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episode118〜相違〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



先程ウィルの公務室にて、サラの陛下からの勅書の命を聞いたカヌア。

何だか全然実感が湧かないまま屋敷に戻った。


ヴェガをリヴール家厩番のログにお願いし、自室に入る。


すると部屋には色々と飾り付けをされていた。

サラとアリーが用意してくれたのだ。

それを見たカヌアは感嘆な声を上げた。


『えっ!?あらやだ素敵ぃ〜ってか!私が2人にお祝いしたかったのに!私もやる!』


『え?2人の?私のもですか?カヌア様?』

とサラが言う。


『あー敬語はやめてやめてぇ。うちらだけの時はいつも通りでいいから。アリーもね!それに2人とも今日が私のお付きになった日なんだよ!だから記念日だね!』

とカヌアは明るく言う。


それに対し、アリーが応える。


『じゃあカヌアもご主人になった記念日だね!』


そうして3人は3人のためのパーティーの準備をした。


準備が整い、カヌアが急ぎエミリアに用意させていたパジャマを2人にプレゼントした。

それを受け取った2人は目をキラキラさせて言った。


『素敵…こんなの初めて着るよ…』


『ヒラヒラのふわふわだ…』


『えへへぇ〜お揃いにしちゃったぁ。サラは薄い水色、アリーは少し濃いめのピンク。2人の髪色に合わせたよ〜』


カヌアがそう言うと、2人はお礼を言った。


『ありがとう!カヌア!』


『何て素敵なプレゼント。カヌアは白なんだね!純白の…素敵』


カヌアが照れくさそうにしながら言った。


『さっ!着よ着よぉ〜!』


3人はパジャマに着替えると早速パーティーという名のお喋り会が始まった。


3人と言うより5人だ。

カヌアには目の前に女子2人、小さいじいさんが2人視えているのだから。


3人がくだらなくとも楽しくお喋りをしていると、屋敷に誰か来たのかロキが部屋へと呼びに来た。

部屋の扉が開くとカヌアが聞いた。


『ロキ?どうしたの?』


『あ、えと…』


ロキはパジャマ姿のお姉さん達に少したじろいだ。

彼のフラフィーが顔を真っ赤にしている。


(おや?あらあら。お可愛いこと…ふふ)


カヌアがそう思っていると、サラも少し近づいて言った。


『ん?ロキ殿?少しお顔が赤いですが大丈…』


『あっ!はいっ!えと、カヌア様に王宮からお届け物が届いております!』

と少し後退りしながらロキは言う。


応接間に行くと、そこには色とりどりの花であしらわれた沢山ののフルーツやらチョコレートやらが籠いっぱいに入っていた。

オシャレな形のケーキなんてのもある。


(まっ眩しい…!)


カヌアはその素敵な贈り物に感動した。


『これは一体どうしたんですか?』


その場にいた母アメリにカヌアは聞いた。


『ふふ、あなた達にとウィル殿下から贈り物みたいですよ?』


アメリがそう応えると、3人は驚き何故か拍手が巻き起こった。

そしてカヌアが呟やくように言った。


『ウィル様…先程会った時に今日はうちでお祝いをするとさらっと言っただけなのに…』


(やることが王子そのものだ…乙女の心わし掴みやないかっ!)


そう思いながらカヌアも鷲掴みにされた1人だった。


『そうね。たっぷりとお礼をしなくてはいけませんね?カヌア?』


アリーが含みのある言い方をした。


『たっぷりと…です…ね。明日きちんと言います』

と何となく母が言っていることがわかってきたカヌアはそう言うと、3人は心躍りながらそのデザート達を部屋へと運び始めた。


ロキも誘ったが、首がもげるんではないかというくらいの勢いで、横に振って断られた。

なので、そのデザートを少しお裾分けしてあげると、照れながらも頭をペコッとして自室へと戻って行った。


(((か、可愛い…)))


女子3人は子犬のようなロキにも心をわし掴みにされていた。


そして、先程よりもさらに盛り上がっているカヌア達…静かにしなきゃいけないと思いながらも止められない。

女子のトークは止められないのだ。


今日だけは家の者は目を瞑ってくれている。

何だかレイルの気配を少し感じるがまぁいいかと思いながら、カヌアはその場を楽しんだ。


そして改まってカヌアは2人の方を向いた。


『サラ、それとアリー。今日からこう言う形になったけど側にいられて嬉しい!友達としても…その、よろしくね』


『もちろん!…ですわカヌアーリ様、ウフフフフフ』


『了解…にございます。カヌアーリ様、ふふふ』


3人は笑いながらお互いの手を取り合った。


そして、夜遅くまで3人のお喋りは止まらなかった…

いや、夜中まで…

あぁ、朝まで…それは続いた。


日が昇り切った頃にエミリアが起こしに来ると、3人はまだ寝ていた。

微笑むとそっと扉を閉めた。


(今日だけですよ…ふふ)



しかし、昨晩からある事が大きく変わっていた。

この世界が…白に留まるのか…それとも…


カヌア達が楽しんでいた頃、ウィルが自室で眠っているとそっとワイムが横に来た。

すぐに気配に気づいたウィル。


『…ワイムか?どうした?』


『お休みのところ申し訳ございません。ウィル様…急ぎ申し上げたき儀がございます』


ワイムがそう言うとウィルはすかさず聞き返した。


『構わない。なんだ?』


『それが…』


それを耳にした瞬間ウィルは驚愕し、そして頭を抱えた。


『なんだとっ!それは…誠なのか?…早急に手配を…くまなく探せっ!なんて事だ…信じられない…この目で実際に見たい。ワイム、これから、その場所へと行く』


『これから…でございますか?…御意。すぐに馬をご用意致します』


そう言うと、ワイムは姿を消した。


(あぁ、なんてことだ…よりによって…カヌアの…)


そしてすぐにウィルは事実確認をするため、ある場所へと赴いた。


(ワイムが言っていたことに相違は無いか…間違えであればどんなに良かったか…何故、この人達が…?それにこれは…何を意味している…)


ウィルはその目の当たりにしている状況が理解できずにいた。


それから丸1日経った今、昨夜の出来事が未だ解決しないままでいた。


しかし、カヌアはまだこれを知らない。


ウィル自身、まだ困惑し事件の整理が出来ていない状況であった。


(カヌアに言うにはまだ情報が曖昧過ぎる…一体どうなっている…)


ウィルが自室で頭を悩ませていると、部屋の扉が叩く音がした。

ウィルが返事をすると、そこにはカヌアが立っていた。


そんなカヌアを見て嬉しい半面、事件によって複雑な気持ちが湧いていた。


『カヌアか。どうした?』


(あれ?なんか…)


ウィルの様子が少し変だなとは思いつつカヌアは応えた。


『お休みのところ失礼しますウィル様。昨夜、屋敷へと贈り物をしてくださいましたね?感動しました!すごく素敵でとっても美味しかったです!2人もすごく喜んでっ…!?』


すると、そんな無邪気に喜んでいるカヌアを見て、ウィルは感情が制御できなくなった。


話しているカヌアの唇を突然奪ったのだ。

カヌアはもちろん驚いて目を見開く。


(きゃぁぁぁ!突然のキースッ!何事!?)


最近2人きりになっては口付けを求めてくるウィル。

でも今日は違った。


(まだ恥ずかしい…でも嬉しい…あれ?ん?んん!?なんかいつもと違っ!ハッ!)


カヌアは思わず手でその身体をゆっくり押し返した。

ウィルがとても残念がっているのがわかる。

いやショックな顔をしている。

しかし、カヌアはこの状況を冷静に分析していた。


(これ以上いくとまずい!ここは密室になり得る…、隣にはベッド…非常にまずい!)


『ウィ、ウィル様…あ、あの、正式な婚約はまだ…ですよね?なのでちょっと早…』


そうカヌアが言おうとすると、ウィルも反撃して言った。


『カヌア、既成事実という言葉を知っているか?』


(知っていますとも…でも…心の準備が…準備期間が短すぎるのよ…)


カヌアは、どう対処したらいいのかわからなくなって違う行動に出た。


『では!今日はこれで!これならっ…』

と言ってカヌアはウィルに抱きついた。


最近、カヌアからもたまにするようになったので、それで誤魔化そうとしたのだ。


(とりあえず…これで…ん…?なんかいつもと…違っ!ハッ!)


カヌアはウィルの身体の異変に気づき、またその身を押し返した。


(さ、さっさらにヤバい状況になってしまった…)


カヌアは焦った。焦りすぎて、おかしなことを口走ってしまった。


『ウィ、ウィル様!落ち着いて、お、落ち着いて!ね!落ち…着かせて下さい…』


その言葉にウィルは頬を赤くしながらも複雑な顔をしていた。


さらにカヌアの顔は真っ赤になり、これまたおかしなことを言い出した。


『ウィル様のその…‘ウィル‘を…落ちっ…とっとりあえず今日はもう寝ましょう!ねっ!私は!……自室へ!戻りますっ!ゆっくりとおやすみなさいっ!』


カヌアは目線を明後日の方向に向けながら言った。

一番落ち着きがないのは彼女自身である。

それを聞いたウィルはさらに残念そうな顔になった。


『俺の…俺…』


そう呟いたが、部屋を出ようとしたカヌアをウィルは引き留めた。


『ちょっと待て!』


ウィルはその腕を掴んで抱きしめた。


『行くな!今夜は一緒にいたいんだ!大丈夫だ。カヌアの嫌なことはしない。約束する!』


『あ…あ、あああのっ!』

と顔を鬼ほど真っ赤にしながら振り向くカヌア。

そして続けて言う。


『その…嫌なこと…では無いんです…ただちょっと、心の準備が…』


『嫌では…ないのか…そうか』


カヌアの言葉を聞いたウィルはみるみるうちに明るい表情になった。


(良かった!!)


ウィルは嬉しく思った。


『わかりました…寝る…だけなら…私も気持ちは同じです。一緒に過ごしたいので…すぐに着替えてきますね』


カヌアはそう言うと一礼して、一度自室へと戻った。


しかしウィルの様子がやはりおかしいと思ってはいた。


(なんか…ウィル様…本当にいつもと様子が違かったな…何だろ?まぁ思い過ごしか…)

ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

大変恐縮ですが、評価を頂けると今後の励みになります。

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