episode37〜疑問〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
甘い甘い体験をしてしまったカヌアは、その反動で身体を動かしたくてたまらなくなった。
という事で、その日の午後はこのままダンスのレッスンへ行くことになった。
それに珍しくウィルもついてくると言う。
(ウィル様が来るなんて珍しいな)
ダンスフロアに入ると、いつもと変わらず素敵な音楽が流れていた。
華麗なステップを踏む音、そして乙女の眼差しを浴びるリュカ先生。
リュカがカヌア達の方に気が付き、近づいてきた。
他の人達もウィルに気が付き、ざわつき始めている。
「ごきげんよう。カヌアさん…それにウィル殿下、このような場所に珍しいですね?」
とリュカはキラキラな笑顔で迎えてくれた。
しかし少しにらみを利かせたウィルが応える。
「まぁそうだな。俺も少しは身体がなまらないように練習しないとだしな」
顔色ひとつ変えずにリュカは言う。
「それではわたくしがお相手なさいましょうか?」
すると、急にカヌアの肩がウィルの方にグッと寄せられた。
ウィルがカヌアを見ながら言った。
「いや、もう相手は決まってるから結構だ」
ダンスを見学してた周りの者が、それを見るなり悲鳴をあげていた。
「キャー素敵!」
「やはりあの噂は本当なのですわ」
「あの方が羨ましいわ!」
そう乙女達が言う中、カヌアは先程と繋がるような疑問が沸々と湧き出ていた。
(あ…れ?何だろ?何で私を?だってウィル様はリュカ様みたいな人の方が…ん?もしかして、違うの?)
カヌアは普段からあまり考えたくない事を考えないようにしてきた。
しかし、どんどんウィルの影響力が増していくにつれて、考えざるを得なくなっていた。
(はぁ…どうしよう…どうすれば)
するとそこにはアリーと、なんとサラの姿を見つけた。
少し現実逃避しようと二人の方へと意識を飛ばした。
サラは何故か男性役として踊っていた。
(サラ!すごく上手!綺麗だなー。でもなぜ男性役?)
その辺の男性よりは、女子から人気がありそうな凛々しさである。
すると、ヒョイッとリュカがカヌアの視界に入るように顔を傾けてきた。
「カヌアさん、そのドレスとてもお似合いですね。素敵すぎて…」
しかしすぐさま、途中でウィルが遮るように前に出る。
(うーん、やはりこの二人…?んん?じゃあ何でウィル様は昨夜、私とヤッ)
てない!何もしてないんだってば!!
失礼、言葉がストレートになってきているのをお詫び申し上げます。
後日カヌアはリリィから昨夜の経緯を聞いて、安堵するのでご心配なく。
リリィナイスッ!
そして踊り始めようとすると、すかさずウィルがカヌアの手を取った。
限定王子スマイルを付けて。
そのまま難なく一曲目は踊り終わる。
更に二曲目もウィルと。
その次もウィルと。
結局全てウィルと踊った。
(これって条件[8?]の毎回同じ男と手合わせしないことに反しているんじゃ…そういえば反すると出れなくなるのかな?)
そう思うカヌアを、遠くから柔らかな眼差しで見つめるリュカ。
(今日は俺の付け入る隙がないかな…)
レッスンが終わると、サラとアリーの元へ駆け寄った。
「サラ!ダンス、すっごく上手なんだね!しかも男性役なんて素敵すぎて見入っちゃったよ!今度一緒に踊って下さいな」
とカヌアが感動の笑顔で話しかけた。
するとサラは応える。
「あ、あの是非、踊りたい」
表情は無表情のままだったが、少し顔が赤い。
フラフィーが華麗なダンスを舞って喜んでいる。
「ほんっとに上手だよね!途中でニコッとするんだよ〜うっとりしちゃったよぉ」
とアリーが追い称賛をした。
するとみるみるうちに顔が真っ赤になるサラ。
恥ずかしさのあまり、唇を噛んでいる。
「それよりカヌア!殿下と一緒に来たよね?あの噂はやっぱり本当なの!?あんなに優雅で素敵な方とひとときも離れないなんて羨ましい…それに…」
と続けて言おうとしていたアリーを、カヌアは制止して言った。
「ちょ!ちょっと待って!何?その噂っていうのは?」
「え?カヌアとウィル殿下って婚約されているんでしょ?都中、いや国中が噂しているわよ?」
とアリーが言う。
「………」
カヌアは考えに耽った。
(濡れ衣だ。いやもうこれはある意味冤罪)
「カ、カヌア…?」
心配するサラ。
「……」
(いつからだ?いつからそうなっている?誰かが仕組んだのか?この問題が国を巻き込む事になったらどうする?一般人ならともかく相手が相手過ぎるのだよ。もしこれが ‘嘘である‘ となったら、私はもうこの国では生きていけなくなる。いやもうこれは、いっそのこと腹を決めて首を括るか。いやまだ ‘噂‘ の段階だ。どうにか策を…)
とカヌアが一点を見つめながら考えていると、サラが心配そうに話しかけてきた。
「あ、カヌア?もしかしたら何か言えない理由があるの?王族との事だもんね。そう簡単には口にできないと思う。でももし何か相談したいことがあればいつでも話聞くから…その、私たちを頼ってくれたらなって思う…」
と少しはにかみながら言うと、アリーもサラと同じ気持ちらしくニコッと笑うと力強く頷いた。
(あぁ。二人ともなんていい子なの…でも、でもごめん。君たちが思っているような事じゃないのよ…いつか話すから…真実を)
と噛み合わなくとも、素敵な友情を育んでいた。
しかし…
その日を境に、サラの姿を見ることがなくなってしまった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。




