episode119〜全てを明かす一歩〜
初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。
ある衝撃的な事実を知ってしまったウィル。
その人物を必死に探しているが、一向に見つかる気配がない。
(どれもこれも…すべて繋がっているのか…?これが本当だとしたらカヌアはきっと…クソッ)
そう思いながら、ウィルはケーフ山脈へと愛馬を走らせていた。
地下街の長老タラゼドに会いに。
そして最悪な事態は続けて起こった。
数日経ったある日、カヌアは最近ウィルに会えてない事に不安を覚えていた。
(今日もいないのか…これで何日目?何かあったのかな?やだな…胸騒ぎがする…カブラ様もいないし)
そして、さらに2日ほど経ったある午後。
突然カヌアの部屋のバルコニーの窓を叩く音が聞こえた。
ワイムだ。
『ワイムッ!いきなりどうしたの!?ねぇっ!てかウィル様知らない!?最近全然姿を見ないし!それに!カブラ様だって!何かあったの!?』
少し泣きそうな顔をして言うカヌア。
そんな顔を見て、胸が詰まるような思いに一瞬なったが、それを抑え込んで要件を言うワイム。
『それは…その件はまた後ほどわかります。それより大変です。リヴール家の侍女であるアリー殿が何者かに連れ去られました』
それを聞いたカヌアは一瞬頭が真っ白になった。
しかしすぐに気持ちを切り替えて、リヴール家へと馬を走らせた。
(何でアリーが!?トラストル家?でも全て摘発したはず!じゃあ誰!?誰がアリーを??あぁ、どうか無事でいてっ!)
カヌアは必死に祈った。
リヴール家の屋敷に到着するとそこには、ウィルとカブラがいた。
『え!?ウィル様っ!?それにカブラ様も!一体今までどこにっ!?いや!それよりアリーはっ!?アリーが連れ去られたって本当ですか!?』
カヌアはその状況に非常にパニックに陥っていた。
ウィルが近づいて涙目になっているカヌアの両肩を優しく摩る。
『あぁ…本当だ。それと…ノゥリアも数日前から姿を消している…今も国中の総力を上げて探しているが、どこにも見当たらない。おそらく同じ人物が2人を攫った可能性が…』
ウィルがそう言うと、カヌアは目を見開いて大きな涙を溢した。
『ノゥ…リア?何で…?何で教えてくれなかったんですか!?一体誰がこんなこと!!』
カヌアが取り乱しながら、ウィルの腕を力一杯握りしめて言う。
カヌアはこの時初めてノゥリアが連れ去られたことを知ったのだ。
『…すまない。言うのが遅くなってしまった。事実確認や捜索で戸惑ってしまい…いやそれは言い訳だな。すぐにでもカヌアに伝えるべきだった』
ウィルは申し訳なさそうにカヌアに言った。
『……ウィル様もカブラ様も全然姿を見せないし…私は…そんなに信用ならないですか?』
『……そうじゃないんだ…カヌアを信用してないとかではなく…』
カヌアは落ち込んだように俯いて言った。
そんな2人のやりとりを見てカブラが、そっと口を開いた。
『カヌア様。ウィル様はカヌア様に心配かけまいと…何日間もご尽力されておりました。ご理解の程を…』
『…はい。それは重々わかっております。私も少し取り乱してしまい…ごめんなさいウィル様…』
と言ってカヌアはウィルの手をそっと包んだ。
すると、ウィルが意を決したようにカヌアの目を真っ直ぐに見て言った。
『カヌア…落ち着いて聞いてくれ…思い当たる人物が1人いる。それはおそらく…クーロスかと…』
その言葉にカヌアの冷静さは再び失われた。
『え?何を言ってるんですか?そんなはずありません!憶測で物を言わないでください!証拠はあるんですか!?』
とカヌアが言うと、その言葉が来ることを知っていたかのようにウィルは応えた。
『あるんだ…証拠が。何日か前にワイムから、ノゥリアが連れ去られたと一報が入った。そして、それと共にクーロスの家からある物が見つかったということも…筆跡もちゃんと確認が取れた』
『クーロス…叔父様の家から?』
カヌアが信じられないという顔をしながら言う。
その表情を見ながらウィルは言いづらそうにして言う。
『そう…だ。俺はすぐにクーロスのその家へと向かった。そこで見た物は…今までの不可解な事件と繋がりのある物だった。そして、ある3人の人物の名前が記された紙があった…そこにはこう書かれていた。
‘キルラ・ジョーヌ・アルガダ・第三王子‘
ここには罰がついていた。
‘ノゥリア・シアン・オミロス‘
これにはチェックした印が。
そして‘アリー・ラ・トラストル‘
この名のミドルネームからは後は罰、そして、新たにその下にマジェンタ・プルグスと書き直されていた。
そして今、そのうちの2人の消息が経っている。恐らく、ノゥリアとアリーを攫ったのは…』
とウィルがここまでの真実を言うと、カヌアは嘆くように言った。
『う、嘘…そんなはず…絶対信じない!この目で見るまでは絶対に!!』
しかし、ウィルは続けた。
カヌアに真実を全て話そうと決意したからである。
『それに…その後俺はノゥリアの情報を聞くため、ケーフ山脈にいるタラゼドに会いに行ったんだ。そこでクーロスらしき人物の声と仕草をタラゼドが聞いていた。何故タラゼドがクーロスのことを知っていたのはわからないが…もちろん彼のフラフィーは嘘をついてはいなかった』
『叔父様が今どこにいるのかわかっているんですかっ!?』
『いや、ノゥリア達と同様、行方がわからない。今、国をあげて探しているんだが、一向に手掛かりがないんだ…何か…』
するとウィルが途中で言うのをやめ、考えに入った。
(クーロスの家で見た物をカヌアにも見せるか…何かわかるかもしれない)
『カヌア…今からクーロスの家へ行こう』
そう言うと、カヌアは深く頷き、ウィルと共にそのクーロスの家という場所に向かった。
その途中、カヌアは違和感を感じた。
『ん?どこへ向かっているんですか?』
カヌアが知るその景色とは違かったのだ。
『北西にあるアルカスの森だ。ん?以前レイルとこの辺に来たと聞いたが?』
そう応えるウィルにカヌアは心当たりがあった。
『え?それって…?』
『サラの家のすぐ側の森だ』
『あ…あそこはアルカスの森と言うのですね。でもそこではないですよね?叔父様の家のあるのはカリストの森ですよ?』
『ん?ではあそこは一体…』
2人は首を傾げながら顔を見合わせた。
その小屋に到着するとカヌアはやはり首を傾げながらウィルに伝えた。
『うーん、やっぱりここは…叔父様の家ではないですね…昔…小さい頃よく連れて来られた叔父様の…小屋…秘密基地みたいなとこで…小さすぎて記憶が曖昧でしたが…こんな所にあったんですね…あの時…確か…私より大きな男の子が…いたような…?』
カヌアが記憶を辿るように言った。
(それにしても叔父様は最近ずっとここにいたのか?家に行ってもずっと会えなかったし…叔父様…一体何をしてるの?会いたいよ…)
そんな辛そうなカヌアの顔を見てウィルが言う。
『カヌア…無理にとは言わない。今日は中に…』
『入りますっ!もちろん!』
そう言うとカヌア達はその小屋へと入っていった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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