episode41〜動き出す〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
昨日の今日なので、カヌアはサラが心配であった。
そのため、早朝のルーティンである厩通いを終えてから剣術場に来ていた。
カヌアは辺りをキョロキョロと見渡す。
すると、華麗に素振りをするサラの姿が奥の方で見えた。
(さすがっもう来てた!)
「サッ…」
声をかけようと思ったその時、サラに近づいて何やら話しかけている人物が見えた。
兄のレイルだ。
(あっお兄様…あ、あぁ…二人とも嬉しそうに笑ってる。お兄様が、あのお兄様が照れてるなんて、超貴重〜目に焼き付けておこう…キャーードキドキ)
と手を輪っかにして、望遠鏡で見るようにカヌアは観察していた。
すると、途中でカヌアを見つけたレイルが、何やらサラに言うとその場を後にして行ってしまった。
サラがこっちを見て駆け寄って来た。
「カヌア、おはよう」
「おはようサラ!また一緒に練習できるね!」
「私も嬉しい。こうやってカヌアとまた一緒にできて。それに…」
と言ってサラはレイルの方を見つめた。
(恋っ!ときめきっ!良いじゃない良いじゃないっ!フフフフフフ…)
「そういえば、お兄様とさっき何を話していたの?」
とカヌアが聞くと、サラは顔が赤くなって言った。
「あ…うん。私のデビュタントの時、是非パートナーにって申し込まれたの…」
「え?えっっ!?お兄様が!?え?てかデビュタントはまだだったの!?」
(歳下だったのか)
カヌアは驚いた。
「あ、うん…まだ先なんだけどねっ!」
「で?でででで?返事は??」
「ふふ、うん、こちらこそ是非お願いしますって」
(ッキャアアァァァアアー!!)
カヌアは両目を閉じて悶絶した。
サラは両手で顔を覆って赤面している。
この後ちゃんと練習が手につくのか、少し心配である。
そしてちゃんと練習をこなした後、午後は弓術をしようと思い、その場を後にした。
すると向かっている途中で、何やら会話している人影が目に入った。
あちらからは見えないように、垣根の陰にカヌアは身を潜めて様子を伺った。
(あれ?あの人…昨日ウィル様の部屋から出て来た綺麗な人だ…何だろ?何人かの男に支持を出している…怪しい…)
すると後ろから急に誰かに口を押さえられ、身を拘束された。
(ヤバイッ油断し…)
しかしすぐにその手は解かれた。
すると目の前にはカブラがいた。
「カッ…」
カヌアは驚いて声を出しそうになると、カブラは人差し指を口元にシーという仕草をして止めた。
「ご無礼をお許し下さい。カヌア様この後少しお時間ありますか?ウィル様がお話があるとのことで、来て頂きたいのですが」
そう小声で言うカブラに、カヌアは応えた。
「あの、これから弓術場へと行こうかと思っておりますので…」
と小声でやんわり断ろうと思ったが、カブラがそれを制した。
「カヌア様、申し上げにくいのですが少しの間、稽古場へ行くのをお控え願いますか?」
(なんでやねん?)
カヌアは納得いかないので笑顔で『嫌です』と応えた。
それに対し、カブラはやはりという顔をした。
(そう簡単には聞き入れてはくれませんよね)
「とりあえず、ここから離れましょう」
とカブラが言うと、ウィルの待つ自室へと半ば無理矢理連れて行かれた。
途中カヌアは少し気になっていることを聞いた。
「あの、先ほど女性の方が見えたのですが、あの方は昨日、ウィル様の元へ来ていた方ですよね?」
「はい…覚えてましたか…あの方は、カヌア様の素性を探っております。先ほどの現場は恐らく、各稽古場に刺客を送るために指示を出していたんでしょう。害はないと思うのですが、念のため少しの間…」
「お断りいたします」
と笑顔でカヌアは被せて言った。
カブラは苦笑いをした。
フラフィーがめちゃくちゃ困っている。
(それにしても、何故あの人にプライベートを探られてるんだろう?誰よあの人…ハッ!まさか、ウィル様に馴れ馴れしいのよ!この小娘が!的な?粗探し?やはりウィル様にはあまり近づき過ぎないようにしないと誤解が…)
とカヌアが妄想に耽っていると、ウィルの自室の前に着いた。
ノックをすると、中から入れと言うウィルの声が聞こえた。
カヌアが中に入ると、カブラは部屋に入らずにどこかへと行ってしまった。
すると中で待っていたウィルに少しだけ近づく。
(いい距離、これがベスト!ソーシャルディスタンス!)
と謎の呪文を心で唱えたが、カヌアの思惑は少しずつ崩れていった。
ジリジリと歩み寄りながら、ウィルは言う。
「急に来てもらってすまなかったな。何度も話したいと思ってたんだが、なぜか最近報告のみですぐに出て行ってしまうから、中々他の会話ができてなくてな…たまに見かけてもすぐどこかへ行ってしまうし。カヌア…なんか避けてないか?」
「えっと、その…はい。ウィル様にとって将来の大事な時期だと思って、あまり迷惑をかけてはいけないとかなと…」
とカヌアは気まずそうに少し目を逸らした。
「ん?迷惑?何のだ?」
とウィルは訳が分からずに聞いた。
「その…少し小耳に挟んだのですが、都の方で私がウィル様の…こん、こ、婚約者だなどと根も葉もない噂が飛び交っているとかいないとかいるとか?」
と申し訳なさそうに言うカヌア。
するとウィルが少ししたり顔で言った。
「そうか、それは全く困ったものだな」
(やはりそう思うよねぇ)
「こんなに困らせるなんて。俺はこんなに頑張っているのに」
(そうでしょうとも、ウィル様は頑ば…ん?)
と気が付くと、ウィルは既にカヌアの目の前にまで来ていた。
「では、本当になってみるか?婚約者に?」
と意地悪そうな、それでいてなぜか嬉しそうな顔をして、ウィルが覗き込みながらカヌアに言った。
「………フッフフフフフフフフフフフフ」
その発言に脳が少し壊れかけたカヌア。
何とも言えない愛想笑いで、そのまま後退りし部屋の隅まで移動した。
するとやはりタイミングの悪い、お決まりカブラが部屋に入って来た。
(こいつわざとやってるのか?)
と少し睨むウィル。
しかしこのカオスな状況を見たカブラは…
「お返事がなかったもので………あ…失礼…」
そのまま扉を閉めて出た。
「おい、何だ?要件があって来たんだろ?中へ入れ」
とウィルがドアを開けながらそう言うと、カブラは気まずそうに部屋の中へ入ってきた。
「えっと…只今大切なお取り込み中なのでは?」
と言うカブラに対して、ウィルは構わないと返した。
しかし、少し込み入った話なのか、二人とも向こうを向いてしまった。
カブラがウィルに耳打ちをして、何やら話している。
「…例の進行具合がうまくいっていない様で、なかなか進みません」
(あぁ絵になる二人だなぁ…ってそうじゃない!今のうちにと…)
そぉ〜っと部屋から出ようするカヌア。
「やはり我々がもう一度向こうへ出向いた方が…剣の腕が立つ国なので…提案なのですが、こちらからも剣に自信がある者を何名か選抜してはいかがでしょうか?そこで、手合わせへの調整等をして…」
カブラが耳打ちしている中、剣というワードがカヌアの耳に入った。
地獄耳である。
お?っという顔をして、カヌアは二人に近づき耳をそばだてる。
「あとは剣舞を見るのも、向こうの国王陛下は好まれるようで…」
と濃い話をしているカブラとウィルの後ろに影が。
既にくっつくのではないかというくらい、いつの間にかめちゃくちゃ近くに来ていたカヌア。
この娘、気配を消すのは野生の動物並みに得意であった。
それに気が付いた時には既に遅かった。
「剣舞!?はい!わたくしやりたいですっ!やりったいっですっ!」
とカヌアは笑顔で勢いよく申し出た。
ビクッと驚いた二人。
しかしすぐに、ため息顔をした。
(ここで話すのはまずかったか…いや、ここで話さずとも絶対耳に入れて、こうなってはいたか…それにしてもまた危険なことを…)
そう思うウィルではあったが、華麗に舞うカヌアの剣舞をちょっと見てみたい気持ちが浮き出て来ていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




