ざまぁされ要員のげきおこ物語
誤字脱字あったらごめんですぞ(見直してない)
「タロウ、君を我がギルドから追放する――荷物をまとめてここから出ていけ!」
この作品の主人公、タロウは今まで貢献し続けてきたギルド『ナマエナゾ=ナイ』のギルドマスターから追放処分を受ける。
ゴンベエはタロウが今まで行ってきた貢献や、どんな出来事でも必ず解決できる『主人公補正』という能力をタロウが持っている事を知らず、無知のままにタロウを追放処分にしたのだ。
全てを失い失意のどん底に陥ったタロウは、その能力を評価してくれるヒロイン『ハナコ』と出会い、新たなギルド『ワレチートシュジンコウ=ゾ』を立ち上げ、そのギルドマスターとなる。
新進気鋭の『ワレチートシュジンコウ=ゾ』はタロウやハナコ以外にも強い者がどんどん集まり、最終的には王家直属ギルドまで上り詰めていく。
一方、タロウを追放したゴンベエのギルド『ナマエナゾ=ナイ』はタロウが抜けた事により、依頼の失敗が続きどんどん落ちぶれ、抱えていた優秀な人材も『ワレチートシュジンコウ=ゾ』に全て引き抜かれ、ゴンベエはタロウの代わりに全てを失っていく。
そう、この作品は、チート能力を持ちながらもそれを知らない無能なギルドマスターに追放されたタロウが、少しずつ失った物を取り戻しながら下剋上を果たす物語である――
――――
「いやいや、そうはならんやろがい!」
タロウがギルドマスター室から出て行った数分後、タロウを追放した者――ギルドマスター、ゴンベエはそんな展開にした作者の姿を思い浮かべながら、世界観や時代背景を完全に無視して置かれていたサンドバッグに対し八つ当たりを行っていた。
「無能なギルドマスターが主人公を追放する?そしてそれを皮切りに元の古巣のギルマスはどんどん落ちぶれていく?そんな幻想があるか!そもそもそんなに無能なギルマスだったら主人公を追放する以前にこのギルド破綻してるわ!」
もしここにゴンベエ以外の者がいた場合、今ゴンベエがサンドバッグを殴った時にサンドバッグが嘶いた音は、非常に気持ちの良い音であると言うだろう。
相棒とは何年もの付き合いである。どう殴ればどんな音が鳴るのか、ゴンベエは完全に熟知していた。
「理由なき追放とかあるかい!主人公が実はチート能力持ち?それをギルマスが知らなかった時点でおかしいわ!ギルドで仕事してる間に能力使わんかった主人公が悪いやろ!」
数年単位で愛用し続け、見た目がボロボロになっているサンドバッグだが、それでも気持ちの良い音をギルドマスター室の一角から響き渡らせる。
余談だがこのサンドバッグはストレスでメンタルが危ないゴンベエのために、せめて少しでもストレスを解消できるようにと副ギルドマスターが作者に言って仕入れた物である。
「そもそも主人公一人追放しただけでギルド半壊とか、どんだけそいつに依存してんねん!もはやギルド侵食されてんじゃねぇか!そこまで乗っ取りされてんだったら逆にこれ以上乗っ取られんように保険用意した上で追放の手を打つ方が正解やろがい!」
地の文としても、もはやサンドバッグを殴り続けるゴンベエとしか書きようがない状況になりながら、そのゴンベエはひたすら叫び続ける。
ちなみにこれらの叫びはご都合主義にてギルドマスター室の外の人には全く聞こえていない。
「爽快感のある追放モノを書きたいのなら!設定を完全放棄するか!もしくはちゃんと矛盾しない設定考えて書かんかい作者ァ!!」
ゴンベエは作者が無駄に人間味を持たせようとした結果、完璧とまでは言わずとも中途半端に有能なギルドマスターだった。だからこその発言である。
もし、ゴンベエが完全な無能だったら今サンドバッグにぶつけているこの想いを持つ事はなかっただろう……。
「クソァ!俺はただのざまぁされ要員にはならんぞ!待ってろ作者、ここから展開無理矢理変えて俺の運命をブチ破ってやらぁ!」
……どうでもいいけど「クソァ!」ってどうやって発言するんだろう。地の文……もとい作者は台詞を書いた後に疑問に思う。
――ひたすらにサンドバッグを殴り続け、もはやこの世界でパンチ力で勝てる者がいないほどのパワーを持つようになりながらも、この後の運命が不運過ぎるゴンベエ。
果たしてギルドマスター室に置かれているサンドバッグが壊れるのが先か、ゴンベエがタロウ御一行によりサンドバッグにされメンタルが壊れるのが先か。
悲しい運命を打破し、ゴンベエが救われるかどうかは、この作品が連載を始めてからのお楽しみを。
……と言いたいのだが。
作者がまともなプロットとかを書いてないという事で連載がお流れになったため、結果的にゴンベエは救われた模様。
軒下烏(作者)「ゴンベエさんに叩かれ過ぎて尻が痛い」




