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episode 1〜新しい家族〜

初投稿です。不慣れな面もありますが、広い心で読んでいただければ嬉しいです。


揺れの少ない高貴な馬車。

カヌアはその乗り物を、珍しい物を見るようにして見渡していた。


そんな中、父と母の達者なお口にはぐうの音も出ない。

馬車の中ではこっぴどく叱られたので、反省していた。


(ここの世界の父、母コワイ。でも、前世での両親は私に無関心だった。それに比べると… これも愛情? なのかしら? しかもお貴族様なんて… フ、フフフフフ)


そう思うカヌアの顔に、不審がる母。


「え? やだ、この子は… 何で笑っているの? やはり頭でも打ったのかしら?」


母の横にいる綿毛ちゃんもお困りなようで。


(それにしても馬車か。前世では乗ったことないなぁ… しかも内装がすごい)


どうやら、この世界で彼女は御令嬢として生まれ変わっていたようなのだ。

それも、公爵家の貴族の一員らしい。


そして、彼女はカヌアーリ・ヴァ・リヴールという名で存在していた。


どうやら齢十一とな… 頭の中では三十五歳、独身女性からの十一歳の令嬢少女。

本人は心が付いていけないご様子だ。


そして、何とも不思議なこの綿毛ちゃんの事なのだが…


カヌアはなんと、人の感情がこの綿毛妖精を介して視えるようになっていた。


(良いのか悪いのか… 相手が知ったら嫌な気分だろうなぁ… 絶対黙っておこう! そんでもって、前世では惨めに過ごした分、この世界では色んなことやってギャフンと言わせてやる!!)


誰にであろうか?

しかし、そう決意したカヌア。


「あの… 先程の方は、その… 王子様なのでしょうか? ウィル様… と仰っていましたが」


そう質問すると、こいつ何言ってんだ的な顔の綿毛ちゃんが、グググッとカヌアの前に出てきた。


それと同時に、母の顔が3Dのごとく飛び出てきたのだ。


そして、お説教第二ラウンド開始の音も聞こえた…


カヌアは、頭をフル回転稼働させて整理した。


先程の黒髪ボーイはこの国アルデリア王国の第一王子、ウィルテンダー・ルネ・アルデリア様であるという。

彼はカヌアより、二つ歳上の齢十三の少年。


第一印象は、お友達にはなれないと思ったカヌア。


(てか、この国に私にはお友達いるのかしら? 記憶を辿る限り… いない… 作らねば! とりあえずもっと情報がいるわね! この世界の! 私、カヌアの!)


お母様のお説教半分、決意半分を頭の中でぐるぐると巡らさせていると、馬車がある所で停まった。


我が家、リヴール家に到着したようだ。


(あらやだ! 豪邸よ! 豪邸!)


そして着いた途端、真正面から…


(イ、イケメンがぁぁぁあ)


突然抱きついてきたのだ。


「どっどっどっどっ… !?」


(どなた!? どうした!? 誰ぇーーー!? イケメン達が、か、カケヨッテキタヨ… 意識飛… ぶ… )


カヌアはパニックになり、そして顔が真っ赤になった。


「カヌア! おかえり! 今日、馬術の見学をしにお城へ行ったんだって!?」


(あ、そうだった、思い出した。)


今日お城へ行った目的は、カヌアが先日、急に閃いたか何だかで馬に乗りたいと言い出し、そのための馬術の見学であったのだ。


そして、更に思い出した。

このイケメン兄ちゃんは、カヌアの兄様である。

しかも四人もいる。

全員性格はバラバラだけど、頭良し、芸良し、そして何より家族思いのスペシャルな兄様達であった。


(うーむ、幸せ。末っ子の女子の私をちゃんと甘やかさないで… いやまぁ結構厳しめで育ててくれる両親には感謝しないと。そして、兄様達には十分甘やかされるたいのだ。フフフフ)


カヌアの顔から、幸せな笑みが溢れる。


ついでに、彼らの綿毛ちゃん達も心なしかイケメンに視えるようだ。

思い込みって怖い。


そしてその超絶なお迎えをして抱きついてきたのは、四男のミルサ兄様であった。

彼は、二つ上の十三歳。


「ミルサ兄様… ぐ、苦しいです… 」


(嬉しいけど死ぬ。あ、嬉しくて死ぬ?)


「あ! ごめん! 嬉しくてつい」


(あら、やだ、かわいい)


前世のカヌアにとっては、十分歳下である。


「お出迎えありがとうございます。少々トラブルもありましたが、有意義な時間を過ごせました」


カヌアが、令嬢らしく礼を言ってみた。


すると、背中から黒いオーラがヒシヒシと感じた。


「え? 少々? … ですって? 本当にそう思う? あなた、さっきの私達のお話聞いてました? お夕飯後、もう一度説明する??? ん?」


そう言うのは、母アメリであった。


(最後の、 ’ん?’ が怖ぇ… )


「あ、お、お母様。よく、よぉく身に染みております。ちゃんと反省して挽回を… 」


(何の挽回よ)


そう思いながらも必死になって、その場から逃げようとするカヌア。


「さぁ! 兄様達をお待たせしては、申し訳ないですわ。着替えてきますね!」


そう言うと、カヌアは足早に自室へと走った。


後ろから 「走らなーい!!」 という母の美声と共に、お兄様の笑い声が恥ずかしくも嬉しかった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

何かお気づきの点があれば、コメントお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらこそ、かなりズバッと書いてしまったのに、受け止めて下さりありがとうございます。 初投稿とあったので、慣れてらっしゃらないのかなと愚考致しました。慣れるまでは皆さん、何回も編集したりし…
[気になる点] カギ括弧はセリフのやつは「」にした方が見やすいですよ。 『』は本の題名とかにしか使いません。作文と同じです。 あと、心の声の口調とかは統一した方がいいかと。 (なんとかやないかーい)み…
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