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上司は元カレ

「吉本君。ちょっといいかな?」

電話に追われて忙しくしているあたしを見て、課長が言った。


「あ、はい。5分だけ待ってもらっていいですか?」

そう言って急いで電話中で出られなかった店舗の担当に連絡をした。


「じゃあ、よろしくお願いしまぁーす!」

電話を切り、課長のデスクの前に行き


「はい!終わりました!なんですか?まさかこんなに忙しいの見ておきながら

「お茶!」とか言いませんよねぇ?」

そう言って横目で見ながら笑った。


「いや。ちょっとあっちの会議室にいいかな?」


そう言われ、そのまま後ろを着いていった。

会議室までの通り道で素早く紙コップに珈琲を2杯注ぎ

部屋に入り座る課長の目の前に「はい!」と置いて座った。


「やっぱ痛いよなぁ〜 君が抜けるのは・・・」

そう言いながら置かれた珈琲を一口飲みながら伏し目がちに言った。


「え?なにが痛いんですが?」

「いや。昨日、商品課の部長から君を異動させたいって言われてな」

「はぁ・・・・」


「君が行きたく無いなら断ってもいいんだぞ?あそこの忙しさは半端じゃないし。

 それにうちだってベテランが抜けるのは大きな痛手だし。

 どうする?断りづらいなら私のほうから言ってもいいし」


「できれば・・・・異動してみたいのですが・・・・」


その言葉を聞いてちょっとガッカリしながら

「そうかぁ・・・ なら仕方無いな。あっちはすぐにでもと言うんだが、

こっちも引継ぎをしてもらわないといけないこともあるし、ちょっとだけ

待ってもらってもいいかな?」


「はい。それは課長にお任せします。すいません・・・」

なんとなく元気が無くなった課長に思わず謝った。


昼休みに例の公園に行くと健吾がいた。


「健吾。ありがとね。さっき課長から異動の件言われたよ」

そう言いながら甘い珈琲を差し出した。


「そっか。で、いつから来るの?できるだけ早いほうがいいんだけど。

俺、昨日帰ったの2時だし・・・・」


(2時って・・・・・・)


「引継ぎあるから2週間後くらいみたい?」

「うおっ・・・ながっ!」



そう言いながら缶を目の上にあて冷やしていた。


「正式に配属になるまでになにかしておかないといけないことある?

ほら、憶えておかなきゃならないこととか?今のうちに少しづつ勉強しておくよ」


「そうだなぁ・・・ 始まれば自然に体で覚えるさ!とりあえず担当の

メーカー別の商品リストをコピーしておくから、時間がある時にでも取りに来て。

終わってからでもいいから。どーせ俺、夜の男だし」


「うん。わかった。じゃあ後から顔だすね」


そう言って会社に戻った。


まだ休み時間が10分残っていたので、カオルに電話をしてみた。


「どうした?こんな時間に・・・・ふぁ〜〜」

寝ていたのか大きなアクビをしながらカオルが電話にでた。


「ごめん、寝てた?」

「うーん・・・・ それはもぅ・・・ すごい勢いで寝てた」


二日ぶりに聞いたカオルの声は絶対目を開けないで半分寝ながら

聞いていると思うような声だった。

日曜日の別れはいままでの中で一番完璧な見送りだった。

最後までお互い笑顔で、別れた後も涙は出なかった。

寂しい気持ちはとてもあったが、これから何度もこんな場面が

来るのに、毎回泣いていてはカオルが心配すると思い、

「これからは絶対泣いたりしない!」と約束した。


「泣かれたら帰りずらいから、そのほうがありがたい」そうカオルも言った。

「次、逢う時までお互い真面目にね!」そう言って別れた。




そんなことを想い出しながら電話の続きを話した。

「あのね。あたし異動になって今度からチョクチョク東京に行けそうなの」


「えっ!なにそれ?どんなとこに異動したの?」

さっきよりはちょっとだけ起きた声でカオルは聞いた。


「バイヤーなんだけど、一ヶ月の半分は出張なの。だから結構そっちに

 行けると思うんだ。東京に出張の時は前もって連絡するね」


「まじで!よかったなー 待ってるから!決まったら電話くれよ」


「うん。さっき正式に言われたから先に連絡だけしておこうと思って。

 じゃ、また電話するね」


「おう!わかった。またなー」

電話を切ろうとするカオルに、


「残り5分だからもう寝たらダメだよ・・・じゃーね」そう言うと。


「わっ・・・どこかにカメラついてるかと思った・・・・」と言って電話を切った。


午後からは引継ぎの割り振りを課長と相談しながら時間は進んだ。

他の所からあたしの代わりの人が来るようだったが、それは来週になるとのことだった。


誰が見ても解り易いようにと、書類にインデックスをつけたり、

あいうえお順に並べ替えなどをして整理をしつつ、いつもの仕事も片付けた。


その日の仕事が終わってから、健吾の所に顔を出すと

山積みの書類の中に健吾が難しい顔をしてPCの前でなにやら打ち込みをしていた。


「忙しい所ごめんね。昼に言ってた書類取りに来たんだけど・・・・・」

ソロ〜と顔を出すと、


「あ。そこにある。その紙の下。静かにとらないと上の書類倒れてくるから」


ボールペンの先でその場所を指し、またPCに向かって仕事を続けた。


重い書類の下からなんとかリストが入っている茶封筒を抜き出した。


「ねぇ?この書類たちって・・・整理とかしないの?邪魔じゃない?」

あまりの汚さにそう言うと、


「したい気持ちは誰よりもあんだよ。でも時間がな〜」

そう言ってネクタイを少し緩めながら言った。


「ちょっとだけやろうか?教えてくれたら整理するけど?」


「その言葉を待ってたんだよ〜 じゃあ、それはメーカー別にファイルして。

あと新規のメーカーのはタグ作って新しく分けてな。あとは〜」


ちょっとと言ったのにどんどんと次々注文をだされ、言われたことを忘れないよう

必死で書類を分別した。


気がつくともう時間は8時をまわっていた。

けれど、さっきの机とは思えないほどスッキリとなり、その光景は満足できた。


「さっそく残業させてんのか?」

その声に顔を上げると商品課の向田さんが立っていた。


「いや、手伝ってくれるって言うからさ〜 少しでも早く仕事を覚えたほうが

 本人の為でもあるし。なんて部下想いなんだろ・・・俺って」

そう言って健吾が笑った。


「吉本さんだっけ?こいつの下ってのが残念だけど、これからよろしくね。

一緒の出張とかもこれからあるから、その時は飲みに行こうね!」


そう言って向田さんは自分のデスクに戻っていった。

ニヤニヤとしながら向田さんの後姿を見ていた。



「ねぇねぇ・・・やっぱ向田さんて格好いいよねー。あたし昔から憧れてたの」

そう小声で健吾に言うと、


「そっかぁ?全然格好いいとは思えないけど。そういや昔もよく言ってたよな〜」

と呆れた顔をしてこっちを見た。


「まぁいいや。じゃあ、大体片付いたから、あたし帰るね。せっかく

綺麗にしたんだから、もう汚さないでよ?あたしが来た時に

汚かったら許さないからね!じゃ、お先に〜」


そう言って席を立った。



「あ。ちょっと、今日はもう帰るだけ?」

「え?他になにあるの?用事あるなら残業なんか付き合う訳ないじゃん」

「いや、なにもないなら飯いかない?」

「へ?まだ仕事残ってるんでしょ?」

「いや。今日は急ぎの仕事はもう無いから。ちょっと待っててよ」


そう言ってバタバタと片付け、PCを閉じ


「向田さーん。俺今日は帰りますから、後よろしくー」と言って上着を着た。


「仕事外の残業はダメだぞ!吉本さん嫌なら殴り倒したほうがいいよ?

調子に乗るとなにするかわからないからー」



書類の中から頭だけ見えている向田さんの声が聞こえた。


「はーい!わかりましたー。じゃあお先に失礼しまーす」笑いながら答えると、

「チッ」と舌打ちをしながら健吾が「行くぞ!」と合図をし、部屋を後にした。

書類の中から向田さんの「バイバーイ」という手が見えた。



駐車場に向かいながら「酒飲む?」と健吾が聞いてきた。


「ううん。あたし相変わらず飲めないから・・・・」


「じゃ、家に車置いてからでいい?俺の家まで後ろから着いてきて」

そう言われ、健吾の車の後をついていった。


家は前と変わっていた。当然だけど・・・



会社から10分程度の健吾のアパートの前に車を停め健吾が来るのを待った。

駐車場に車を停め、そのままあたしの車の助手席に乗り込んだ。


「じゃ、前によく行ったケルンに行こうよ」

「うん。わかった・・・」

そう返事をして車を走らせた。


2年ぶりに入ったその店の様子は、なにも変わっていなかった。



テーブルにつき水を持ってきた女の子に健吾は

「まゆ、前と同じでいいんだろ?じゃあ、、これとこれ。あとビールとウーロン茶」


2年前とまったく同じ感じで健吾は慣れた感じでオーダーをした。


「今日はサンキュ。佐島さんなら絶対頼めないことだからな〜」

そう言って煙草を吸った。


「そうなの?だってペアだからやらないとダメなんでしょ?」


「いや、あの人、あの手のこと苦手みたいで間違うから。二度手間なんだよ。

だから俺がやってたし、あの人、そーゆーセンスなかったんだろな〜

俺がなにか言うとすぐ顔に出して怒るしさ、だからこの異動は俺としてはよかったなって」


「そっかぁ・・・ あたしとしてはよくないかもね?」

そう言って笑った。


食事をしながら仕事の話をいろいろと聞いていると、ふと健吾が黙ってあたしの手を見ていた。


「なに?ソースでもついてる?」

そう言って左手を見た。


「あ。いや、、指輪とかしてるんだなーて」

「あぁ。これね。可愛いでしょ?」そう言ってグーの手つきで指輪を見せた。

「ふーん。指輪ってよくわかんねーや・・彼氏に貰ったの?」

「うん。そう」


健吾はそれ以上指輪のことはなにも言わずに黙って食事をした。


「まゆさ・・・・いつからその人と付き合ってんの?」

ビールを飲み干し追加を頼みながら聞いた。


「えーと。6月くらいかな?だから・・・5ヶ月?もうすぐ半年」

そう言って自分でも(もう半年になるんだ・・・)と思った。


「じゃあ、俺が戻ってからなんだ?・・・・」

「うん・・・そーゆーことになるね」


おかわりのビールを飲みながら、指輪を見つめ


「もし先に俺が「もう一度やり直さない?」って言ったらどうした?」

といきなり言った。


「えっ・・・・・・なに言ってんの?」

そう言って気まずい空気を感じながら、冷めたご飯を口に入れた。


「だよな。もう遅いよな〜 まぁ冗談だって。冗談」と言い残りのビールを一気に飲んだ。


食事を終え、健吾をアパートの前に送った。


「ごちそうさま。じゃ、異動になったらよろしくね」降りようとする健吾にお礼を言った。

「ちょっとあがっていかないか?」

そう言ってこっちを振り返った。


「いいよ。もう遅いし、どーせまた冗談なんでしょ?」

「少しでいいから・・」真面目な顔をして健吾は笑わなかった。



「ううん。やめとく。公私混同は後から仕事しずらいしね」

そう言って健吾が降りるのを見ていた。


「そっか、じゃ・・またな。おやすみ」

「おやすみ」


そう言って急いで車を走らせた。

心臓がドキドキしていた。

信号が赤になり車を停めると、手に少し汗をかいていた。


信号待ちの間、タイミング良くカバンの中の携帯がメールを受信した。

まだ赤なのを確認して携帯を見ると、カオルからだった。


<仕事の内容とか全然わからないけど、頑張れよ。こっち来る日楽しみにしてる。おやすみ>


いまあったことがカオルにバレていたようにドキッとした。

後ろめたい気持ちに少しなった。


パッパー!


後ろからクラクションを鳴らされて驚いて信号を見ると青になっていた。

ミラー越しに怒ったオジさんの顔が見え、慌てて車を発進して、家に戻った。


家に戻り、お風呂に入りながらさっきのことを考えた。

もしも・・・健吾が戻ってきた時すぐに、


「やり直さないか?」そう言われたら、あたしはなんて返事をしたんだろう?



あの頃の健吾は毎日仕事が忙しく、電話をしてもつかまらなかった。

そのうちだんだんと電話をすることが無くなり、あっちからもこなかった。

会社でも忙しくたまに会ってもニコリと笑いかけてくれてはいたが、

だからといってそれ以上なにも連絡をしてくれなかった健吾のことを

次第にあたしは遠く感じていた。


一度、転勤が決まった後に電話がきたが、

もう終わってしまったことだと思い、その電話にはでなかった。


結局「さよなら」も言わないまま、健吾は転勤していった。


それから2年間。ほとんど健吾のことを思い出すことは無かった。

違う彼氏ができ、それなりに毎日を過ごしていたし。


ただ思い出すのは健吾が好きだったCDを偶然かけた時に

何度か思い出したことくらいだった。

別に嫌いで別れた訳じゃない分、今日の言葉が頭に残った。


顔を洗い、鏡を見た時。

胸の上にカオルのつけたキスマークが見えた。

少し薄くはなっていたが、ハッキリとわかるその痕を見て


「付き合う訳ないじゃん。カオルがいるのに・・・」


そう呟き湯船に入った。


なんとなく眠れない感じがして、久しぶりにPCの電源をつけた。

たまにはみんなに会いたいと思い、チャットの部屋を探した。


部屋の名前を見つけクリックすると、そこにはミライとハヤとヤスがいた。


(わ!!!入らなきゃよかった・・・・)


カオルからヤスとミライが別れたことを聞いていたので、その二人の名前を見て驚いた。


<ヤス> 「お。ひさしぶりー」

<ミライ> 「元気だった?もうチャットやめちゃったのかと思った」

<ハヤ> 「よう。かなり久しぶり〜」

<リオ> 「ちょっと仕事が忙しくなっててね。ひさしぶり〜 みんな」


しばらくはミライの会社の上司の愚痴をみんなで聞いていた。


(あれ?ミライ・・・・ヤスとは別れてないのかな?カオルの勘違い?)

そう思ったが、さすがに直接本人には聞けなかった。


けれど、なんとなく場の雰囲気に変化があった。


<ハヤ> 「じゃ、また週末な>ミライ」

<ミライ> 「うん。じゃ今度は早めに行くね>ハヤ じゃ、私落ちるね。リオ、ラビ達来たらうちにも来てね。じゃ、おやすみー」

<リオ> 「あ・・・うん。連絡するね。おやすみ>ミライ」


(ハヤ?早めに行く?なんだそりゃ・・・)


<ヤス> 「今、ミライとハヤが付き合ってんだよ>リオ」


その言葉に驚いた。


<リオ> 「えぇぇ?そうなの?なんで?ヤスもハヤもいいの?」

<ハヤ> 「あぁ?別に。別れたなら問題ないし」

<ヤス> 「そそ。俺も全然問題ないよ〜ん」


ちょっと動揺しながら、


<リオ> 「問題無いって・・・ そんなもんなんだぁ・・・」

<ハヤ> 「別に結婚する訳じゃあるまいし、そんなに驚かなくていいじゃん」

<ヤス> 「そうそう。真剣に考えてるお前等は人生損してるぞ〜(笑)」


そうなのかぁ・・・・

いろいろ聞きたいこともあったけど、それ以上は何も言わなかった。



<ハヤ> 「じゃ、俺もそろそろ寝るわ。またな。おやすみー」


そう言って早々とハヤは落ちていった。


<ヤス> 「今日、カオルは?」

<リオ> 「もう寝たみたい。仕事忙しいみたいだし」

<ヤス> 「そっか。ならちょっと電話していい?字打つのめんどうだから」


そう言って画面をそのままにヤスが電話をかけてきた。


「ビックリした?ミライとハヤのこと」

そう笑いながらヤスの声が電話の向こうから聞こえた。


「うん・・・・それってアリ?信じられないね〜 あんた達」


「別にいいじゃん。俺はなんとも思ってないよ?ミライもよかったんじゃね?

 ハヤなら同じ札幌だし、いつでも会えるしさ」


「そうだけど、、、ハヤも気にしてないの?その、、ヤスの前の彼女って、、」


「あぁ。別に体に印がついてる訳でもないしな。回数の正の字でもあるなら

別だけど、まぁ、、、そんなのあってもハヤは気にしねーだろな」


印と言われて思わず胸の痕を上から触った。


「それってハヤもミライのこと遊びってこと?」


「どうかな?よくわかんねーけど。長く付き合えば後は二人のことだし、

俺には合わなかったってだけのことだしな」


「そうなんだ・・・・」


たしかこの前、ヤスがミライとのセックスをバラしている時にハヤはいなかった。

けれどほんの数週間前まで知り合いの彼女だと知っていても

別に問題なく付き合えるもんなんだな〜と思った。

ミライもヤスが目の前にいても、全然気にした素振りもなく

ハヤと普通の会話とかできるんだ・・・

あたしのカオルのナンパ話なんかお呼びで無いとすら感じた。


「俺はしばらくはのんびりと独りを満喫することにしたんだ〜」

「そのほうがいいかもね?真剣になるほど女が損しそうだしね」


「自由が一番だって。しばらくはセフレだけにしとくさ。付き合うのと

 ヤりたいのとは別モンだからな」

そう言った電話の向こうでライターの音がした。


「ナンパもいいけど、カオルは誘わないでね」


「カオルがいると成功率があがるんだけど、最近付き合ってくれないから

 寂しくて〜。リオが一言OKサインだしたらカオルも自由に参加できるのに」


「OKだす時はきっと別れてると思うけど?」


「もぅ・・・堅いんだから。なんなら、カオルがいない時に俺が寂しい君の

側で朝を迎えてもいいよ?今なら北海道に空きがあるけど?」


「ばっかじゃないの。間に合ってるから」

そう言って笑った。


「お前等はきっとウマくいくよな。そんな感じがするよ」

「ヤスに言われても全然嬉しくないし・・・」


「いや、本当にさ。なんか似てるなって。付き合ってからもどんどんそんな

 感じするしさ。そうなったら俺がキューピットじゃん!感謝してもらわないと!」


確かにそう言われてみたらキッカケはヤスだったかもしれない。

ヤスが「カオルはお前のタイプだぞ」と言われなければ、それほどカオルに

興味を持ったとも思えない。

それにカオルにそう言ったのもヤスだったし。


「そうだね。そう思えばヤスのおかげだね。ありがと感謝してる」

「そのシレッと惚気るのも似てるんだって。あー頭くる」


ヤスとのバカ話でさっきの健吾のことも少し忘れた。

その後、電話を切り回線も切断してベットにもぐった。


少しだけ健吾との仕事に不安があったけれど、さっきは飲んでいたし

なによりあたしがシッカリしていれば、なにも問題は無いと思った。


カオルに逢った時に、後ろめたい気持ちにはなりたくなかった。

自分がされたら嫌なことはカオルにはしたくはない。


「ただの酔った席での冗談だよ。きっと・・・」


そう呟いて布団がかぶりスタンドの電気を消して眠った。




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