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episode30〜怪しい動き〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。




お腹が満たされて、幸せな気分で都を歩いているカヌア達。


するとドンっと細身の子供が、カヌアにぶつかってきた。


「あっ…」


その子供が驚いて少しこちらを見た。


その瞳はとても綺麗な色だった。

少し黄色味がかった茶色だ。


その時、何やらどでかい物音がした。


足元を見ると絵画らしき物が落ちていた。


その子供は絵画を拾うことなく逃げ出した。

慌てた様子の子供。


「これは…」


カブラがその絵画を拾いながら言う。


すると子供の後を追ってきたのか、先ほどカブラが見かけた商人がやって来た。


そしてその商人の後ろから、フードを被った黒ずくめの男がこちらへ向かってやって来た。


黒ずくめの男は、そのまま子供が逃げた方向へと走り抜けた。


カヌアはすれ違う時、その男を見た。

風が舞い、男のフードが少しめくれたのだ。


その時にカヌアは、一瞬目が合ったような気がした。


(花の…絵……?)


カヌアは何かを見てそう思った。


「逃げられたか!あぁっ絵画が!!」


とその商人が慌てて絵画を布で隠した。


するとカブラが顔見知りなのか話しかける。


「ザジロス殿?そちらの絵画は?」


商人が名前を呼ばれ、ウィル達に気づく。


しかし、カブラの質問には答えずに話を逸らし始めた。


「こっこれはこれは、ウィルテンダー殿下ではございませんか!こんなところでいかがされました?本日は散策ですかな?おや?そのお嬢さんは?」


(このおっさん、なんか焦ってるな…フラフィーめっちゃ動揺してるぞ?)


カヌアはその商人を怪しんで見る。


「どうしたどうした?そんな早口で?」


嘲笑うかのような笑みを浮かべているウィル。

同じようにウィルも話を逸らした。


ヴッとする顔をしながら商人は言った。


「これは失礼致しました。早い言葉になってしまったことの非礼をお許し下さい。少々仕事で手違いがありまして、急ぎ戻らねばなりません。今日はこちらで失礼させて頂きます」


と、そそくさと逃げるように行ってしまった。


ウィルがカヌアの側に来て、身体を労ってくれた。


「ぶつかったところは大事ないか?」


「はい。大丈夫です。ありがとうございます。先程の方はお知り合いですか?」


とお礼を言い、質問した。


「あぁ、トラストル家という子爵位のお抱え商人だ。たまに怪しい取引をしてると耳にするがどうも証拠を掴めなくてな…まぁあまり良い噂は聞かないのは確かなんだが…」


と、商人が走り去った後を見ながらウィルは言う。


(ん?トラストル家…?…アリーか…アリーの…気になるな)


とカヌアは思っていたが、急にハッという顔をした。


「厩にハミを届けないと。レグのお口の傷も気になるし…」


するとウィルはその名に反応した。


「レグ?レグって黒い毛並みの馬か?」


「はい。ご存じなのですか?」


「まぁ、そうだな。レグは俺のアルと兄弟馬だからな。しかし…」


とウィルは何やら濁しながら言った。


(そうなんだ!兄弟!確かにウィル様の馬も黒い毛並みだった気がする)


とカヌアは、その二頭を頭の中で照らし合わせながら思った。


「素敵!いつか兄弟で走らせたいですね!黒い毛並みの二頭が並んだらとっても格好いいですよ!あ、でも仲悪いとかないですかね?兄弟ですものね!きっと良いに決まってる!あー早く乗らせてくれないかなー」


と期待を胸に語ってるカヌアを横目に、ウィルは妄想していた。


(二人で、並んで、兄弟馬を走らせる)


「それは、大丈夫だろう。仲は良い。そして俺たちも…」


カヌアは後半の方はほぼ聞いておらず、馬の話に反応した。


「え!やっぱり!あぁでもレグったら乗らしてくれるどころか、全然触らしてもくれないんですよー嫌われてるのかな…?」


とカヌアは少し悲しい表情で話す。


(贅沢な馬め。それにしても…レグ…か久しぶりに乗りたくなってきたな)


そう昔のことを思い出しながら、ウィルがフォローした。


「いや、最初だけじゃないか?そうだな、このまま一緒に様子を見に行くことにするか」


「本当ですかっ!?わぁーやったぁー嬉しいです!よろしくお願いします!」


とカヌアは素直に喜んだ。


すると、ウィルが急にふふっと笑った。


カヌアもニコッとしながら、疑問に思い首を傾げる。


「なんか、話し方が分け隔てなくなったなと思って」


「え!ももももも申し訳ございません!」


カヌアは焦ったが、ウィルがそれを案じて言った。


「いや、そうではなく。とても…嬉しいんだ…」


と照れながら言う。


(そうか…それなら良いんだけど…でも…そうだよね、ウィル様も環境が環境だったから寂しいとかあったんだろうな。産まれた時から王子という重荷を背負わされて…孤独だったのね…) 


とカヌアは哀れな目で彼を見てる。


ウィルはカヌアが少し潤んだ目で見つめてくるので、更に照れる。


そんな二人を見てカブラがぬっと出て来た。


そして出来る従者の見せどころを発揮した。


「楽しいひとときを失礼致します。お言葉ですがウィル様、これ以上は…お時間を取りかねます。公務が山のように滞っておりますので」


ウィルがムッとして睨みを効かせた。

が、確かに後々の事を考えたのか、渋々応じた。


「はぁ…そうだな、わかった。今回は仕方ない…本当に名残惜しいが、レグの件はまた次回と言うことに…すまないなカヌア」


と言いつつ、止めてほしいウィルは心の中で念じていた。


(嫌です、もっと一緒に、もう少しだけでも…来い来い)


「はいっ!全然大丈夫です!本日はありがとうございました!またお時間ある時にでも。公務の方頑張って下さいね」


とめちゃくちゃ前向きに背中を押した。


願い届かずのウィルは、その重い足取りで王宮へと戻った。


その後、カヌアは厩へと戻り、購入したハミをリアムに渡した。


口の傷が治るまではハミをつけることができないということで、それまでは休養させるとのことだった。


当分乗馬はお預けである。

その前に乗せてくれるかの問題もあるが。


そして、既に夕刻になっていたが弓術場に足を運んで少しだけ弓を引いた。


弓術場から出ると、公務室に向かっていた。


(今日はほぼ一緒にいたんだから、報告する必要ないんじゃないか?)


と思いながらも足を運ぶカヌア。


すると公務室の扉が少し空いてたため、そーっと覗いた。


そこにはウィルの姿はなく、側近であるカブラらしき人物が何やら考え事をしながら立っていた。


「あの男の顔さえ見てれば…こうも手がかりが無いとは」


すると横から首を突っ込むカヌア。


「私見ましたよ!」


と急に出て来たので、カブラが非常に驚いてたじろぐ。


(気配…感じなかった)


そうカブラが思ったが、いつも通り優しい笑みを浮かべて聞いた。


「カヌア様、本日もお疲れ様でした。ウィル様は今、違う公務に出向いておられますので……その、見ましたと言うのはどういう…」


(フラフィーが少し動揺してるな)


「すみません。扉が開いていたもので。声をおかけしたんですけど、気が付いておられなかったみたいだったので…」


(声をかけた?バカな。それにも気が付かなかったなんて)


カブラがそう思う中、続けて言った。


「あの時のフードを被った男ですよね?都で商人さんと一緒にいた。私すれ違う時少しだけ顔を見ましたよ?宜しかったら人相書でもしましょうか?」


(あの一瞬で見えたのか?人相書までできるほどに?)


とカブラが思っている間にも、カヌアはスラスラ〜と軽い筆さばきで、男の人物像を描いていた。


「はいっ!この人ですよね!」


と、自信ありげにカブラへと見せてきた。 


カブラはそれを見ると、そっと紙を伏せた。


「あー…はい…そう…ですね、えぇとありがとうございます。参考にさせて頂きますね!」


と無理矢理な笑みを顔面に貼り付けて言い、そのまま懐へとしまった。


(フラフィーが目を押さえてる。なぜ?)


そうである。


カヌアは弓術に続き、絵もド下手であった。

猿並みの画力である。

いや、お猿さんに失礼だ。

それ以下になる。


そして、その人相書が次にカブラの懐から出る時は、おそらくゴミ箱へ行く時ではないか…


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

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