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奥様の暴走止まらず・・・

その日の夜。

いつものようにチャットルーム行った。

すると、なんとなく空気が違った。明らかに違った。


すべての女性メンバーがいままで「おっさん!おっさん!」

とバカにしていたヤスにとても親切で優しいメッセージを送っていた。


「うはぁ・・・」

やっぱり思ったとおりだよ・・


実際対面したレナやミナはもう、ファンクラブの会員のように騒ぎ、

レナの先日の騒動がまた甦って心配になった。


それに引き換え、、、他の男性陣の冷めようといったら。


女性メンバーみんなに「素敵〜」と言われたヤスはかなりご満悦のようで



<ヤス> 「そんなにかっこいくねぇって〜」

などと言ってはいたが、まんざら悪い気はしていないようだった。


<レナ> 「リオ見たか?ヤスの写真!めっちゃかっこええやろー?」


<リオ> 「あー。見た見た。意外だったね〜」


<レナ> 「うちのタイプなんよー」


<リオ> 「へぇ・・・そ、、そうなんだ、、、、」


文字でもちょっと噛んでしまったような書き方をしてしまった。

神様。どうか彼女の悪い病気がでませんように。


たしかにヤスはイケメンではあるが、

あたしはいつものテンションとほとんど変わらず、

他の人達と普通に会話をしていた。

あまりのレナのハイテンションにこの前まで自分に同じくらい

テンションを上げていたのに

写真交換以来、いっさい話しかけてこなくなったケイタが



<ケイタ> 「俺、オフ会行くのやめようなかぁ・・・・」


と、コッソリ出していたのを見逃さなかった。

レナは平然とスルーしていたけど・・・


君の言いたいことはわかるぞ。猿には辛い時間かもしれないもんな。

けど、そうは言ってもみんなは顔を合わせて親睦を

深めようってのが一番の目的だろうから、

そこはそんなに尻込みしなくても、いいじゃない。


そうケイタが出すと、みんな揃ってそんなようなことを言い出した。

(レナ以外は)


そもそもイケメンが混じっているとは誰も思っていなかったんだし、

そんなに落ち込まなくてもって感じなんだが、

その気持ちは分らなくもないので、なんて言っていいか

わからず、いまひとついいコメントが出せないでいた。


たぶん一生懸命にコメントを出している男性陣は

きっとケイタと同じ気持ちだろう。

実際、ケイもマックも外見的にはカッコいいとは言えない容姿だったが、

あたしは彼達に対していままでと、なにひとつ態度を変えていないし。



<リオ> 「あたしも全然イケてないから安心しなよ>ケイタ」


自分で自分を下げるのもどうかと思うが、

実際可愛い訳でもないので素直にコメントをしてみた。

この落差が文字付き合いの大変なとこなんだろなと実感しながら。


きっといままではお互いに顔を知らないから、

勝手にコメントのタイミングや言葉の出し方で

「こいつ可愛いこと言うな」とか「この人面白いな」とか思っているが

リアルな現実社会では、面白いことを言っているのに間が悪いが為に

全然面白さが飛んでしまっている人も多い。

その一番の原因は容姿だったりするんじゃないかと思う。

顔のかっこいい人がたいして面白くないことを言っても女性陣は笑う。

が、そうでもない人が同じことを言っても笑わない。

ひどいようだが、それが現実ということがある。


それは女性だけではない、男性だって実際そうだ。

綺麗な女友達と一緒だったりすると苦い経験はひとつやふたつでは無い。

この世のチヤホヤされるレベルの第一はやはり容姿なんだ。


悪い人じゃないけど、良い人でもないんだよねぇって人もいる。

それがリアルでは目の前の空気で感じてしまうが、

この不思議な文字の世界では電波の機嫌ひとつでタイムログになり、

なかなか字が出なかったりもする。


だからしばらくなにも文字を出さずに見ているだけでも、

みんな気にかけないが、リアルで会っているのに

無口で黙って見つめているだけということになると、

少なからず心の中で「この人、、、黙って見ていてキモいんだけど」

となる。



ちょっと機嫌を損ねた人もいたが、その日はなんとか

「オフ会は予定とおりにいきましょ」ってことで話はまとまった。


そして次は関東オフになる訳だが。


気楽なヤスとは裏腹に深く凹んだケイタとヒデが印象的だった。

たぶん週末に向けて出張を組むと言うヤスは機嫌よく


「じゃあ来週の末くらいな。予定空けといてくれよ〜」


と軽快に落ちていった。

ヤスがいなくなり、レナが場をしきりどれだけヤスが素敵だったかを

一生懸命語っていた。

男性陣がどんどん落ちていく中、女性陣はその話に盛り上がり、

キャキャー言っていた。別にヤスに興味は無いし・・・

そう思うと、これ以上いてもヤスファンクラブの話しかしないんだろうから意味無いな。


そう思って、あたしは足早におちた。

なんだか正直、どーでもよかった。

落ちてから、お気に入りのHPサイトを回り、

メールのチェックなどをしていた。


そこにヤスから電話が入った。


「あれ?寝るんじゃなかったの?」


「おう。そう思ったけど、なかなか寝れなくてよ」

ヤスはそう言って、なにか歯に挟まったように時間を引っ張った。


「ふーん。そうなんだ」

「それによ、さっきからレナから電話攻撃がすごくてよ〜」




やっぱりそうきたか。いったいレナの家の旦那はなんの仕事してんだろ?

こんな時間に妻が男に電話しても、問題無いような仕事なんだろか?

プライベートなことはあまり聞かないので、よく分からない。



あたしはちょっと面白くもあったので笑いながら

「へぇ・・・騒いでいたもんねぇ」とニタつきながら言った。


「今度福岡来たら二人で会おう言われてよー。まぁいいんだけど、

 本気になられたらこっちも困るしよー。どうしたらいいと思う?」

「さぁ・・・大人の付き合いだろーから、精々刺されないようにね」


そう言って笑ったが、ヤスはいまいち笑えなかったようだ。


「いままであんなに俺のことハゲとかバカにしてたのに、

 顔がタイプってだけであんなに態度が変わるのってすげぇよな」

「うーん。まぁそうだね。でもあたしも意外だったことは意外だったよ」


「リオもタイプな訳?俺のこと?」

「いや。全然・・・・」

「だろうなぁ。さっきの空気でそう感じた。

 だからお前に電話してみたのよ」

「なんで?騒がなかったから悔しかったの?」

「いや、そうじゃなくて!顔見て騒いでる奴にこんな電話しても

 俺のこと美化して見るから話になんねーじゃん」

「あ。なるほどね。あたしは大丈夫。目が一重じゃないと興味無いの」


ヤスに対するレナの電話攻撃は結構すごいようだった。

昨日のオフ会の帰り、みんなが解散してすぐにレナから電話があり

二人で飲みなおそうと誘われたそうだ。

ちょっと怖くなり仕事の都合と断りその場をしのいだが、

朝の7時にモーニングコールがきて、

その後も2時間おきに電話とメールの嵐。

これはある意味「ストーカー」に近いなと。



「でもあたしからヤスに電話するのやめたら?とは言えないなぁ」

と言うよりも間に入るのは嫌だった。



「だよな。どうするのがいいと思う?」

「んー。彼女いるとかは?」(ほぼ適当に)

「いまさら?あんだけ一人が寂しいとか言いまくってんのに?」

「あー。じゃあ拒否っちゃえば?」(とても他人事に)

「女って冷たいよな・・・」そう言ってヤスはため息をついた。


まったく話がつかないまま電話は終了した。

レナは今後どうしたいんだろう。

こんなことばかりしていたら、きっとあたしも今後彼女と

上手く付き合っていけるか分からないなぁ。


好きなようにやってくれるのは構わない。

けど、いつもいつも相談とかされるのは、そろそろ嫌気がさしてくる。


もともとあたしは人の相談とかが、ちょっと苦手だ。

他人は他人、自分は自分というポリシーがあるから、

あんまり人の相談を親身に聞けない所がある、

だいたい恋愛相談になると、人が一生懸命意見しても、結局は本人が

思っていることをしてしまう。

せっかく考えてもその人の行動には勝てないし。


だから人の相談事はあんまり好きではない。


ヤスにもそう伝えたかったけど、言い出せなかった。

今回のことはヤスには問題の無いことだし。

だんだんレナに腹が立ってきたというのも事実だったが、

それを大きな声で本人に言えないというのも、自分の小心者な所だ。

相談事も嫌いだが、喧嘩も嫌いな訳で。


まぁ。あたしが考えてもどーにもならないことだな。

ここはレナの旦那がガッチリ怒ってくれれば問題解決なのになぁ。


巡回サイトを回り終え、PCの電源を落とし

「はぁ・・・」とためいきをついてベットに入った。


前と少しチャットをする楽しみが変わったような気がした。


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