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長い一日

その日、いつもより急いで家に戻った。

玄関を開けると、いい匂いがした。


「ただいまぁ・・・・」

ソロ〜とドアを開けて中を覗くとカオルがキッチンに立っていた。


「おかえり〜弁当さんきゅ!ウマかった」

そう言ってこっちを見ないで頭をタオルでしばり鍋を真剣に交ぜていた。


匂いからしてたぶん・・カレーだと思うんだけど・・・

なんだか本格的な匂いがしていた。それもちょっと微妙な・・・


「カオル・・・料理なんかできたんだ?」

鍋を覗くとそれなりに美味しそうに見えた。


「カレーだけはちょっと自信ある。俺たぶん前世インド人と関係あると思うんだ」

そう言いながら皿にご飯をよそっていた。


「着替えちゃえば?すぐ食べれるよ?」


そう言われて急いで着替え、

手を洗ってなにか手伝おうとしたが、「いいから座ってて〜」と言われ

コップにお茶を入れて椅子に座りカオルを見ていた。


「よし!食べてみて。たぶんウマい!」

「じゃあ・・・いただきまーす」


一口食べてみた。

確かに美味しい・・・けど辛〜い・・・・

急いでお茶を飲みながら「辛いけど美味しいよ」というと、


「だろ?この辛さは癖になるんだって。明日もカレーな。

分量間違った・・・・すっげぇ残ってる・・・おかわりノルマ2杯な」


そう言いながら自画自賛して食べていた。

コンロの上の鍋を見ると一番大きな鍋にいっぱいのルーが見えた。


(こりゃ、、下手したら明後日くらいまでありそうだな・・・)




「カオル、カレーは辛いほうが好きなの?」

「辛くないとカレーじゃないだろ?」

「じゃあ、、、目玉焼きには?」

「え?醤油。他になにかけるの?」

「じゃあ、、スイカに塩かける?」

「あれは邪道。なにもかけないほうがウマいじゃん」



その答えが可笑しくて一人でいつまでも笑っていた。


(食の好みがピッタリって楽でいいな〜)



食事を終え「今日なにしてたの?」と聞くと起きたのは昼すぎで

ご飯を食べまた寝て、また起きて・・・の繰り返しだったらしい。

夕方近くに買い物に行き、土曜日のお土産を買ってきたと言われ、


「あ!土曜日うちに行くんだった!」と思い出した。


電話をしておかないといけないと思いつつ、なんて言えばいいか迷った。

深呼吸をしてから家の番号を押した。


「もしもし?お母さん?まゆだけど、久しぶり」

かなり久しぶりだった。何度か留守電は入っていたが、別にたいした

用事でもなさそうだったのでかけ直しをしていなかった。

声を聞いたのは3ヶ月ぶりくらいかもしれない。


「元気だった?もぅ何度電話しても出ないんだからー。で、なにかあったの?

あんたから電話してくるなんて珍しいわね」


「あー。今度の土曜・・・って明後日さ、お父さんも家にいる?」


「休みだからいるわよ。ちょうど奈々子も子供連れて帰ってきてるし、

なーに?家に帰ってくるの?」



うわ・・・お姉ちゃんもいるんだ・・  それはちょっとどうなんだろう・・・



「あー・・・そうなんだぁ・・ あははは・・・はぁ・・・」


隣でカオルが「なに?なに?」と声を出さずに聞いていた。

その仕草にウマく答えることができずに、変な動きをしていた。


「あのね。ちょっと逢って欲しい人がいるんだけど、いいかな〜って」

その言い方にピンときたのか母は急に小声で


「男の人?ちょっと、、待ってよ。貴女もしかして、デキちゃったとか言わないわよね?

そんなのお父さん許さないわよ?」


「デキてないし・・・ 」


「あ。そうなの?ならいいけど。えーどうしよう〜 お母さん髪カットしてないわよ?」


別にお母さんの髪型を見に行く訳でもないのに、慌てていた。


「ちょっと挨拶程度だから、そんなに緊張しなくていいよ。

遊びに行く感覚だから。じゃ、土曜ね。お父さんに言っておいてね」

そう言って電話を切ろうとすると、母は慌てて


「ちょ、、ちょっと!嫌よ!あんたから言いなさいよ!」

と言って電話をお父さんに無理矢理変わった。


「なんだ?」


たぶん隣で聞いていて、話の内容を理解しているくせにまた同じことを言わされた。


「わかった。じゃあ土曜日な」


なにも反撃されずに電話は終わった。




「「わかった」って。そんだけ・・・」

電話を切ってカオルにそう言った。

「えぇ〜 なんか怒ってたりしないよな?軽くヤバくない?」


「うーん・・・ いままで特別挨拶ってしたこと無いしなぁ」


「まぁ。いいか。大丈夫さ、きっと」


そう言いながらも確実にカオルは緊張していた・・・




うちに行く当日、いつまでも鏡の前で

「真面目に見える?大丈夫?」とカオルは何度も髪をいじっていた。


「うん。大丈夫。真面目に見えるかはわかんないけど・・・」

「あー なんか吐きそうだ。カレーがすぐそこまできてる・・」


そう言いながらうがいをしていた。


「別に今じゃなくてもいいんだよ?すぐにどうってこと無いんだし。

やめておく?あたしは別にいいけど」


せっかくの休日に家に行って時間を無駄にするくらいなら、

どこかに遊びに行きたかった。けど、スーツまで持ち込んだカオルにそんなことは言えなかった。


「いや。一度言ってしまったし、ここで行かないと次はもっと行きづらい!」


そう言ってはみたものの・・・・


「なんか顔、青いよ?大丈夫?」

「うん。たぶん・・・」


かなりギリギリな状態だった。


家から実家までは車で20分程度だった。


「すごく近くない?家借りる意味あんの?」


思っていたよりすぐ着いてしまったのでカオルが緊張しながら聞いてきた。


「だって一度くらいは独り暮らしってしてみたいじゃない」

「いや、そうだけど・・・・」

「じゃ、行こうか?」


車を降り、玄関に向かうと慌ててカオルが着いてきた。


玄関を開け「おじゃましまーす」と声をかけると奥からお姉ちゃんが走ってきた。


「ひっさしぶりぃ〜!ちょうどいいタイミングで家にいた!うふふ」


嬉しそうに笑い、カオルを見てペコッと頭を下げた。


「さ、どーぞ!古い家だけどあがって」


家にあがりリビングに行くと母はソワソワしながら座っていた。

チラッとカオルを見た後にあたしを見てニヤリとした。



(ほら、やっぱりタイプだったんだ・・・・)



お父さんは挨拶をするカオルにどう答えていいか分らないようで

小さく「どうも・・・」と言い部屋中がシーンとした。


なんて気まずい・・・なんだこりゃ。


「あ、、あの、そんなにあらたまった事でもないの。ただ挨拶しておきたいなーって

彼が言うから、ほら、、なんていうの?大人として、、ねぇ?お姉ちゃん」

訳がわからないがお姉ちゃんに話を振った。


「あ、、まぁね。お父さんもほら、なにか話なよ。ねーお母さん」


急に話を振られたお母さんは

「ねー。本当にまゆの趣味ってお母さんとピッタリね」


場違いな母の言葉にみんなの視線が集中し、お母さんは一人で慌てていた。


しばらくすると、お父さんは「ちょっと煙草買ってくる」とサッサと席を外してしまい、

お母さんがそれを止めに玄関に走っていった。


お姉ちゃんが小声で

「娘さんをくださいって言葉を聞きたくなくて、逃げたか・・・・」と言った。


「別にそこまでは!いや、今日は本当に挨拶で」


姉の言葉にカオルが慌てて否定した。


「いいのよ。そう思っていられたほうが、次にいざって時はもう逃げられないから」

そう言って笑った。


お母さんが玄関から戻ってきて、

「もぅお父さんはダメねぇ。ごめんなさいね。えーと矢吹さんでしたっけ?」

そう言いながら笑顔でカオルに話し掛けた。


「あ。いえ、いいんです。突然来た僕も悪いので・・すいません」

そう言って母に謝った。


「じゃ、そろそろ行こうか?」

そう言って立ち上がると「えぇー!もう帰るのー!」とお母さんは一人で

ブツブツと文句を言っていた。


「いいの?お父さん帰ってくるまで待たなくて?」

と言うカオルに姉が

「外に車があったら、何時間でも帰ってこないわよ〜」とケラケラと笑った。


一応用意していてくれたケーキを食べて、1時間程度で家を後にした。

そのままの格好じゃどこに行くのも不便だからと、一度家に戻り、

着替えを済ませ、一息つきながらカオルが心配そうに言った。


「あんな挨拶でよかったのかな?夜にでも電話きてダメだ!とか言わない?」

父の行動がかなり不安だったようで、カオルはいつまでも気にしていた。


「よかったんじゃない?お母さんは気に入ってたみたいだし?」

「え?そうなの?」

「うん。タイプって言ってたじゃない?」

「タイプって言われてもなぁ・・」


なんとも言えない困った顔をしていた。


「でも、今日はありがと。きっと問題無いと思うよ」


カオルも朝からの緊張がやっと抜けて、気分が軽くなったように見えた。

せっかく来てくれたのに、たいした所にも遊びにいけなく、

気がつけばもう明日帰らなければならないと思うと、楽しみは実現する

ギリギリ前までが一番楽しいものなんだな・・と思った。


「どこ行きたい?どこかある?」まだ時間はお昼になったばかりだった。


「う〜ん。そうだなぁ〜 どこがいいかなぁ」

延々と考えていたようだが、どこも思いつかなかったようだった。


あたしもこれと言って浮かばなかった。

カオルがいない時はどこに行っても

「今度ここに一緒に来たいな・・」と思う所はいっぱいあったのに、

いざとなるとなかなか思い浮かばない。


二人でしばらく考えて「とりあえず家を出ようか!」と車を走らせた。


特になにを見る訳でもなく、夜になるまであっちこっちと車を走らせドライブをした。

海に行ったり、買い物をしたり、そんな休日を過ごした。

いつも一緒にいられたら、こんなこと普通のことなのに、ひとつひとつが新鮮だった。


手を繋いで歩くことにも嬉しくて子供のようにニコニコしながら歩いていた。

横を見るとカオルがいる。

その当たり前の光景が嬉しくて仕方無かった。


「なんだかアッという間だったね。今回の休みも」

「仕事の一日は長いのにな。また仕事か〜」



繋いだ手を大きく振りながらカオルが言った。


「本当だね・・・」

「今度は2ヶ月後かぁ・・・ またちょっと長いな」

「うん。そうだね。長いな〜」



ふと仕事のことを思い出した、そう長くない間に逢えるかもしれない・・

そう思ったが、まだ言っちゃいけないと思い黙った。


「もう家に戻ろうか。明日もまだゆっくりできるしな」

そう言って握っていた手をギュッと握りしめて歩きだした。


また離れてしまうんだな・・・と実感した。




家に戻り、明日の荷物の整理をしていた。


「大体でいいよ。洗った服とか乾かないから置いておくし」

ソファーの上からこっちの様子を見ながらカオルが言った。


「うん。もう終わるー」

「そういやさ、ヤスとミライが別れたの知ってた?」

「えっ?いつのこと?」



とうとうその時が!と思った。なんていったってあのヤスだから・・・


「えーと、俺が来る前の日かな?ヤスから電話きて。

かなりモメたみたい。なんかヤスならそんな感じもしたけど」


ミライが心配になった。よりによってヤスだもんなぁ・・・・


「あたしが会った時も言ってたんだ。「もう別れたい」って。

だからそう遠くないかなって思ってた。ミライ落ち込んでいるだろね」


「そうだな〜 結構ミライのほうがハマッてるみたいだもんな。話聞くと」


その言葉でこの前のチャットを思い出した。


「どんな話?」自然と口調が強くなった。


「いや、なんとな〜く。そんなこと言ってたかな〜って」

話を誤魔化すように目を合わせないでカオルが言った。


「なんとな〜くってな〜に?」口元は笑っていたが、目は笑っていない

状態でカオルの頬をつねりながら聞いた。


「い、、いたいです・・・・」


「どーせまたみんなでイヤラシイ話してたんでしょ!ついでにあたし達のことも!」

そう言ってさらに手に力を入れた。


「ごめんなひゃい・・・」

「そうやって今だけ謝って、また言うんでしょ!!」

「いいまひぇん・・・・」


それ以上問い詰めると、見たことがバレるので手を離した。

カオルは頬を摩りながら情けない顔をしていた。


「でもある意味自慢も入ってる訳だし、悪く言ってる訳じゃないんだけどなー」


「じゃあ、あたしも言っちゃおうっと。もうすぐラビ達来るし。

カオルがどんなことするか言っちゃおうかな〜 いいんでしょ?自慢なら?」


「えぇ〜 それはちょっとなぁ。俺、ヤスにSとか言われたし。

それは俺の信用にかかわるかもしれないなぁ・・・やっぱ言わないほうが・・」


「Sって言われることなに言ったの?」


「あ。いや。なんでもないです。で、ラビ達いつ来るの?」



話を変えて聞いてきた。


「あ!そうだ。カオルに手伝ってほしいことあったんだ。でもな〜

そんなに口が軽い人だとちょっとな〜」


「なに?って、俺、そんなに口は軽くないってば。

たまたまアッチの話はしてたけど、普通の話はしないって!」


「本当に本当?絶対言わない?」


にじり寄って顔を近づけ目を見て言った。


「絶対言わない!」そう言って顔を近づけ素早くキスをして「本当!」と言った。


「あのね。ラビがヒデのこと好きだって」

「わ・・・・ そりゃ予想外のことだ・・・・」

「それとなくヒデに聞いてみたりしてくれると嬉しいなって」


「まぁ、、聞けないことは無いけど」ちょっと自信なさげに言った。


「でもあくまでカオルがなんとなく聞いたって感じでね。お願い」

「うん。わかった・・・・ でももし「そんな気無い」って言ったら?」


そう言われたらなにも言えなかった。

無理に勧める訳にはいかないから、その時は「そうなんだ〜」で済ませようと

言うことで話が終わった。


「でも、ウマくいくといいな」ポツリとカオルが言った。


「そうだね。ラビもヒデも大好きだから、あの二人がそんな仲になってくれたらいいよね。

ラビ・・・たまにキツイけど」


「うん。そしたら4人で遊びにいったりできるのにな」


「そうだね。あたしがあっちに住むことになってもラビ達が遊びに来てくれるしね」


「えっ!いつ来る?」

なんとなく言った言葉にすぐさま反応されて驚いた。


「いや、すぐにじゃないけど・・・ そうなったらってこと」


「あ。そうなんだ」(なーんだ)と言うようにカオルが言った。


「なんで?今来られるとマズイことでもあるの?」


「そうじゃなくて、一緒に住むこと考えてくれたのかなって」


「あぁー。そっちか・・・ なにか隠してるのかと思ってビックリした」


「俺もそっちかよ!ってビックリだ」そう言って笑った。



「もう寝ようか・・・」本当に寝るつもりは無く(ベットに行こう)という意味で言った。


「寝るの?なら本気で寝るけど?」その意味を理解したくせにカオルは

意地悪そうに片方の眉を上げて言った。


座っているカオルのヒザの上に座り、ゆっくりと顔を触りキスをした。

そして自分から舌を入れた。

それに答えるようにカオルも舌を絡めてきた。

腰にまわした手をゆっくりとあげ、シャツの中に手が滑りこんだ。

背中を触る手が少しひんやりとしていた。


手馴れた感じでブラジャーのホックを外し、両肩のヒモを器用に下げ

シャツの袖からスッっとブラジャーだけを外した。


「馴れてるね・・・」


あまりにスムーズに脱がせるカオルに、ちょっと笑ってそう言った。


「そうでもないよ・・・」


そう言ってまたキスの続きをした。

シャツの上から胸を揉まれ、だんだんとシャツの布の感覚が邪魔になってきた。

布一枚が厚く、直接手で触れて欲しくて仕方無かった。


「ね。ベットにいこう?」


そう言ってもカオルはその言葉を無視してまた口を塞いだ。

シャツの上にあるカオルの手を掴んで、シャツの下に手を引いて

行こうとすると、途中で手を止め


「まだ・・ダメ・・・」と、またシャツの上から胸を触った。


「また最後に意地悪するの?」ちょっと顔を離して、ふくれた顔をして言うと。


「それ生きがいに近い」と笑った。





「そんなに怒るなって〜」そう言いながらベットまで手を引き電気を消した。


「帰っちゃう前の日くらい、その意地悪どうにかならないの?」

「意地悪しない俺なんか面白くないでしょ?」



そう言いながらベットに押し倒し、笑った。


「だって俺Sみたいだから?なにげにまゆMじゃん。気がついてなかった?」

「そんな事ないもん。あたしノーマルだし」

「そうかなぁ〜?だって焦らすとその分濡れ・・・」



言葉を言い切る前に枕で頭を叩いた。


「じゃあ認めさせてみようかな〜」



そう言ってシャツを脱がせ胸に唇を寄せた。


その言葉を聞いて体が熱くなったのを感じた。

本当はカオルに焦らされるとその分、欲しくてたまらなくなっている自分を

とっくの昔に知っていた。



背中に軽く爪を立てられながら触られると、うっすらと鳥肌が立った。

くすぐったいような、もっと強くして欲しいような感覚になった。


右のふとももに軽くキスをされ、その唇がだんだんと中心に近づく・・・・

けれどソコには触れずに唇は左足に動いた。


わざと一番感じる部分になにも触れずに延々と違う部分にキスをしたり

舌を動かすカオルの意地悪にじれったいのに何も言えずにいた。


「触って欲しい?」

ちょっと余裕のある言い方に顔を横に背けた。


「まだ頑張るんだ?」

そう言って下着の上からゆっくりと舌先を押し当てた。

温かく湿った感じが下着を通して伝わった。


体がビクッと反応し、

それを見て下着に手をかけたカオルに脱がせやすいように自然と腰が浮いた。


「脱がせてほしい?」

ちょっと勝ち誇ったような言い方をするカオルに「もぅ!」と怒った。


「そろそろ認めたら?」そう言ってあたしの手を引き寄せ下着の上から触らせた。


「ほら?自分でわかってるだろ?俺のせいじゃないよ?これ・・・」

そう言って下着の横を少し捲りあたしの指を押し入れた。


ものすごく濡れていた。


「動かしてみて・・・自分で・・・」

そう言ってあたしの指の上から自分の指を動かした。


「いや・・・・だ・・・・・ってば・・・・アッ・・・」


そう言いながらも声が途切れとぎれになった。


「俺がいない時、自分でするだろ?いつもみたいにやってみてよ」

そう言いながら、動かしていた手を静かに止めた。


カオルの手が止まっても、自分の手の動きは止まらなかった。


「ほら。言ったろ?まゆは命令されるの好きなんだよ。俺の言うことが・・もう認める?」

そう言って耳をゆっくり舐めながら笑った。


「認める・・・だから・・もう・・・・して・・・・」

消えるような泣いているような声で言った。



「だから言ったじゃん。もう他の男とデキないよ?きっとつまんなくて」



カオルの舌はなにもかも知り尽くしているように動いた。

下からすくい上げたり強く吸い付いたりして、してほしいことを

すべてわかっていた。

さっきよりも、もう止められないくらいに濡れているのを感じた。

ときどき (ジュル・・・) と聞こえるイヤラシイ音が更に気持ちを高ぶらせた。


ほんの数分もしない間に、簡単にカオルの舌にイカされた。


「まゆ・・・・起きて」


5分経ったのか10分経ったのか、もう時間の感覚は無くなっていた。


「そのまま俺の上にきて・・・」

手を引かれそのままカオルの上に体を動かした。


「上になって・・・」

腰を掴まれてそのままゆっくりとカオルが入ってきた。


自分の腰を動かしながら、あたしの腰にあてた手を強く上下に動かした。

動く度にどんどん体は熱くなっていった。

カオルが起き上がり、胸元に強く吸い付いてキスをした。


そんなに強く吸われたらきっと痕が残っちゃう・・・そう感じながらも、

なにもできずにただされるままになった。

カオルの息が大きく弾み、動きがどんどんと激しくなる頃、

ただカオルにしがみ付き声をあげるしかなかった。


しがみついた手に力がギュッと入り、もう限界を感じた時、

カオルもイッたのを感じた。


頭の先から下に静かに痺れが消えていった・・・・

そのままカオルの体の上に倒れこみ、余韻に浸りながら自分の体を重ねた。

触れている肌の部分すべてがカオルの汗と混ざり合っていた。



「どうしよう・・・・」そう小さく呟いた。


「なにが?」髪を触り、頭を撫でながらカオルが聞いた。


「どんどん良くなる・・・・」


「いいじゃん。悪くなるより」


「こんなに良くなり続けたら、カオルのことばかり考えちゃうじゃない・・・」


そう言うと、ゆっくりと軽いキスをしながら、

「他の男のことなんか考えられないように改造中なんだから、当たり前じゃん」

そう言って笑った。



腕枕は嫌いなはずだったのに、カオルの腕には不思議と体が馴染んだ。

少しだけ眠くなりながら、カオルを見つめ聞いた。


「あたしはどうすれば、カオルが他の子のこと考えられないようにできるの?」

「今のままで十分だよ」


頭を優しく撫でながらカオルは言った。


その返事が聞き終わるかどうかと言う時には、もう眠りに落ちていた。

今日一日の緊張と、たった今終わった疲れとでそのまま記憶は無くなった。



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