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episode131〜更なる真実〜

初連載の続きです。毎日投稿してます。ゆるく読んでいただければと思います。よろしくお願いします。




これまでの経緯を話したクーロス。

カヌア達の会話を眺めていたヘィラが口を開く。


『それで?ここまで辿り着いたのはいいが、どうやって私を解放してくれるんだ?』


『ん?解放って?このまま一緒に出ればいいんじゃ?』


カヌアがそう言うと、クーロスが首を横に振りながら言った。


『ヘィラはその椅子から立ち上がることができないんだ。その椅子の呪いによってな…』


『椅子の呪い?』


カヌアは耳を疑い、聞き返した。


『あのバカ息子…こんなもの贈りおって…親に呪いをかけて一体何が目的だ?』


少し熱り立ったようにヘィラが言った。


『え?椅子を送って呪いをかけたのって息子さんなの?えっ!?叔父様子供いたの!?』


更なる真実にカヌアは、驚きが隠せないでいた。


『あぁ、まぁな…しかしもう何年も会ってない。それにどこにいるのかさえわからない。名前まで変えているから探すにも探せないんだ。だから呪いの解き方さえもわからないままだ。おそらくこれを送った本人なら解き方を知っていると思うんだが…』


そのクーロスの言葉にカヌアは思い当たる感じがして聞いてみた。


『ねぇ…叔父様?その息子さんって、私が幼い頃にアルカスの森の小屋で一緒に遊んだことある?』


『ん?あぁ…たまに会っていたな。だが、俺の息子は生まれつき足が悪い…だからあまり外には出たがらなかったんだ。そうだ、俺の小屋に最近行ったんだよな?』


『うん…そこで色々手掛かりを見て、ここまで辿り着いたから…』


『そうか…そこに古びた剣はなかったか?』


『あ、あったよ…あ、でも今はな…』


『ありますよ』

とカブラがその古びた剣を差し出した。


(さすがだ)


『それを渡してくれないか?』


クーロスが手を伸ばすと、ウィルがその手を制した。


『悪いがそれはできない。大事な証拠品だからな。それにこれで何かを企んでるかもしれないし…』


『そんなことはしない…しかし信用は無いに等しいから仕方がない…それは、息子が初めて作った剣だ。歪だが、俺にとっては立派な息子の成長の証だ』


残念そうに言うクーロスを見て、少し胸が苦しくなった。


(だから大切にされてた感じがしたのか…)


『息子は…外に出れない分、物を作るのが好きだった。将来はそういった仕事に就きたいとも言っていた。あの歪なテーブルも一緒に…』


(ん?)


『ちょっと待って!!待って…その息子さんって足が悪くて…剣も作れる…えっ!?もしかして…ファイスさんのことなんじゃ!?』


カヌアが突然その鋭いと言われる勘を、フルに使って叫んだ。


『えっ!?フェクダのところのファイスか!?鍛冶屋の…確かに…歳もそのくらいだな…』


ウィルとカヌアのその言葉を聞いて、クーロスは驚愕した表情を見せた。


そして、カヌアに駆け寄り肩をグッと掴んだ。


『カヌア!そのファイスという青年の所へ連れて行ってくれっ!』


『痛っ、で、でも、本当に彼が息子さんかどうかがわからな…』


『頼むっ!』


今までに見せたことのないような必死の形相で、クーロスはカヌアにせがんだ。


しかし、ウィルがその手を剥がす。


『離せ!痛がっている』


『カヌア様これ以上はもう…』


カブラがクーロスを抑えながら言う。

しかしカヌアはやはり良心が疼いていた。


『わかった…会わせます。でも条件を出すわ。まだ叔父様をここから出すわけにはいかないから。これは、ウィル様の面目にも関わるので。そしてその色の方の三色を私に渡して。あとここにカブラ様に残っていただきたいのですがよろしいですか?ウィル様』


『構わない』


ウィルはその言葉を重く受け止め、承諾した。


『カブラ様は私達がここに到着したら、中から扉を開けて下さい。ここにファイスさんを連れてきます。彼は足が悪いので何度もあの階段を使わせるわけには行きません。ここから直接入ります』


『わかりました』


カブラが頷いた。


『カヌア、礼を言う…』


クーロスはカヌアを真っ直ぐに見つめた。

カヌアは気まずそうにしながらも、軽く頷いた。


『くれぐれもカブラに手は出すなよ?俺の大事な側近だ』


ウィルが釘を刺すようにクーロスに言った。

深く頷くクーロス。


『ここを出たら、すぐにワイムに王宮に行かせる。そして、馬車をファイスの元へと手配させる。それでいいか?カヌア?』


ウィルの言葉にカヌアは目を見開いて聞いた。


『え?ワイム?でも彼は…』


『ワイムは無事だ。おそらく既にこの遺跡の上にいるだろう…』


『え?それってどういう…?』


『話はあとだ。とりあえず急ごう』


そしてカヌア達はカブラを残し、遺跡の入り口へと続く階段を登った。


入り口らしき扉から出ると、やはりそこはいつも見ていたトゥバンの遺跡であった。


そこにはウィルが言う通り、ワイムがいた。


『ワイムッ!!』


その姿に抱きつくカヌア。


『良かった!無事だった無事だった!本当に良かった!ねぇっ!怪我はないっ!?』

と言って、ワイムの身体を触りながら確認する。


ウィルが今にも従者を斬りつけそうな目つきをしている。


もちろんその空気に気付いていたワイム。


『あ、いや、怪我はありません。なので…』


しかしカヌアは心配と申し訳ない気持ちが混ざってその身体を離さない。


『あんなとこに一人で行かせてごめんね!蓄光石の事がもっと早くわかっていれば…それで、どうやって出たの?』


とても気まずそうにするワイム。

少しでも足掻こうと両手が上がっている。


『あっ、あの…俺クビになりたくないんで…離れてもらえます?』


そしてついに糸が切れたウィルが、グッとワイムからカヌアの身体を引き離す。


ワイムが引き攣った顔をしながら報告を続ける。


『どのくらい歩いたかは定かではありませんが、途中で行き止まって、そこには入った時と同じような扉がありました。その扉には取っ手はありませんでしたが、押すと簡単に開きました』


『私達の道の先にあった扉と同じだわ』


『やはり…中からは押すだけで簡単に出れるようになっているんだな…だから取っ手がなくともいい。しかし外からは取っ手がないと引けない。そのために、色の三原色が必要だったんだな』


ウィルは考察しながらもカヌアの身体を離さなかった。


『その扉から出た先には地下のような部屋はなく上へと登る階段でした。その階段の先は、王宮内の庭園へと続いていたんです』


『やはり…トゥバンの印だな。クロノスの塔だな?』


ワイムは頷いた。


『この三箇所が地下で繋がっているのはこれで証明されたな』


ウィルの言葉にカヌアも頷いた。


『あの蛇であり竜の形をしたトゥバンの印は、そう言うことだったんですね…』


『ワイム!至急王宮から馬車を手配して、フェクダのファイス夫妻の所へ。あと、何人か衛兵をここへと配備させろ』


『御意。勝手なことだとは思いましたが、何人かの衛兵は既にこちらへと向かっております』


『そうか…助かるワイム』

と言って、ウィルはワイムの肩を叩いた。

少し強めに…


(やはり怒ってらっしゃる…)


(やるじゃんワイム)


カヌアはそんな事もつゆ知らずに、ワイムを何故か誇らしげに見た。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

大変恐縮ですが、評価を頂けると今後の励みになります。


他にも何点か完結済みの投稿もございます。

宜しければそちらも読んで頂けると幸いです。

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