図書館でぶっ倒れたらいつの間にか出れなくなってた
ここまで長い文章を書いたのは初めてなので誤字、意味が分からない、矛盾しているなどがあるかもしれません
もし、発見した場合誤字報告や感想などで教えてくれると嬉しいです
もしも俺に才能があって、この世界を変えられるほどの力を手に入れるとする
そしたら剣や魔法を駆使して魔王を倒したり、美少女を救ったり、持ち前の力でがっぽり稼ぐことも出来るだろう
人をそれは無双という(ただし前世に住む廃人に限る)
しかし現実で簡単にこれを出来るかというと、否である
実際には才能があっても努力しなければ意味が無いし、そもそも人一人ができることには限界がある
逆に言えば才能がなくても努力し続ければいつかは報われるかもしれないし
人脈があれば努力せずとも周りが助けてくれるだろう
なぜこんな説教みたいな話をしているか、それは簡単だ
俺には才能も、努力も、人脈も無い
つまりこの世界を無双する力が無いのだ
いや、ないわー、剣も魔法も才能ないとかないわー
だからといって寿命を削る努力なんかしたくないし、頼れる人脈もまだ子供だし当然無い
これでチートスキルとかあるならまだしもテンプレシアにそういうのは無かった
ちなみにテンプレシアっていうのは俺が勝手に付けたこの世界の名前である
それはともかく、このままだと無双どころか最悪、ニートになってしまう
それは流石に嫌だ
というわけで翌朝、窓から脱出して近くの街の図書館に行った
ちなみになぜバレないように行くかというと護衛が鬱陶しいからだ
あいつらが居るとろくに本を読む時間ももらえず、閉館二時間前には帰らないといけなくなる
ガキ扱いしやがって、これでも前世の年齢足したら三十代なのに
ついた頃には夕方になっていたが、知ったこっちゃない
今は強くなれる方法を探す
にしてもバラバラだな、整理整頓されてないのか?
「誰でも作れるお料理、アレンの冒険、薬草の正しい使い方、一から学べる魔法陣」
あれも違う、これも違うと探し続け、ついに閉館の時間になった
くっ、今日中に見つけ出すのは流石に無理か
「今日は諦めて一度帰る、覚えとけよー!」
なんか腹が立ったので捨て台詞を吐いてみた
その時だ、ゴンッと重いものが落ちる音がした
「ん?」
本棚の一角に分厚い本が落ちていた
最初は拾おうと思ったが、やっぱりやめた
別に俺が落としたわけじゃねーしな
そうして通り過ぎようとしたら、本が紫色に光った
え?
もしかしてこれは、もしかするのか?
チートスキルとか貰えんのか?
そんな期待をし、紫に光る本を開いた
うわ、字も光ってる
「わーお」
蛍の光が、本来は絶対に発さない色で漂っていた
気が付くと倒れていたらしく、埃まみれの床に突っ伏していた
暗くて何も見えないな
こういう時にさっきの本が光っていればよかったが、もう光は消えたのか、逆に本が見つからなくなってしまった
本の行方は今度探すか、それよりも今は、
閉館の時間が過ぎて、内側から鍵が開かないことの方がやばいだろう
つまり、出られなくなった
どうしよう、これはかなりまずい
そもそも今何時だ?夜だとしたら迷子として探されているかもしれない
ていうか司書、お前何やってんだ
見回りくらいしてから帰れや、本盗まれたらどうすんねん
とか愚痴っていても現実は変わらないので出る方法を色々試してみる
「はっ」
タックルしたが相当硬い扉のようで、びくともしない
「ここから出してくれー!」
ベルは仲間を呼んだ、しかし助けはこなかった
「開け、ごま!」
当たり前のように開かない、てか真剣にこんなこと言うのが恥ずかしい
なんて無様な醜態を晒すこと早一時間
打つ手がなくなった
今日はたしか図書館休みだし、こんままだと誰も来てくれないのでは?
そんな理解したくない現実が垣間見えてきた時だった
俺の頭上に本が落ちた
「痛った!」
何でやねん!意味わからん
落ちた本を見るが、ずいぶん分厚そうだ
うん?さっきの本だな
そういえばチートスキルとかそういうの貰った感覚ないんだけど
結局あれは何だったのか、疑問とともに本を再び開く
この魔法書に最強の魔法を記す
ほうほう、最強の魔法ね
俺の時代じゃねーか!
そんな気はしてたが魔法書か、いやー運がいいな
魔法書っていうのは昔の偉い人たちが作った魔法の教科書みたいな物で、なんと適性すら合えば誰でも魔法を覚えることができる優れものである
ていうか魔法書を開くと強制的に覚えさせられる
何でかは知らん
グラウスに聞いたことがあったがまさか実在するとは
そういえば一回使ったら魔法書の魔力が枯渇してそれ以上使えないんだっけか
じゃあこの魔法は俺専用ってことか、ワクワクするなあー
全ての魔法を合成したこの魔法は恐らく復活した魔王など一瞬で滅ぼし、平和をもたらすことができるだろう
うんうん、全ての魔法を混ぜたんだね凄いじゃん
少し消費魔力が多いが私と君が使用する分に問題はないはずだ
それはよかった、てかいきなり語り口調になったな
こうしてこの魔法をここに記すのはいつか魔王が復活した時、私と同等かそれ以上の才能を持つ者に少しでも力を貸したいと思ったからだ
「う、うん」
あれ?これ俺が覚えてよかったのかな、多分習得しちゃったんだけど
剣も魔法も才能ないんですが、ははは
凄い迫力だったし、どう考えても習得の反動で倒れた感じだよな
一度使用した魔法書は魔力が枯渇し、使えなくなるだろう
だが幸い、信頼できる友人にこの魔法書は預かってもらうことに成功した
だから既に魔法書の魔力が枯渇し、使えなくなっているなんてことは無いはずだ
じゃあ何でこんなとこにあるんだよっ!と思ったがそこは考えても無駄か
今これを読んでいる君は私の推測通りなら勇者と呼ばれる存在だ
「え?」
俺は額から異様に冷たい汗を流した
実は勇者については預言者から少し聞いていてね
どうやらかなり強いそうじゃないか、期待しているよ
あの、こういうのって少しは『何で手紙なのに話が通じるんだよっ』みたいな展開になるんじゃないの?
全くそういうの無いし、的外れもいいとこなんだが
ていうかテンプレシアに勇者とか魔王っていたのか
君の属性については流石にわからなかったから、どの属性でもこの魔法は習得できるようにしておいた
万が一君の適性属性が無くてもこれで安心だよ
君がちゃんとこの魔法を習得していると私には確信できる
書くことも無くなったしそろそろ締めくくろうか
きたる魔王復活の阻止、もしくは復活した魔王の討伐は頼んだ
健闘を祈る
なるほど、だから適性属性無しの俺でも習得出来たわけか
いや習得出来てしまった、か
これは結構やばいな
だってこれどう見ても勇者が手に入れないといけない魔法だよね?
これないと魔王倒せなくて、世界滅ぶとかなったら結局俺も詰むし、最悪なんだけど
てか、消費魔力が多いって、俺が使えなかったらマジで無駄じゃん
とりあえず残りの読めそうなところを読むか
おっと、書き忘れるところだった、危ないね
魔法名は『オルデミア』、彼女に認められた今の君ならきっと意味がわかるはずだ
赤い賢者より
……すまん、全くわからん赤い賢者様
その後のページは意味のわからない文字がびっしり書かれていて、読む必要はなさそうだった
「今考えても仕方ないか」
そう考えて本を閉じ、俺は扉に手を向ける
まずはここから出ることを優先しないとな
最悪扉が吹っ飛んでも俺がやったとは思われないので覚えたばかりの魔法を使うことにした
「オルデミア!」
肘から手のひらに向かって全ての血液が持っていかれるような感覚がした、初めて魔法を使ったときとは比べものにならないほど魔力が減った気がする
その瞬間、俺は自分の部屋に転移した
「え?」
扉がドーンって吹き飛ばされるのを想像していた俺は意味が分からなかった
俺の部屋だな
結果的に扉も壊さずに帰れたから良い、のか?
俺は自室のことなど考えずもう一度唱えてみた
「オルデミア」
右腕の感覚が無くなったと同時、手のひらから水鉄砲が放たれる
俺のベットがびしょ濡れになったがそんなことどうでもいい
え?どゆこと
さっきはテレポートしたのに何で今度は水鉄砲なんだ
「どうしてこうなった?」
俺は気になって仕方が無かった
部屋がどうなるかとか考えていなかった
右手が麻痺して機能しなくなったので左手を構える
「オルデミア」
今度は一回で感覚が無くなり、少し強い風が吹いた
「こ、これもしかしてランダムなのか?!」
あ、声デカ過ぎた
「ベル様!?」
鍵をかけたはずのドアはいつの間にか開いていてメイドが部屋の前に立っていた
あちゃーみつかった
三日前は家族どころか屋敷のメイド含む全員に怒られた
当たり前だが、勝手に抜け出したのはアウトだったらしい
それは分かるが酷いのは今回のことで俺の一週間外出禁止が決まったことだ
部屋から出るなと父に言われたときはマジかーそこまでやるかーと思った
これのせいで俺は部屋に引き篭もるくらいしかやることがなくて暇である
とはいえ部屋のベットで状況整理くらいは出来るか
まとめるとこうなる
まず図書館で見つけた魔法書、これは本来俺に渡るものでは無かった
多分復活するらしい魔王を倒すのに重要なもので
勇者が見つける、もしくは託される物だったんだろう
だから俺には全く分からない話も書かれていたのだ
次に魔法書に書かれていた魔法、オルデミアのことだけど
バレないようにちょっと使ってみた結果わかったがこの魔法はやはりおかしかった
魔法書には魔王を一瞬で滅ぼせるとか書いているが何回唱えてもそんな破壊魔法には見えなかったし
むしろランダムで色んな魔法が発動するしで、意味がわからなかった
そういえば全ての魔法を合成したとか書いてたな
もしかしてこの魔法失敗作なのでは?
もし本当に全ての魔法を無理やり合成したんだとしたら、ガチャを引くかのようにランダムな魔法が発動するのも頷ける
オルデミアについてはひとまずはこれで納得することにした
最後に魔法書が俺の頭上に何度もテレポートしてきてウザい件
これはマジでよく分からん、持ち主認定とかされたのかもしれない
俺が魔法書から一定の距離離れると発動して、ずっと付いてくる
何よりたちが悪いのは頭上に降ってくる点である
あんな分厚い本が頭に落とされ続けたら、たまったもんじゃない
もしかして勇者でもないのに魔法書を開いた罰なのだろうか
俺には分からない、だが世の中分からないことだらけだなと改めて思った
真実を知るのはまだまだ先の話だ
しばらく投稿まで時間がかかりそうです
エタらないよう善処します