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episode28〜御用達馬具店〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



レグのハミが壊れているのに気が付き、その為王室御用達の馬具店へと行こうとしていた。

その店は王都にあるようだ。


そしてその馬具店にウィルを誘うため、カヌアは公務室の前まで来ていた。


もちろん都へ誘うのは口実であり、普通では入れない王室御用達の馬具店へ行けるという欲望を満たそうとしていた。


(やべ、まぁたアポ無しで来ちまった…ウィル様、仕事忙しそうだし、追い出されかねない。一度戻るか?いや、でもここまで来たから取り次ぎをお願いするか?うーむ…)


少し正気を戻したカヌアが冷静になって考えていたら、怪しい気配を感じ取ったのか、中から見覚えのある顔が覗いてきた。


それはそれは美しい銀髪の従者、カブラだ。


しかし、なぜか怪訝そうな顔をしている。


「ん?カヌア様?ですよね?一体ここで何を?」


「あ、カ、カブラ様、ごきげんよう。あの、突然来てしまい申し訳ありません。その、ウィル様はお手隙でしょうか?お忙しいようでしたら出直しますが」


と丁寧に言ったはずなのだが、カブラの怪訝な顔はそのままだ。

フラフィーも然り。


「あーでも、カヌア様?よろしければその被り物を外されてから、ウィル様にお会いになられてはいかがでしょう?」


「………っ!」


(ッガァァァァァアー!そうだった!レグ対策のお面を外すの忘れてた!)


恥ずかしい娘である。


この状態で王宮内を歩いててよく捕まらなかった。

運が良かったなカヌアよ。


すると、部屋の中から少し不機嫌そうな声が聞こえた。


「おいっ!なんだ?騒がしいぞ、カブラ」


カブラが扉を開けながら言う。


「ウィル様、カヌア様が少しお話があるようで、来ておられます。お忙しいようでしたら、また後日でもとおっしゃっ…」


「カヌア!!どうしたんだ?」


その不機嫌は一瞬にして、上機嫌へと変わった。


すると防具を外したカヌアは中へ入り、例のお願いをしてみた。


「突然来てしまい申し訳ありません。どうしてもお頼み申し上げたくて…ウィル様どこかでお時間頂けませんか?」


「ん?なぜだ?何か急用か?」


「はい…えと、都の方で少し必要な物がございまして、お買い物にお付き合い願いたいのですが、ウィル様はお忙しいです…よね?」


と言われたウィルは目の色を変えた。


(え!?カヌアから誘われた!しかも初めてのカヌアとの買い物!絶対に行く!行く以外の選択肢は無…)


ふとカヌアの後方にいたカブラを見ると、身振り手振りと表情を大いに利用し何やら伝えて来た。


(なりません・公務が・こんもり・残ってます・我慢して)


「よし!行こう!」


カブラの制止も虚しくガン無視された。


肩を落とすカブラに軽く手を乗せて、満面の笑みで頷く。


(まぁわかりきったことですが…)


そうして、公務が溜まるのを心配しているカブラをよそに、都へと行くこととなった。



ここは王宮下にある王都グランシャリオである。

とても大きい都で大体のものは揃う。

ただし、物価がとてもお高い。


嬉しそうなカヌアと、更に幸せ満点なウィルがお忍びを隠せないほどの上機嫌で歩く。


しかしお決まりだが、お互いの向いている気持ちは違っていた。


「ところで、必要な物とはどのようなものなんだ?」


ウィルがそう聞くと、カヌアは少し哀しげに答えた。


「それが…今気になってるコ(馬)がいて、そのコ(馬)がお口に怪我をしちゃったんです」


(え…?気になってる男!?どこの馬の骨だ!)


まだ骨にはなっていないが、あながち間違ってはいない。


「そいつとは、ど、どう言う関係だ?」


とウィルが焦りながら聞く。


「え?そうですねぇ、まだ深い関係にはなれてなくて…でもそうなりたくて私、毎朝一緒に過ごそうと努力してます。ご飯を作って上げたり、全身の毛を整えたり」


(ぜ、全身の毛…全身の…?)


ウィルの魂が抜けかけている。


もちろん二人が噛み合っていないのは、ご覧の通りお分かりだろう。


しかしこの二人、勘違いしやすい性質なのはめちゃくちゃ似ていた。


そして、後ろに控えているカブラは、その様子を落ち着いて観察している。


ウィルが抜け殻になる寸前で、目的地に到着した。


「着きました!ここです!」


カヌアの声で正気に戻ったウィル。


「ん?ここか?」


それはそれはとっても立派な佇まいをしていた。


表に実寸大と言えるほどの、大きな馬の像が建っていた。


そうここが、未知の世界なる王室御用達の馬具店である。


「馬具…店?」


唖然とするウィルを見て、後ろの方から堪えきれてない笑い声が聞こえてくる。


カブラが涙を流しながら、お腹を抱えていたのだ。


(俺は今まで馬に妬いてたのか…)


「ここ、王族の方と一緒でないと入れないと聞いて、真っ先にウィル様が浮かびました」


(真っ先に…真っ先…に俺)


ウィルはすぐに幸せゲージが上がった。


単純王子である。


中に入ると所狭しとたくさんの馬具が並んでいた。


(あぁなんて優美な香り…)


そう思いながら、カヌアは店内の匂いを肺に取り込む。


するとウィルを見た店主が、驚いた様子で駆け寄ってきた。


「こ、これはこれはウィルテンダー殿下。お出迎えが遅れて申し訳ございません。わざわざお越し頂きまして、誠に痛み入ります。王宮の方に私どもが参りましたのに…本日はお急ぎのご用でございますか?」


(そうか、わざわざ来なくても王宮まで来てくれるのか)


とカヌアが思っていると、王族らしい表情に切り替えていたウィル。


「いや、こちらも急に来てすまない。少し自由に見させてもらっていいか?」


と言って、カヌアを心置きなく見物させてあげた。


カヌアが目を輝かせながら一通り見て回る。


見て回った。


まだ…見て回る。


こうして既に二時間程が経った…


カブラは少しげっそりしていた。


(女性との買い物ってこんなにも…)


もちろんウィルはそんなこと全く気にしていない。


むしろ笑みが溢れてた。


(カヌアとこんなにも長くいられるなんて…)


痺れを切らしたカブラが口を開いた。


「あの、カヌア様?本日の必要な物とは、一体どのような品なのでしょうか?」


(げ、夢中になりすぎて忘れとった)


「あ、そうでしたわね。店主さんにちょっと聞いてきますね」


カヌアはそういうと店主に駆け寄った。


リアムから預かっていた注文書を渡すと、レグ用のハミを受け取った。


カヌアが一言お礼を言うと、ウィル達の元へと戻った。


すかさず優秀な側近であるカブラが、荷物を持ってくれる。


それを横目で見るウィル。


(余計なことを…)


カブラがニコッと笑う。


「世話になったな。また来る」


とウィルが店主にお礼を言うと店を後にした。


(あの殿下が女性を連れてくるなんて…これは…!やはりあの噂は本当なんじゃ…)


と店主は身を震わせながら、彼らの背中を見送った。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

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