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episode101〜ロキの一面〜

初連載の続きです。なんとか毎日投稿出来てます。ゆるく読んでいただければと思います。



北にあるケーフ山脈から、一度都へと戻ったカヌア達。


数日後、今度はロキを連れて、再び山脈へと行く日となった。


今回はカヌアとウィルに加えロキ、カブラ、ワイムの五人でケーフ山脈へと向かう。


ロキはまだ一人では馬に乗れないと言うこともあり、ワイムと同乗していた。


カヌアが一緒に乗りたいと申し出たのに対し、ウィルがそれを許さなかったのだ。


(いくらまだ子供だからといって、ロキは男だぞ?同乗なんて絶対させない…)


ウィルの嫉妬心は揺るがない。


向かう途中レグに乗りながら、カヌアはロキに話しかけた。


「ロキッ!久しぶりの乗馬!どう?気持ちいいでしょ?」


「はい!とても楽しいです。でもカヌア様、今日はケーフ山脈まで行くんですよね?その…例の地下というところを探しに…僕なんかがお役に立てるでしょうか?」


不安そうにロキは話す。


「うん…この間は少し辛いことを思い出させちゃったよね…今回ももしかしたら、この前みたいに不安にされるような事になるかもしれない。でも…ロキの力が必要なの!どうしても…だからどうか協力して欲しい…嫌なことをまた思い出させちゃうかもしれない…怖い思い出が蘇ってきちゃうかもしれない…それでもロキに頼むしかないの!もちろん、休み休みで良いから…ロキのことは、私が何が何でも守るから!」


「いえ!大丈夫ですっ!何よりカヌア様に守ってもらうほど、僕はもうやわじゃないですよ!もちろん!僕のできることなら何でもお手伝いします!だって…だって、孤独に埋もれていたこの僕を救い出してくれたのは、紛れもなくカヌア様です!僕だってちゃんと御恩くらいは返せますから!」


少し膨れつらで言うロキ。


しかし、すぐにいつもの優しい笑顔になり、しっかりとカヌアの望みを受け止めてくれた。


(男の子だなぁ)


ロキが少しずつ大人へとなってくのを感じたカヌア。


それにロキは事実、それほどやわではなかった。


普段からリヴール家の男性達に稽古をつけてもらっていたからだ。


彼の呑み込みの速さは凄まじく、そして中々の筋が良かった。


ただそれ以上にカヌアが強いのも事実。


なんせ、先日の武道大会で総合二位に上り詰めるほどの腕前であるのだから。


本当に強い。


カヌアはロキを変に不安にさせないために、ニコッと笑うと話を変えた。


「その眼鏡どうしたの?とっても似合ってるね」


「これは…ロザリーからもらいました。僕が眩しいのが苦手だと言ったから…」


照れたようにロキは言う。


「あら!?ロザリーが?さすができる子ね!きっと彼女はいいお嫁さんになるわね!」


と少しからかうように、カヌアは言った。


(ロザリーがね…ふふふ、仲睦まじいこと。随分親密になったのね。照れちゃってぇ可愛い可愛い)


カヌアがにっこにこしながら、更に聞いた。


「ロキは眩しいのが苦手なの?それは前から?」


「そうですね、以前から苦手でした。昔、暗いところにばかりいたからでしょうか?この眼鏡、物が見やすくなるとかではないんですよ。このガラスに少し色が入っていて、明るい所でも光を抑えてくれるんです」


「ふふふ、宝物だね!大切にしなきゃだね!」


カヌアは笑顔で言いながらも、あることを思い出していた。


(そういえばノゥリアも眼鏡してたな?あれも色付いてたかな?あいやぁ、ちゃんと見ておけばよかったな。それにしてもノゥリアはどこにいるんだろ?あれから居場所の手掛かりはわからないままだし…)


そして山の麓まで着くと、そこから更にワイムが見つけたという、黄色の石の埋まっていた場所へと足を運んだ。


しばらく行くと、ワイムは立ち止まり何かを指差した。


「この場所です。ん?あれ…?おかしいな?」


ワイムは道への手掛かりとして残して置いた、木の傷を見て首を傾げた。


「どうかしたのか?」


ウィルがそう聞きながら、馬から降りた。


それに伴って、全員地面へと足をつける。


「それが、この目印の傷とともに、小刀を指して置いたはずなんですけど…なくなってます…」


と少し嫌な予感を抱えながらワイムが言う。


「とりあえず、この石を見るとしようか?」


(本当だ…埋めたというよりは、なんか浮き出てきた?って感じ?)


カヌアはそう思い、その石を取り出してみた。


もう一度その石とロキの瞳を見比べ、確認してみる。


「やはり同じ色のように見えます」


カヌアのその言葉に、ウィルも横から覗き込んで見た。


「本当だな…確かに」


ロキは自分では見れないので、少したじろいだ。


しかし、その鉱物らしき物をジッと見つめるロキ。


「ん?ちょっと待って下さい…これって…」


そう言うと、ロキは自分の胸元のペンダントを取り出した。


「あっ!そのペンダント!一度見せてもらったね!ん?んんん?ペンダントの石って…」


カヌアも何かに気が付いたように、言いかけた。


「はい。ここに埋まってる石と同じ石のように見えます。磨かれてて気が付きませんでしたが、確かにこの匂いは同じ石」


(え?匂い?石に匂いなんてしたかな…?)


すると、ロキが何を思ったか、その石の匂いを嗅ぎ始めた。


(え…可愛い…)


カヌアは謎のスイッチが入り始めた。


そして、ロキが今度は周辺の匂いを軽く嗅ぐと、口を開いた。


「こちらです…」


その場にいた全員が、え?と言う顔をした。


しかし、皆がそれに従って、ロキについて行く。


ロキはどんどん姿勢が低くなり、地面を手で払う。


すると、その場から同じような黄色い石が何個も出てきた。


ロキはそのまま地面の匂いを嗅ぎ、払うを繰り返し進む。


地面を払ったところには必ず黄色い石が出てきていた。


カヌアが試しにその辺の地面を払ったが、何も出てこなかった。


「この石の匂いを嗅ぎ分けて、進んでいるのか?」


そうウィルは言う。


そんな不思議な光景の中、カヌアは少し違う観点でロキを見ていた。


(あぁ…ロキ。ワンちゃんみたい…撫でたい…今すぐ撫でくりまわしたい…可愛い…)


カヌアの息は少しずつ上がっていた。


そして、ロキが止まった。


しかし、そこには何もないように見える。


すると、ロキがおもむろに足元の地面を手ではらい始めた。


それは先程までのはらい方ではなく、もっと深い様子だった。


もはや掘る勢いだ。


(ここほれワンワンね…あぁ、なんて可愛い…ハァ…ん?えっ!?あ!)


カヌアは変態思考から抜け出し、我に返った。


「ロキ!ここに何かあるのね!手伝うわ!」


そう言うと、従者二人はカヌアと代わり手伝った。


程なくして何か硬いものに当たった。


「これは…板?いや扉か?」


ウィルがそう言う。


そこには四角い扉のようなものがあったのだ。


「まさか…これってもしかして、私達が探していたものなんじゃ…」 


カヌアの言葉に、ウィルが深く頷いて言った。


「地下への…扉だな…しかし、どこにも取っ手がない…」


「え?確かに…う〜んでも…どうします?今この扉が開いたとして中に入っても、出る頃には日が暮れてますよね?暗い山の中は危険じゃないでしょうか?…一旦戻って日を改めてまた明日にでも…」


とカヌアが言おうとしたその時、どこからともなく矢がカヌアの横をすり抜けて地面に当たった。


(え?何?)


一同は一斉に警戒し、それぞれ身を隠した。


ロキはワイムと一緒である事を確認でき、カヌアはホッとした。


すると、もう一矢放たれたと同時に痛々しい声が聞こえた。


「レグッ!!」


その声がレグのものだと、カヌアは咄嗟にわかった。


レグはそのまま走って、山の奥に行ってしまった。


(マズイッ!!)


「待ってっ!!レッ…レグッ!」


そう言ってカヌアは、レグを追いかけて走った。


もちろん人間の足がレグに敵うわけがない。


しかし、追いかけるのをやめると言う考えは、彼女には一切なかった。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

突っ走って書いているので、何かお気づきの点があればコメントの方よろしくお願いします。

大変恐縮ですが、評価を頂けると幸いです。

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