創造VS完璧 2
高層ビルはフレームで天宮のいた場所をゴリゴリ削りながら天宮を捉えてそのまま轢き去って行った。シルドの遥か前方で轟音が鳴った。
「直撃に見えたが……やったか?」
天宮の身体能力、創造を用いればあの程度の攻撃は少しのピンチ程度。だが、奇襲であれば通じるだろう。シルドは勝ちを六割確信しつつ前方を見据えた。
ガラリと、瓦礫が一部崩れた。
「ちょっとビビったよ」
天宮である。あの攻撃をくらったのに対して五体満足どころか衣服まで綺麗。
(初撃の防御に圧力を準備していたのが功を成したか。準備中の圧力を強くして前方に展開、生まれたスペースに飛び乗ったといったところか)
シルドは推測しつつも次手を用意する。右手に握りこまれたコンクリート片、ここは都市の残骸だからこんなものどこにでもある。
天宮の生存確認とほぼ同時にシルドは再び投擲。前例のように巨大建築と化した弾が天宮に向かう。
しかし、今回は天宮も読めている。天宮側も万全の準備で迎え撃つ!
「絶対物質! 流石に二度目は無いよ」
天宮はそう言うと絶対物質を纏った右手で近くの瓦礫を握り込む。そして迫るビルにぶつけるように投げつける。
絶対物質の力で無限の創造が流し込まれた瓦礫はビルに直撃する直前、天宮のフィンガースナップと同時に巨大な鉄の槍をその身に生やした。
「少し遅かったか……だがまだ瓦礫のストックは幾らでもーーなっ?!」
シルドは見た。創造の勢いで貫かれ、ぽっかり穴の空いた巨塔、その穴から天宮がこちらを覗くのを、それも意地の悪そうな笑みを浮かべて。
「こんな物バカスカ撃たれると攻めに転じる隙がない、だから切り込むよ。止めれるものならッッッ! やってみな!」
まるで自分が創り出した大穴を砲台とでも言うかのように創造したミサイルを投げつける。空を裂く音、速度から推測するにかなりの身体強化による威力向上のおまけ付きで。
(原子爆弾や水素爆弾であればこの肉体でもダメージを受けるが放射線を放つものを自らも至近の状態で投げるとは考えにくい……それに天宮の手にはスイッチも無い。感圧、もしくは時限式…………大体は読めた)
自分に当たる直前まで手段を推測、そしてシルドが見出した回避法はーー
「ふん! ぐぉぉぁああああああ!!!」
至近で見た正面の感圧システムの作動を防ぐ為に胴部分を持ち全力で空の彼方までいなす。二発目も同様に、最後の三発目はーー
「お前もくらってみるのはどうだ天宮?」
創造の手間を省くためにミサイル本体にエンジンを積まなかったのが仇となったようだ。シルドは完璧神により得た並外れたフィジカルと腕力を以てミサイルを天宮の方向へ向きを変えて投げ返す。
「ありがとう、身体能力を創造強化しても速度に懸念があったけどこれで何とかなりそうだ」
(まさか、これすらも……)
(読んでは無いけど予測の内だ)
既にビルの穴から飛び出した天宮はミサイルを踏み、更に前方へ。後方で爆ぜるミサイルの爆風に乗って速度は上がり前へ。シルドの前方の地面へ着地する。
「お久しぶり、空の旅は楽しかったよ!」
両者互いに鼻先、天宮が着地の衝撃の吸収に成功し顔を上げ目が合うと同時にそんな煽りを合図に戦いは近距離戦に突入する。
初めは恐れていた近距離でもあんな物体をアホみたいにぶつけられるくらいならまだこちらの方がマシだ。
「忌々しいガキめ、来い! 学園一位!」
* * *
「うっわ、やっぱり天宮が言うだけあっていつもの戦いとは規模が違いすぎる。誰が戦ってるか分かんないけど私で役に立つかな」
小柄な少女は神技での攻撃手段を持たない。御鈴鹿のように戦いの主導権を握れる力も無い。だが、代わりに絶対の防御力を誇る。その自信を勇気に変えて彼女は創造と完璧がぶつかり合う戦場へ足を運ぶ。
その少女の名はソルマ・レイゼート。
未だ彼女は知らない。彼女がこの戦いにおけるジョーカーとなる事を。




