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episode48〜その光は〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



カヌアは今、アルガダ王国へと遠征する一行の中にいる。


日が暮れる前にと途中にある、これまた小さな集落でお世話になるところであった。


主に集落の宿を使うのは王族のみで、あとの者はテントを張って寝床を作ったりする。


食事処がある街などでは、自由に食事をしてもいい。

しかし、ここは本当に小さな集落なこともあり、各自持ち合わせの物で食事を済ませる。


女子はカヌアとサラだけなので、テントは二人部屋でとても快適に使えていた。


一行の中でも一番綺麗なテントを用意してくれたのだ。

恐らくウィルの計らいであろうことは言うまでもない。


サラは顔には出ないが、とてもウキウキしていた。

フラフィーがそれを物語っている。


(カヌアとお泊まり…嬉しい…友と初めてのお泊まり…楽しい)


心の中は喜びでいっぱいだった。


「サラ!美味しいよ!これ!こんなん作れるなんてほんと天才過ぎる〜!」


只今二人はお食事中である。


サラが作った美味しい美味しい夕餉をいただいているのだ。


お嬢様育ちのカヌアはてんでダメだが、街外れで育ったサラには得意中の得意だった。


しかも猟師の家の育ちであるため、獲物も捕らえて捌ける。

カヌアの頼もしい心友である。


サラの顔は赤くなっているが、目の前の焚き火でそれがわかりづらくなっていた。


「か、簡単なものだけど…また作ってあげるね。たくさん食べて」


言われなくとも食べているカヌア。


「サラは良い奥さんになるね!将来の私の…ふふ」


ニヤニヤしながら食べているカヌアを、微笑ましく見ていたサラ。


近くにある他のテントからは、羨ましそうな視線とフラフィーを感じていた。


それから、二人はお喋りをしながら楽しい夜を過ごした。


出発してから三日目の夜、明日には恐らく目的のアルガダ王国に着くというところまで来ていた。


しかし、カヌアはテントの中で横になりながら、大変な不安に襲われていた。


(ヤバい…ワタシ、ケンブ、ワスレテル)


そう、カヌアは丸三日剣舞を踊ってなかったために、忘れかけていたのだ。

目がギンギンに血走り始めていた。


(うまく踊れる気がしない。ヤバい緊張してきた…明日踊るの?明後日?練習する暇あるの?どこかで練習しなきゃ…え?どこかってどこ?…ここでしょ!!もうここしかないよね?誰か、練習付き合ってくれる人いませんか!?そうだ!サラ!)


と思い身体を起こしてサラの方を見るカヌア。


「………」


再びゆっくりと布団の中へ戻るカヌア。


(ですよねぇー!寝てるよね。今何時だよって話よね。むむ……うーむ、練習しに行っちゃおうかな。確か来る途中、湖の見える丘みたいなのがあったな。ここから少し離れてるし、丘なら見晴らしがいいから、不審者来ても大丈夫大丈夫ダイジョウブ)


と思いながら、カヌアは剣舞用の剣を手にした。


そして頭から布を被ると、テントから静かに出た。


外に出ると、もちろん周りの者達は寝静まっていた。


カヌアはまるで、不審者のように怪しく忍んでいる。


そのまま丘の方へと進む。


丘に着くと、下の方に小さな湖があった。


月明かりに照らされて、キラキラと水面が美しく輝いている。


(素敵素敵〜!よし!)


意気込んだカヌアは剣を構えた。


そして、頭の中で音を流しながらひたすら踊った。


意外と身体は覚えてるもので、三回ほど踊ったら満足した。


(フッ…私ったらイケてる)


と思っていたが、カヌアは不快感を感じた。


(ヤバい…汗くっさ!あぁータオルだけじゃ拭えないよーこの臭い……うーん、うん…今ならイケるか…)


と、この娘は令嬢らしからぬ行動を今からしようとしていた。


目の前に大きな湖がある。


そこに向かって一直線に駆け降りるカヌア。


そうである。

今から湖で水浴びをしようと考えていたのである。


(ちょっとだけね!ちょっとだけ!)


決してサービスショットではないので皆様。

小熊の水浴びだとでも思って下さい。


カヌアは服を脱ぎ捨て湖に入る。


もちろん下着は着けておりますのでご心配なく。


タオルを濡らして軽く身体を拭った。


(あぁー気持ちええー…でも、こんなん兄様に見つかったら殺される…早く出よう…)


殺されるどころではないであろう。 

絶対にリヴール家の人には言えない。

わんぱくすぎる主人公。


すると突然、湖の反対側に人影が見えた。


カヌアはヤバいと思い、即座に服に着替える。


しかし、そこからすぐにテントへと戻れば良かったものの、その人影がなぜか気になったカヌア。


先程から突っ立ったままで動かないのだ。

その様子を見ていると、その影から今度は一点の光が差した。


(オレンジ色の光…ランプか火?何か持ってるのかな?もう少し近づいて…)


カヌアは野生並みの気配で、ゆっくりとその影が微かに見える位置まで近づいた。


するとカヌアは目を見張った。


(え!?アザの男!?何でここに?しかも光ってるのは…目?)


そう、そこにはあの時の顔に花の絵が描かれた、アザの男であった。


カヌアの心臓の鼓動が高鳴っていく。


(どうしよう…話しかけるべき?でも…)


すると、そのアザの男は何かに気づき、走り去ってしまった。


その瞬間、カヌアの肩に温かい感触があった。


「ハッッ!!」


カヌアは心臓が飛び出るかと思った。


後ろを振り返るとそこにいたのは、ウィルとその従者カブラであった。


カヌアは少し腰が抜けて座り込んだ。


「おい、大丈夫か?カヌア…一体ここで何を?」


王子がカヌアの肩を優しく掴んで言った。


しかし、カヌアがここで何をしていたのかは、実のところ全て見ていたのであった。


どこからかって?

えぇーと、テントを出るところから全てである。


時を巻き戻し、順を追って説明しよう。


まず、ウィルとカブラは明日のための最終打ち合わせをしていた。


その歳に少し風に当たりたいと外に出た時、怪しい動きと格好をしたカヌアがテントから出てきた。


そして、後を追うと湖の見える丘の上で剣舞舞いをし始めた。


それを恍惚とした表情で見ていたウィル。


しかし、その後何やら一直線に湖へ駆け降りて行ったので、ゆっくり追いかけてみると、なんとカヌアが急に服を脱ぎ始めたのだ。


咄嗟にウィルはカブラの両目を手で覆った。


そして、ウィルは水浴びするカヌアをガン見していた。


その後着替えたと思ったら、更に奥へと進んで行き、そのまま動かなくなったため声をかけて今に至る。


以上が、ウィルの変態ストーカー編の一部始終である。

では本編へ…


「ウィル…様?カブラ様も…なぜここに??」


「あ…えぇと?」


ウィルが口篭っていると、咄嗟にカブラが淡々と応える。


「少し風に当たりに来たのですが、そこで人影が見えたので。そしたらカヌア様が見え、動かなくなっていたので声をかけました。こんな夜遅くにいかがなさいました?」


すると、その言葉にカヌアは反応した。


「人影!そうなんです!そこに!すぐそこにあいつが!あの花模様のアザの男が立ってたんです!その男を観察してたら、光ったんです。オレンジ色に…あれは恐らく目…?だったんじゃないかと…しかもなぜか片方だけでした」


その話を聞いた二人は驚愕した。


「例の…アザの男がそこにいたのか?一体何をしてたんだ?」


ウィルが険しい顔で聞くと、カヌアは少し考えるように言った。


「わかりません…ただそこに立って一点を見つめてたように見えました。その先に何が…?」


「何をしていたんだ?それにしても片目だけがオレンジ色に…ん?光ってた?片目だけが?」


カヌアを見ながらウィルが言った。


その言葉を聞き、ハッとして思い出した。


以前、カヌアがラクレを傷つけた男に、ブチギレた時だ。


その時のアザの男に言われた言葉を思い出したのだ。


片目や色などの状況はわからないが、‘その目をするにはまだ早い‘と…


もしかしたら、カヌアも同じような現象だったのか?

と言葉を交わさずとも、その場にいた二人には脳裏に浮かんでいた。


しかし、明日は大事な日であり、夜も遅いのでとりあえずテントへと戻ることにした。


その際ウィルは宿の方がゆっくり休めるからと、カヌアを誘おうとした。

しかし即座に断られたため、肩を落とした。


そして、皆が眠りについた。


翌朝。


世話になった集落を後にし、何時間か進むと王国への門が見えてきた。


ここがアルデリア王国の南東部に位置するアルガダ王国である。


(やっと着いた!)


自国を出発してから四日程しか経ってはいなかったが、カヌアにとっては長く感じていた。


そして、次回。

ついにアルガダ王国へと入国する。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

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