episode49〜初外国〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
気持ちのいい風が吹く。
温かい気候特有の風だ。
アルデリア王国を出発してから四日ほど経とうとしていた。
ついに、今からアルガダ王国へと入国する。
ここはアルデリア王国から南東に位置する中規模の国だ。
ここまで共にしてきた馬達はこれ以上中には入れないようなので、入り口にある専用の厩に預けなければならない。
一応自国の厩番を何人か置いて見張らせている。
よって、それまで運んできた贈り物等の荷物は、自分達で運ぶことになる。
(こっから馬で入るの禁止なんだ?まぁお店がぎゅうぎゅうでこれじゃあ通りにくもんねぇ。あれ?でも王宮から乗る人たちは一体どこを通ってるんだろ?)
と少し疑問に思ってたカヌアだったが、まぁいいかとすぐに切り替えた。
街は様々な商人達でとても賑わっていた。
剣などの商品が多く並んでいる。
武器などが盛んなのだろうか。
いかつい兄ちゃんが多い印象的だ。
(前世だったら、アラビアとかに近いのかな?いや、スペインか?皆さん肌の色がいい感じに焼けてるし。色っぺぇ姉ちゃんが腹出して踊ってるよ?あ、剣舞もやってる!大道芸みたい!ぁゃゃゃや!?おヤギさんがいるではないか!)
本来の目的を忘れて大興奮のカヌア。
目移りし放題で、寄り道しそうな勢いである。
そんな娘の首根っこを軽くつまんだのは、兄のレイルであった。
カヌアは苦笑いを浮かべる。
しばらく人混みを歩いていると、行き交う人が多いためサラの肩にぶつかる。
それを即座にレイルが支えた。
「大丈夫か?」
「はい、何ともないです。ありがとうございます」
とサラが照れくさそうに言う。
二人の様子を盗み見しながら、カヌアはにんまりしていた。
カヌアは普段からフラフィーによって、避けることに関しては鍛えられていたが、それでも少し当たりそうになる。
しかしそれでもウィルは一切当たらずに余裕で歩いていた。
(ウィル様もフラフィーから避ける技を?それにしてもなんかこの人混みに慣れてるな。この国にもきっと来たことあるんだろうな)
と考え事をしながら少し油断していたら、大柄な男にぶつかった。
すると、カブラが腕を引っ張り助けてくれた。
「ありがとうございます」
カヌアがそう言うと、それを見ていたウィルはここへと言って、自身のすぐ後ろに誘導する仕草をしてくれた。
おそらく人避けになってくれるということみたいだ。
すると、カヌアは遠くの方で異様な雰囲気を感じ取った。
(なんだ?この感じ…あっちの方でフラフィー達が騒いでいる。嫌な感じ…)
その方向を見たカヌア。
人と人との隙間から見えたその光景は、残酷かつ最悪な気分になる…そう直感した。
(行かなきゃ…止めなきゃ!!)
そう思うと同時に、カヌアの足は既にその場所へと向かっていた。
そして…その異様な場から、周囲の人々の息をのむ音が静かに聞こえていた。
振り下ろされる剣が風を切る…その瞬間に空気が一瞬にして変わった。
ジャキンッ!ギギギギィ…
背丈のあるその男とカヌアの剣が重なった音だった。
男からしたら、剣を振り下ろした瞬間に、剣を止める奴が突然現れたので大変驚いたに違いない。
カヌアの後ろ側、つまり男が剣を振り下ろそうとしたその先には、小さな男の子がいたのだ。
とても怯えている表情を見る限り、その恐怖を脳に刻まれたに違いない。
カヌアは何十メートルも離れたウィル達の列から、一瞬の間でこの男の行動を見極め、その残酷な剣を止めにきたのだ。
(こいつ…いつの間に間合いに入ってきた…)
そう男が思った次の瞬間、仲間の一人に合図を送った。
もちろんカヌアはそれを見逃さなかった。
カヌアには彼らのフラフィーも視えているからだ。
しかしカヌアの右手は、男の剣を止めるので既に塞がっていた。
そして左から再び剣が降りてきた。
ギィィィィン…
カヌアは右腰に装備していた剣舞用の剣で止めた。
(くっそ!剣舞用なのにぃぃぃー)
カヌアは睨みを効かせた。
すると更にもう一振り来ようとしているのに、気が付いたカヌアだった。
両手は既に塞がっている。
「フッ」
しかしカヌアは笑っていた。
三本目の剣が降りようとした瞬間、カヌアは身体を捩じらせ、抑えていた二本の剣も含め全ての剣を弾き飛ばした。
そして空へと舞い上がった剣達は、全て持ち主の足元へと真っ逆様に落ちた。
辺りが静まり返る。
しゃがみ込んでいた男の子の元には、母親らしき人物が駆け寄っていた。
(何なんだこいつは)
目の前の男がそう思った瞬間、更に鋭い睨みが突き刺さる。
「おい、お前。子供に剣を下ろそうとするなんて、何考えてやがる!頭おかしいんか?」
とカヌアがそう言うと、男の仲間らしき人物が声を荒げてきた。
「てめぇこそ何なんだ!急に目の前に飛び出してくるなんて、無礼極まりないぞ!この方は…」
と言い終わる前に、カヌアは被せて言い放った。
「は?誰だろうと関係ないよな?それが王だろうと神だろうと私は止める!絶対に許さない!」
その鋭い目を更に強めた。
するとカヌアはある物が目に入った。
それは男の服についた白い何かだった。
男の子が手にする物と交互に見るカヌア。
(はぁ〜ん、なるほどねぇ)
「お前、さてはその子がその食べ物を服につけたから、頭にきたんだろ?それで剣を振ったってわけか?」
とカヌアが言うと、図星のような顔をしていた。
その通りであった。
カヌアには丸分かりだ。
「お前…ちっっせぇなぁ〜」
カヌアは嘲笑った。
「なっ!!」
その男は赤くなって言葉が詰まった。
すると、やっと駆けつけたウィル達の姿が見えた。
「カヌア!お前何やってんだ!こんなとこで騒ぎなんか起こ…したら…」
と慌てて行ってきたのは兄レイルであった。
しかし既に遅く、騒ぎの中心いたのは紛れもなく自分の妹であった。
その時レイルの後ろからウィルの声が聞こえた。
「一体何があっ…ん?キルラ?」
その剣を振り下げた男を見ていたウィル。
「おうっ!ウィルか!もう着いてたんだな!」
その男はウィルの言葉に、気さくに返事をした。
「………えっっっ!?このゲ…男と知り合いですか?ウィル様!?」
「あぁ、まぁ昔からの知り合いではあるな。それにキルラはこの国の第三王子だからな」
王子は少し気まずそうに応えた。
(おおおおおおおお王子!?この最低なやつが!?)
「何だ、娘?驚きすぎて言葉もで出ねぇか?」
得意げに言ってくるキルラ。
(こんな男が王子だなんてほんとに言葉も出ないわ…)
カヌアはそう思うのと同時に、アルデリアの王子がウィル様で良かったと心の底から思った。
すると、先ほどの出来事はもうどうでも良くなったのか、久しぶりに友に会えた喜びで、キルラはウィルの肩を組んで王宮の方へと進んで行った。
(何なんだあいつ…)
カヌアは不満な顔が拭えないまま振り返り、泣きそうになりながらも堪えていた男の子に近づいた。
「怖かったよね?大丈夫!もう心配ないよ。怪我も無さそうで良かった」
そしてポケットから銀貨を出した。
「これ、この国で使えるかな?」
カヌアがそう聞くと男の子は、うんと頷いた。
「良かった。じゃあこれでまた美味しいもの買ってね!」
そしてその銀貨を男の子に渡した。
男の子と母親は何度もお礼を言いながら、カヌアを見送った。
そして不満な顔に戻すと、カヌアはウィル達の後を追って王宮内へと入って行った。
キルラはウィルの肩を叩いて言った。
「あの女だけはやめた方がいいぞ?超こえぇ」
(だが…面白い)
と心ながらキルラは思っていた。
それを聞いたウィルはもちろん笑っていた。
(こいつにここまで言わせるなんて、やはりすごいなカヌアは…だが、こいつのフラフィーはなぜ笑ってるんだ?)
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




