監視、技術の街。1
オレンジ色の車を、のんびりと走らせながら旅をする青年とフクロウがいた。
「次にいく街はどんな所なんだ?」
フクロウが青年に話しかけた。
「次の街は『技術がとても発展している』っていう噂だよ。」
「技術ねぇ、、、前の街と結構離れてるだけで、そんなに変わるものかね」
「街によって、政治方針とか文化も細かく違うからね。それに前の街は貿易的なことはしてないみたいだったし。」
二人はそんなことを喋りながら車を走らせた。
それから二時間ほど、道の続くままに坂を登り、山を迂回し、ようやく目的地である街の防護壁が見えてきた。
防護壁とは、二昔前から出現するようになった、動物が突然変異した姿である「魔物」による街への侵入を防ぐためのものである。
壁の向こう側には50mはありそうな高層ビルや、それを遥かに超える高さの電波塔らしきものが立っていた。
「ふーん、こりゃおっきいな、」
「、、、そこまでびっくりしてないように見えるけど?」
「まあ、これくらいならほかの街にもあっただろ?」
「それもそうだね、」
そうやって喋りながら街に入るための門まで車を走らせた。
「この街では、街の中で犯罪行為が起きないよう、24時間ずっと監視カメラで街中を監視しています。くれぐれも犯罪行為等を起こさないようにしてください。」
「はい、もちろんわかっています。ちなみに、、、犯罪を犯してしまった場合は、どうなります?」
「この街の法律に則り、処罰させていただきます。まっとうに過ごしていればそんなこと起きるはずありませんが、一応この街の法律について簡単に書かれているガイドブックを渡しておきます。」
「これはどうも。」
「その本にはこの街の地図とおすすめの観光地なども多く書かれているので、是非活用してください。」
「ありがとうございます。」
「それでは、私達の街を存分に楽しんでください、旅人さん。」
そう言って門番さんは、壁についていたレバーらしきものに手を伸ばした。
すると、まもなくして門が少しずつ開いていき、車が通れるほどの隙間が空いた。
街の中に入ると、道の両側にビルが立ち並び、その間にある舗装されたアスファルトの道を何台もの車が行き来していた。
「まずは宿探しだね。どんな宿がいい?」
「特にない、アイに任せるよ。」
「わかった。」
門番さんにもらったガイドブックによると、この街はきれいな円形をしていて、電車が街の外周と東西南北の方向にある駅から町の中央にある駅までをつないでいた。
車の走る公道は、街の区画を分けるように走っていた。
「どうやら宿が集まる区画は町の中央の方にあるみたいだね。」
「じゃ、そこまで車走らせて具体的なのは後で決めようぜ。」
久しぶりの舗装されているアスファルトの道路はとても走りやすかった。
しかし、街の中央付近を目指してある程度走っている最中、アイは違和感を覚えた。
待ちゆく人たちが、自分たちが監視されているというのに、息苦しいような雰囲気がなかったからだ。
「ねぇブルース。門番さんの言っていたように、この町の人達や僕らはほんとに監視されてるのかなぁ?」
「ああ、されてると思うよ。」
「なんで?監視されてるっていうのに、街のみんなは普通だよ?」
「街の住人がそのことを知らないか、もしくは慣れたんだろ。まぁ門番さんが俺たちに教えてくれるってことはみんな知ってるってことなんだろうけどな。」
「っていうか、そもそも監視カメラが見当たらないんだけど、、、」
「わかりやすいところに、そんなもの設置すると思うかぁ?隠してるに決まってるだろ。」
「たしかに、そうかな?まいっか、考えても仕方ない。」
その話以降も、道沿いの電線や信号、横断歩道などもよく見てみたが、車の中からは監視カメラを見つけることは出来なかった。
宿が集まる街の中央付近の区画に到着すると、アイはガイドブックを開き、あたりの宿の情報を調べた。
「うーん、安い宿のほうがいいけど、ご飯が出なかったりするのかぁ」
「別に宿の外で食べればいいだろ」
「でもなぁ〜」
結局アイは安くて、美味しそうな食事処が近くにいくつもある宿を選んだ。
その宿は「サンブックの橋」。
二昔前のこのあたりの地名から名付けられたらしい。
どこかで聞いたことのあるような名前だったが、ガイドブックの宿の説明を見るまでわからなかった。
ひとまず、宿に隣接してあった駐車場に愛車を停め、チェックインをするために受付へと向かった。
のんびり書いていこうと思います、、、。