表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/134

episode10〜炎の中で〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。


カーンカーンッと危険を知らせる鐘の音が、街中に鳴り響く。


(火事だ!!)


飲食店であろうか。


その建物から高く登った黒煙は、真っ赤な火と共に街を赤黒く染め始めていた。


街の人々が逃げ回る。


転んで逃げ遅れそうになる者もいる。


そんな中、現場のすぐ側で取り乱してる男女がいた。


「娘が!! ロザリーがまだ!! 中に!!!」


今にでも火の中に飛び込みそうなその二人を、必死に止める大人達。


「ダメだ!! もう中に入れないぞ!! 危険すぎる!」


「いやぁぁあーー!!」


(嘘でしょ… 中にまだ? そんなのって… )


カヌアは考え…… なかった!

そんな考える余裕なんてなかったのだ。


近くにあった洗濯途中だったであろう水樽を持ち上げ、全身に浴びる。


そして、濡れてた布を頭から被り深呼吸をして、燃え盛る建物へと入って行った。


「おい!!!」


そう制止しようと周りの大人達が声をあげたが、カヌアは既に火の中に飛び込んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(熱い… 熱い… どこにいるの??)


灼熱の燃え盛る炎の中、カヌアは低く身を屈めている。


(うっ… こんなの… 息が持たない… )


ガラガラ… ドンッ


燃える建物から、何かが落ちる音が聞こえた。


(どこ… )


すると、女の子の声が微かに聞こえた。


「マ… マァー」


(早くしなきゃ!!)


「ママァーパパァー熱いよ… 助けて… ゴホッ… 助け… 」


弱々しくも、必死に助けを求める声が聞こえる。


(声が近い!)


すると、部屋らしき隅に女の子が、ぬいぐるみを持ってうずくまっているのが見えた。


(いた!!!)


ゴホゴホと咳き込む。


しかし、女の子はうずくまって動かない。


「ロザリーちゃん!?」


カヌアは、頭からかけてた布を少女にかけた。


その時、バラバラっと天井から建物が崩れ落ちてきた。


(あぁ、本格的にヤバい… マジで。この子だけでも助けない… と… )


カヌアは咳き込む中、意識が遠のくのがわかった。


(苦し… い)



「いた!! ここだ!! おい! おいっ!! しっかりしろ!! くそっ!」


(誰… ? か助け… )


「ウィル…… ?はっ!! この子をっ! 早く!!」


その目の前にいたのは、カヌアを探しに街へ来たウィルであった。


ウィルは一瞬ホッとしたが、すぐに険しい表情に戻った。


「もう少し我慢しててくれ」


そしてウィルは、カヌアを抱えた。


付き添ってきたカブラは、少女を抱いて足早に建物から出た。


外では少女の両親が、絶望で立てなくなっていた。


しかし、ウィル達が出てきたのに気が付くと、カブラの腕に抱えられたロザリーを見てすぐに駆け寄ってきた。


「あぁーロザリー!! ロザリー!!」


両親が精一杯の声をかける。


「大丈夫ですよ。少し煙を吸い込んだみたいですが、彼女が濡れた布で保護してくれてました。あとは火傷がどの程度か見てあげて下さい」


カブラはそう微笑むと、そっと父親の腕に手渡した。


「ありがとうございますありがとうございます!」


何度も頭を下げてお礼を言った。


一方、ウィルはカヌアを現場から、少し離れた木陰へとおろした。



(熱いな… )


ウィルの手が、カヌアの顔をすべる。


水で濡らした布で顔を拭ってあげると、カヌアの意識が少し戻った。


「あ… れ?」


「大丈夫か? 水… 飲めるか?」


ウィルはそう言うと、持っていた水を口に運ぶ。


しかし、弱々しくも口から水が流れ出てしまう。


するとウィルは水を自身の口に含み、そのままカヌアの口に流してあげた。


飲み込むのを確認すると、ウィルの腕がカヌアの背中に周る。

そして、そっと抱き寄せた。


(なんでこんな無茶なことしたんだ。まだお前に何も伝えられてない。何も出来てないのに… )


心が押し潰されるような思いで抱きしめた。


カヌアの意識は昏蒙していたが、その温もりに安心を覚えていた。




ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ