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残された家族 (3)

 巣鴨プリズンにぶち込まれた、私の親族の奥さんは、無理をして、東京に住んでいました。

 その理由3は、

 GHQに、

 夫の減刑

 を嘆願に行くのに、東京が便利だったからです。

 この時代は、「経験的教育論」の第一話に書いたように、

 公立の学校だって頼めば、入れてもらえた

 のです。

 家族が逮捕されれば、当然、出してもらえるように

 お願いに行く

 のです。

 私の父も、GHQに行ったそうです。

 わざわざ東京まで、何度も。

 父の話によると、

 日本語が話せるGHQの将校が、わざわざ出て来てくれて、親切に対応してくれる

 のだそうです。

 実は、GHQは、

 親日

 なのです。

 当たり前ですよね。アメリカを代表する

 日本通

 なのですから。日本が嫌いなわけないです。

 日本が嫌いなのに、日本語が話せるアメリカ人

 あまり現実的な考えではないと思います。

 日本を統治するためにアメリカ中から集められた学者達、

 彼らも似たような存在だったと思います。

 彼らが、その

 人生の全てを賭けて研究してきた理想の社会、

 その理想社会を実現できる

 奇跡、

 その奇跡に巡り会えた人は、

 人類の歴史の中で初めて

 だったと思います。

 そのような状況で、アメリカの国益なんて低次元なものが、頭にあるわけありません。

 そもそも、何が国益なのか、はっきりしていません。

 1960年頃の話になりますが、

 「経験的教育論」第三話で、私に成績操作の仕方を教えてくれた塾の経営者が、大手の工場に就職した時のこと、 

 その工場では、

 朝、職場に行っても、誰も仕事をしていないのだそうです。

 9時に、サイレンが鳴り、それから仕事を始めます。

 17時に、またサイレンが鳴り、その時にピタッと仕事を止めて、そのまま帰って良いのです。

 上司がまだ帰らない、

 とか、

 先輩がまだ

 とか、そんなこと気にしなくて良いのです。

 経営者なのに、

 「残業なんて一分もなかった」

 と、豪語していました。

 GHQの影響が残っている頃は、労働基準法を守ろうという気持ちがあったのです。

 今と違って、お金持ちではなくても、暮らし易い世の中だったのです。

 もちろん、消費税なんてありません。

 話がズレましたが、私の父は、誰が親身になって話を聞いてくれたかを、実名と階級を挙げて言っていました。

 その当時の日本では、

 どういうツテで、

 GHQの誰に頼めば良いのか、

 それが国民の関心だったのです。

 ちなみに、巣鴨プリズンにぶち込まれた親族は、

 キリスト教徒

 です。

 裁判の最中に洗礼を受けました。

 もう、おわかりですよね。当時の日本に、どんな噂が流れていたか。

 なにしろ、証拠隠滅を必死になってやっていましたから、裁判といっても、

 証言だけ

 なのです。

 しかも、同じ日本人の。

 どの日本人の証言が信憑性があるか、それが全てです。

 そりゃ、キリスト教徒に成りたくなりますよね。

 もちろん、元からキリスト教に興味があったのですか。徴兵を拒否したくらいですから。

 そもそも、事件が発覚したのも、日本人がチクったから。

 逮捕に来たのも日本人、

 捜査をしたのも日本人

 なのです。

 現実は、

 権力者に媚びへつらう

 のが、常識なんです。

 GHQは、

 日本の歴史上、最強の権力者

 なのです。

 誰も、日本全体と戦って、勝った者などいないのです。

 GHQなら、犯罪者の釈放なんて、朝メシ前。

 GHQに媚びへつらって、

 虎の威を借り、

 アメリカ無双する

 のが、この時代の正しい振る舞い方でした。

 これをしなかった人達は、戦後、没落して行きました。

 アメリカ無双していたのは、なにも、

 GHQに媚びへつらった人達

 だけではないのです。

 スポーツ新聞にあるインタビュー記事が載っていました。

 戦争が終わると、手の平を翻した教師だらけだったのですが、

 その不満を、戦場から帰って来た教師に話すと、

 「石原、日本は戦争に負けたんだ。堪え忍べ」

 と、慎太○少年は言われたそうです。

 アメリカ無双とは、

 日本は戦争でアメリカに負けたんだ、

 堪え忍べ、

 と言って、

 何でも通してしまう

 ことです。

 

 この奥さん、この状況で、アメリカ批判を公然とやってのけたのです。

 GHQにお願いに通っているのに。

 



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