助けてあげるよ
未来の展望もなく、ただただ絶望して泣きながら
「助けて、助けて」
とつぶやいていた。
頬はこけ、食欲もなく、ただ泣き続けるだけ。
みちよちゃん、みちよちゃん。
「そんな名前なんかじゃないの!」
じゃあ、お前は誰だ?
「私は私」
私ちゃん、たけみ先生に会いに行こうか?
「行かない!」
飯は食ったか?
幻聴が、高校生のころ声をかけてくれたたけみ先生の声で語りかける。
まず、なにか食べろ。
私は台所へ行き、缶詰の魚をおかずにご飯を食べる。
頓服薬を飲め!
言われるままに服薬する。
布団の中に潜り込んで、まるまる。
その食べたものが、やがてお前の血となり肉となる。手を動かし、表情を和らげる。
「私になる」
そう。そうだ。
助けて、助けて。
「言っているのは私じゃない誰かみたい」
助けて、助けて。
「大丈夫。助けてあげるよ。できるだけのことをしてあげる」
ふんわりと柔らかい心持ちになる。
「大丈夫。私はここにいて、助けてあげるから」
もしも幻聴が、誰かが言ってたように幽霊の類いなら、内に受け入れてあげよう。
助けてという言葉が出てこなくなる。
ああ、もう大丈夫。
私は私以外を助けて、結果的に私を助ける。
今日の幻聴は、良い。