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プロローグ
__高校2年生の夏
あの頃の僕といえば、必死に生きていく覚悟もなければ、本気で死ぬ覚悟もできてなかった。
死にたいとは思うことがあったが、自殺は、どんな方法も怖そうで、痛そうだからやりたくはない。
だからといって、病気にもできればなりたくない。死にたいくせに健康でいたい。
「なら、どうしたいの?」って聞かれても、どうしたいという答えが自分でもよく分からなかった。
別にいじめられていたわけではない。
友だちは男女問わずいた方だし、勉強もスポーツも極端に出来ないわけではなかった。顔は中の中だと自分では思っていた。カッコいいともブサイクとも言われない平均的な顔。
両親は共働きだったが、お金持ちという程でもなければ、貧乏ってわけでもない。お小遣いも周囲に比べて大差はなく、自分のお小遣いに関しては制限されることはなく、何に使っても怒られず自由だった。
これといった明白な嫌なことがあったわけではない。告白してフラれただとか、挫折したとかではない。だけど、なんか生きていることに面白みが持てなかった。