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人のクセして何が神!  作者: 黒露 れい
前日譚
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プロローグ


「卒業生代表、天宮来夢。以上です」


   おめでたく飾られたステージ上でスーツの少年は原稿を懐にしまい一礼をする。それに合わせて予定調和の拍手が疎らに返される。今日は国内最高峰の()()()()()()()()()()()()()()()『アードレグノマ国立学園』の卒業式であり、ステージから席に戻った少年は今年度の首席、学園一位の天宮来夢だ。


  他の時空と一線を画すカリキュラムによって十六歳でほぼ全ての人間がこの世界では最高学歴を終える。卒業生達は有名なチームにスカウトされるか自らチームを立ち上げてその世界へと大きな一歩を進めるだろう。その道に進まない生徒も他の時空との外交に携わる人間がほとんどだ。


  そしてこの『学園』の卒業式には独特の文化がある。


  『それでは、これより最終日程を開始します。今年度首席卒業生徒天宮来夢と抽選で決まった五人の生徒はステージの中心へ』


  そのアナウンスと共に指名された六人以外が光の粒と成って消える。そして数秒と経たずにその全員が巨大なモニターのある部屋に転送された。


  室内はさながらオペラハウスのような豪奢な雰囲気であり一人一人にフカフカした気品溢れる椅子とドリンクが用意されている。


  手前には保護者席、出席している保護者もまた、国の重役や大企業幹部など位の高い人間が様々だ。その奥には階段状に在校生席、そしてその上の階には卒業生が序列順に座っている。


  最上階は五回、そこだけ以上に格式が高い。そこは学園序列二十位以内のみが座れる席だ。中央に学園二位の素路咲拝火(すろさきはいか)そしてその右から三位、左に四位と並んでいく。


  素路咲拝火はテーブルのノンアルコールシャンパンを嗜みながら嗤う。


  「ようやく始まったか〜()()()()()()()()()()。 まあここでバカ宮が自分がやったみたいに殴り倒されてくれると嬉しいけど……相手側の序列的に無理かな?」


  六人だけが残った会場では会場そのものがバグが起きたようにポリゴンで包まれて行き、ガラス窓に覆われた建物内に変化する。


  「バベルのクロノス統括部門、百十五階本部に擬態させるなんて、今年度は粋だな」


  代表五人の内一人が言葉を零した。その間にも天宮はスーツを脱いでいく。そして中にはフード付きトレーナー、とある高名なクロノスから貰った天宮の勝負服だ。鼻歌を歌いながらワックスで上げた長めの前髪をいつも通りに戻し、フードを被る。


  天宮の準備完了を待って二度目のアナウンスが入る。


  『それでは全員、()()()()()()下さい。勝利条件は現空間での天宮来夢の()()、もしくは対戦相手五人の()()です。十秒後に開始します』


  腕を異形に変化させる者、エネルギーを集約する者、そんな対戦相手に対して天宮は無気力で乱雑なステップを奏でながらーー


  今、一大イベントの幕が開けた。


因みに義務教育は12歳までで全て習得させ、最終学校さえ16歳までで叩き込むのが神界スタイルのスパルタ教育制度だ。

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