庭の噴水のところで」
そう言うと、一度部屋に戻った。
そして、再度落ち合ってアルガダの王都へと向かった。
街は昨日同様、たくさんの人やフラフィーで賑わっている。
その光景を見てウィルは思った。
(カヌアにはここに、大量の爺さんが飛び回ってるように見えてるんだよな…)
ウィルは思い出して笑いそうになったが、堪えてカヌアに話しかけた。
「カヌアは何か見たいものはあるのか?」
「はい!家族や友人に何かアルガダのお土産をと思いまして」
ウキウキなカヌアを横目に見て、幸せそうに微笑むウィル。
それから、家族にはもちろんのこと、サラやアリーなど気の知れた友人にたくさんの土産物を買った。
カヌアの買い物は基本長いが、ウィルにとってのそれは何にも苦にならなかった。
そしてウィル自ら荷物持ちになっていた。
とても嬉しそう。
一通り買い物が済むと、カヌアは聞いた。
「ウィル様、ついでなのでレグ達の様子を見に行ってもよろしいでしょうか?」
もちろんウィルはノーとは言わない。
そのまま門の近くの厩に行くと、美しい毛並みの彼らがいた。
「レグ〜元気だった?アルも!二人ともちゃんと食べてる?」
愛情を込めて二頭に話しかけるカヌア。
すると、ざわざわと少し騒めくフラフィー達の気配がした。
その中心にいたのが、門を通ろうとしていたキルラの一行だった。
キルラがウィル達を見つけると、遠くから声をかけて近づいてきた。
「おぅ!ウィルとカヌアじゃねーか!お前らも行くか?狩りに…あぁでもカヌアは狩りなんてしないか」
(おめぇを狩ってやってもいいがな)
カヌアはまたニヒルな笑いを浮かべている。
「今日はこの通り二人で買い物をしに来たんだ、二人でな」
ウィルは強調して言った。
「ほぉ、二人でか。わかった!それじゃあな!」
そう言うと、キルラは馬を駆けて門を出た。
しかし、すぐにその声は叫び声に変わった。
カヌア達はすぐさま、その声のした方へと走った。
少し離れた所で人が倒れている。
急いで向かうと、その人物はキルラだと分かった。
左肩に矢が刺さっている。
何者かに後ろから襲撃されたようだ。
彼の従者がその犯人らしき人物を追いかけたようだが、とても速かったらしくその姿はここからは確認できない。
キルラはとても痛そうにしてる。
「おい!キルラ!大丈夫か!?」
ウィルが心配そうに声をかける。
するとカヌアは左の手を肩に、右手を矢の根本に手を置いた。
「キルラ殿下、少々ご辛抱を…」
そう言うと一瞬でその身体から矢を引き抜いた。
血が流出しないように、すぐさま持っていた布で傷口を押さえた。
「殿下!意識をしっかり持って!息を止めずに深呼吸して下さい!大丈夫ですから!」
カヌアは励ますようにキルラの手を握った。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




