episode47〜模様の謎〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
アルデリア王国の一行は、ウィル筆頭に王宮から都へと歩みを進めていた。
都の人達は皆、手を振って見送っている。
アルガダ王国へと友好を深めに行く、という名目になっている。
実際にはウィル殿下が何かを交渉をしに行くためのものだった。
しかしそれは従者などの、ごく僅かの者しか知らされていない。
もちろんカヌアも知らない。
彼女は初めて行く土地、初めて踏み入れる王国、剣術や剣舞の事で浮かれていた。
(あれ?そういえばウィル様の愛馬には、カブラ様が乗ってるな?それにウィル様が見当たらない…サラは…あ、かなり前の方に見えるなぁ)
カヌアは知り合いを探しながら、キョロキョロしていた。
すると、レイルが鋭い目でこちらを見て何かを伝えようとしていた。
(ヨソミヲスルナ…う…監視の目が怖い)
そして昼頃、一行は休憩を取るということで小さな村に来ていた。
アルデリア王国の南東にある街を抜け、そして更に南東へ進んだ場所にある。
周りは一面、草原や畑であった。
お馬さん達もちゃんと休憩している。
カヌアは少し草原の方へ行きたくなったので、村から少し離れた。
すると、二人の男性の姿があった。
ウィル王子とその側近カブラだ。
(なんか行くとこ行くとこにいるな)
まるでストーカーみたいな言い方だが、今回は偶然である。
「ウィル様、お疲れ様でございました。お姿が見えませんでしたけど…」
カヌアがウィルにそう声をかけた。
「カヌア!疲れてないか?俺は馬車に乗ってるからな。一応王族の身としてはだな…」
「ふふ、一応って。立派な王族ですよ、ウィル様は」
とカヌアは笑って言う。
その笑顔にウィルは癒された。
「ところで…その、朝方出発前に何か聞きたい事があると言ってたな?それは…なんだ?」
ウィルはカヌアをチラチラッと見て言った。
「はい、時計塔の件で少しお聞きしたいのですが…」
その言葉にウィルは反応した。
「時計塔?クロノスの塔のことか?」
「はい。わたくし、朝方に出発まで少し時間があったので、気になる事があって時計塔に行きました。そしたら、そこで第一王女のエウネ様にお会いしました」
「姉さんに?大丈夫だったか?何かされなかったか?」
心配して言うウィル。
また笑いながら返すカヌア。
「ふふふ、カブラ様にも同じことを聞かれましたが、全然大丈夫です。むしろ優しく接してくれました。その時にクロノスの塔の創設者である初代女王様の話を聞きました。プレヌリュヌ女王が造らせたのだと。その事は私が気になっていた内容とは、別物なのですが…」
「ん?何だ?」
と不思議に思いながらウィルは聞いた。
「はい、ウィル様はクロノスの塔の裏側をご覧になったことはございますか?」
「裏側?…幼い時にならもしかしたらあったかもしれないが、あまり記憶は無いな。それがどうしたんだ?」
「その裏には、二匹の蛇が二重の螺旋を作って彫られていました。その模様に私は見覚えがあります。…ひとつはトゥバンの丘です。丘の奥の方に行くと、石が何個か埋め込まれて並んで置かれている場所があります。そこに描かれているのが、その二重螺旋に似た蛇の模様。もうひとつは…」
カヌアが口籠る。
カヌアは信じてもらえるか不安な表情をしたが、ウィルがは、優しい顔をして待っていてくれている。
「もうひとつは…信じられないかもしれませんが、以前火事の後に見た夢の中で、本を見ました。そこに描かれていたのがその二重螺旋でした。蛇かは分かりませんが、表紙に二重螺旋の模様が見えたのです。それとあるページには、二人の人物が腕を絡ませている絵が描かれていました。これが一体何を意味するのか…ウィル様はこの模様に何か心当たりはございますか?」
その話を聞いてウィルは驚きを隠せなかった。
「その本は…書庫室みたいな多くの本がある場所になかったか?」
すると、カヌアも驚き応えた。
「えっ!?はい!そうです!」
「実はその夢は俺も子供の頃に見た事がある。とても鮮明に憶えていて…確かあれはあの茶会の…そうカヌアが見舞いに来てくれた日だった」
ウィルも同じことがあったと話し始めた。
そう、二人は同じような夢を見ていたのだ。
「ウィル様も同じ夢を?どういうことでしょう?」
「俺も少しは気になっていたが、夢だったこともあってすぐに考えるのをやめた気がする。でも実際にあの模様がトゥバンの丘と、クロノスの塔にあるんだよな?遠征から帰ったら一度確認しに行った方が良さそうだ」
そして、カヌアは少しの期待を込めて尋ねてみた。
「あの、ウィル様?王宮書庫室には、その本が置いてあったりとかはしないですよね?」
「あぁ、俺もその夢の後に、書庫責任者に聞いてみたがそういうのは無いと言われた。その時はだが…もしかしたら、禁書の所にあるのかもしれない。いや、でも責任者が無いというなら、そこにも無いのかもしれないが…」
ウィルは既に少し調べていた。
これ以上は手がかりはなさそうだった。
しかし、カヌアは諦めない。
「その禁書とは、誰でも閲覧できるんですか?」
「いや、王族のみ閲覧可能だ…が」
ふとカヌアを見ると、キラキラな目をして見つめていた。
「いや、王族のみだからな…まぁ、なんだ…カヌアも王族の仲間入りになれば、見れないこともないな…まぁつまり、そういうことだ…」
とウィルは言っていたのだが、またどうせ聞いてないんだろうなと思いカヌアを見る。
しかし、今回はバッチリ聞いていた。
「え!?王族の仲間入りですか?どうしたらなれます??」
(今です!ウィル様!!ここで!言うのです!ほら!早く!)
カブラが心の中で強く念じる。
それが表情にもめちゃくちゃ出ていた。
すると、少し小さな声になりウィルは言葉を絞り出した。
「そ、それは俺と婚約を…」
「あ!!この前言ってたやつですね!本当になってみるか的なやつ」
(みるか的なやつ…??)
カヌアは言葉が乱れていた。
少しばかりウィルも困惑している。
(うーん、どうにかその禁書を見たい…いやでも、王宮内にあるとは限らないしな…しかも婚約したところで、実際に結婚しないと王族にはなれな……)
そこでカヌアは現実へ戻る。
「えっ!?婚約!?一度婚約発表したら、そのまま…そのままけっ…こん…王太子妃?」
「まぁそういうことに…なる…な」
「ダメですダメですダメです!そんな大事なこと!こんな禁書のために私なんかに言っちゃ!それに!まだその本が王宮内にあるとは限りませんし!ね!まずはお手数ですが、ウィル様に確認をお願いして、本当にあった場合は……その時また考えましょう…ウフフフフフフフフフフフ」
(あっぶねぇーしっかりしろ!自分!)
自分に喝を入れるカヌア。
「そう…か。わかった。とりあえずそれは帰ってから確認することになるから、今は遠征のことを考えよう」
(やはり、ちゃんと気持ちを言わないと意味ないしな…しっかりしろ!俺!)
自分を奮い立たせるウィル。
「残念ですねぇ。とりあえず、その話はまた帰国後にしましょう!さぁそろそろご出発のお時間になりますよ、お二人とも」
(あーぁ、後少しだったのに…ほんと素直じゃないんだからウィル様は。やはりここは既成事実を!)
ウィルを心から応援している従者。
それぞれ思う事はあるが、さらに足を進める一行であった。それにしても…
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




