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レナとケイタの恋愛

部屋の中でも特別に打つスピードが速く、

誰よりも会話が多い奥さんがいた。

NHを「レナ」と言った。

あたしと歳も近く、会話するうちにとても仲良しになった。

彼女とはチャット以外でも、メールをするくらいの仲になり

たまに彼女から来るメールには


「ねぇねぇ。リオは誰が好き?

 うちはケイタがめっちゃ気になるねん!

 ケイタだけは手ださんておいてーな(笑)」


のようなメールが来るようになり

最初は冗談だと思っていた。


「(笑)」のマークとかついてるし、

その場のノリで言っているのだと完璧に思っていた。



それならあたしも空気を読むべきかな?と冗談ついでに

「そうなの?じゃああたしもケイタがいいや〜」

と、同じ流れに乗ってみた・・・


つもりだったのに・・・


返信にはやや本気、、ううん、、絶対マジってくらいの

怒りがツラツラと書いてあり、ドンビキになった。


そんな思いでメールを見て、ちょっと彼女が

どこまで本気なんだろうと心配した。

そのうち、彼女のお気に入りのケイタ君は、

いつもは早い時間に眠いと言って

平均0時には落ちていたのに、

週末はいつまでも部屋にいるようになった。


だいたいみんなは1時から2時の間に解散となるが、

なにやらレナとケイタはいつまでも残っていた。

そうなると少しづつ周りのみんなも妙な空気を画面から感じ、

彼達がほとんど周りを無視する勢いで話してる状態を

微妙な気持ちで見守っているようになった。

当然、あたしもその一人であり、

彼と彼女が二人しか通じない会話をしていると気まずくなり


「もう寝るね」


と、落ちてしまうことも少なくなかった。

中にはそんな二人を怒る人もいた。


「せっかく楽しく集まってるのに

 あんな二人だけの世界って迷惑だよね」


そうともとれる・・・・

でも迷惑だから出て行ってくれともいえない。

けど、二人の会話以外、みんなの会話はいままでと同じで

そんなに怒るほど迷惑でもなかった。


ただなんとなく、たま〜にでる

「めっちゃ好き〜〜〜ケイタ〜〜」や

「俺も大好き!」


などという、微妙に手が止まってしまう

赤面ものの文字以外には無言になった。

いや、それも許せるけど・・・

たぶんみんなに見てもらいたいとか思って出してるんだし。




ある日、レナから携帯に電話がきた。


「リオか?ちょっと話があるねん」

「どしたの?」

「うち、離婚しよう思うねんけど・・・・」

「えぇー!!どうしたの?なんかあったの?」

「うち、、ケイタのこと本気になってもうてな・・・」


ちょ、、ちょっと待って!!

ケイタに本気って、、

レナは大阪弁だけど福岡、ケイタは仙台だし、

実際会ったなんて聞いたことなかった・・・


「え?ケイタに実際会ったの?」

「いや、うちの離婚が決定したら

 二人で旅行する予定やねん うふ」


いやいや、そんな照れたように言われても!

それはマズいっていうか、、、オカシイでしょ?普通!!


あたしは驚いてなんて言っていいか分らなくなった。

確かにチャットをしている時のケイタは

とても真面目な印象があった。

みんなが誰かを冷やかしたり冗談でバカにしたりしても

ケイタだけはそれに参加することなく

後々その人をフォローするような優しい一面があった。


結局は文字だけの世界だが、

それだけでもその人の性格が少しはわかる。

もしかして偽ってる可能性だって当然あるが、

それはその人のネット世界の性格だし

深く追求するのはダブーだと思っている。


が、しかしだ。

やはりあたしは相手の顔を見ないと真剣な恋愛には

発展しないと思っていた。

自分が同じ立場になってもしも、

ケイタに恋心が浮上したとして・・・・

その先に進みたいと思えば、きっとケイタに

「そっちに遊びにいくから逢いたい」と伝えるであろう。


やはり逢ってみないと分らないし、

当然逢いたいとう気持ちが大きくなってると思う。


空想の世界から実在の世界にリアルに感じる為には

相手はちゃんとした人間であるという

物的証拠を求めると思う。


でも、、、今のレナには家族がある。側には子供と旦那がいる。

そう簡単には仙台に逢いに行くこともできないのは当然だが、

ちょっとその前に・・・・って感じだ。


「あのね。ケイタに逢ったことないのに、そんな話しちゃってさ、

 もしもケイタがタイプじゃなかったりしたらどうするの?」


ちょっと悪いかなと思ったけど、本音を切り出してみた。


「ケイタがどんな容姿でも構わないねん。

 あの性格が一生ついていきたいって思ったし!」


絶句とはこのことだ。

どうしよう!!なんかもう手におえない!


「そ、、そうなんだ・・・・で、話変わるけどさ、

 電話とかしてるの?」

「うん。めっちゃ優しい声してるねん!」


声だけか・・・

自分もそんなに容姿はいい訳ではないが、、

やはり理想ってものが絶対あるわけで。

背が高くないと嫌とかそんなのはまだ許せる範囲だけど、

どーしても譲れない範囲の容姿ってあるんじゃないかと思う訳で・・

こんな考えは間違ってるんだろか?

あたしは恋愛に対して見た目だけで判断する嫌な女なんだろうか?


なんかもぅ。

自分の許容範囲をかなり外れてる異次元の話に

なっているようで自分の意見に自信が無い。


「で。あたしに何を相談?」

「いや、相談っていうか報告ってことやねん」

「そ、、そうなんだ、、、ありがと・・・」


そう力無く答え、報告の電話は無事終わった。

終わったというか終わらせた。

頼むから終わってくれという思いで。



さぁ。困った。

別にあたしがどうしなければならないと言う訳ではないのだが。

誰よりも早くこの異常な事実を知ってしまったからには、

なにかしなければならないのだろうか。


前にレナの結婚秘話を聞いたことがあった。

レナは学生の頃はとても真面目な優等生で、

今の旦那が始めての人で、大学を卒業してそのまま結婚。

いままでの人生で旦那以外の男性を知らないと。

それを聞いた時に


「へぇ・・・そんな人もいるんだ〜」

とちょっと不思議な気持ちになった。

だからチャットを始めた当初、

よくいままで付き合った男性のことを聞かれた。


あたしだってそんなに大暴れをしていた訳ではないが、

それなりに5〜6人の人とは付き合ってきた。

その度に「まったく男運が無いな〜」と思ったもんだ。


レナはその話をいつも聞いてきた。

きっと自分がいままでの人生で一人の男性しか知らないということを、

まるで恥ずかしいことのように言っていたが、

他の男性陣にはたいそうウケが良かった。

男というのは勝手なもんで、自分が遊ぶのはいいが、

自分の相手にはあまり遊んでいない子がいい!と口を揃えていう。


おかげで、あたしは軽い遊び人くらいの印象だった。

そんなのことはどーでもいいんだが。


きっとそんなこともあり、レナはケイタとのネット恋愛が

普通のものか異常なものか、

区別がつかなくなっていたのかもしれない。

一概に「異常」と決め付ける訳ではないが、

せめて逢うという行為の後に考えてもいいと思う。

出会いとしてはネットももはや普通になりつつある。

だから、生身の人間だからこそ向き合うことが必要だと思う。

偵察では無いが、逢った瞬間のインスピレーションも大事だ。


でもレナに今、なにを言っても無駄な気がした。


けど、誰に言うにしても今このことを人に言うのは

ただの噂をばら撒く昼下がりの主婦のようで

今ひとつ行動できなかった。他のチャット仲間に相談と言っても、

聞いた瞬間にみんなレナとケイタのことを変な目で見るであろう。


ケイタ・・・


そうだ!ケイタがいた。

ケイタ本人がどう思ってるか聞くの忘れていた。


その日、あたしは始めてケイタ宛にメールを書いた。

いつもめんどくさいので、ほとんど普通のメールを使わないのだが、

この話はめんどくさいとか言ってる場合では無いような気がして、

その日ばかりは真面目に書いた。

多少、ウザいかもしれない内容だったが、

ケイタは独身で身軽だがレナには子供だっている。


まだ3歳と5歳と言ってた。

そんな子供がいきなり母子家庭になるのか

父子家庭になるのか知らないが、

あまりに無謀なこの話を受け入れるには幼く不憫な気がしたからだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


―こんばんは。リオですー


さっきレナから電話があり、大体の事情を聞いたんだけど、

今ひとつコメントに困ってます。

レナが離婚するって言い出しているけど、

ケイタ自身はどう思ってるのかな?って。

まだお互い逢ってもいないのに、そんな話すすめてしまって、

もしもお互い求めているものが違う容姿だったとしたら、

困るのは自分達だから、ここはケイタが福岡に一回行ってみることを

あたしは勧めるんだけど、どうだろ?


ネット上での恋愛を否定はしないし、最近は多いみたいだから

軽蔑もしないけど、やはり目を見て話し合ってからじゃないと

何事も始まらないと思うし。

性格だって、文字だけの世界なだけにいくらでも偽ることできるんだよ?


一度、ちゃんと逢ってから、それでも気持ちが変わらないのであれば

それも縁だと思って、あたしも相談に乗るから。


今はバツイチとか普通だし、

長い人生やっぱり好きな人といたいってのはわかるしさ。


ちょっと今の時点ではなんとも言えないから、

あたしからはみんなには言うつもりないし、

ここはあたしの胸にだけしまっておくので、

もう一度じっくり考えてみたほうがいいと

思って、メールしました。


迷惑かもしれないけど、

聞いてしまったからにはこっちの意見も言っておこうと思って。

多少、内容がウザいけどごめんね。

じゃ。また夜にでもチャットで

                                                         リオ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何回も読み直し、書き直し、やっとメールが完成した。

これで完成なのかどうかは微妙な感じがしたが、

一応自分の思ってることを書いたつもりだったので満足して送信した。


メール送信後。

1時間くらいしたPM10時すぎ携帯が鳴った。


電話の相手はケイタだった。


「もしもし・・・・」

「あ。リオ?俺ケイタ」

「うん。番号は入力してたからわかった」

「あ。。で、、、メールの件でさ」

「あ。うん」


なるほどレナが言う、優しい感じというのはよくわかる声だった。

優しいというか爽やかというか、そんなに男臭くない声だった。


「レナがなんて言ったの?」ビクビクしているともとれる

声でケイタが聞いてきた。


「えーと、旦那と離婚してケイタと・・・・みたいなこと言ってた」

「うーん。いや、そんな話はしたんだけどさ、

 実際俺もかなり好きなんだけどさ、、

 けど、やっぱ逢ったほうがいいよね?」


「そりゃ当然じゃないかと。

 いや性格重視って言っても実際逢った印象とかあるじゃない?」

「だよね。やっぱ俺が行くべきだよね?」

「でしょうね。てゆうかさ、その前にお互い写真の交換とかしてみたら?」

「えーー!いやそうなんだろうけどさ、、写真か〜」


お前等はアホかと。

写真か〜〜〜って逢えば顔見るんだし、

先に画像とか見ておくものなんじゃないだろうか?!

そこまで盛り上がっておいて、

顔も知らないで騒いでる二人もまったくもって

どうかと思う。ってゆうか、やっぱ変だよ・・・この人達。


「写真もさ、あることはあるんだけどさ、

 俺実際あんまりイケてないんだよねぇ」

「イケてるイケてないってのもいまさらだが、、、

 やはり相手がどんな感じかってのは

 かなり重要でしょ?あたしは見ないと盛り上がれないな」

「リオっぽいね」


っぽいとかって話なの?

あたしそんなに見た目だけで判断する変な人なの?

なんだが世間の常識ってのが分らなくなってきた。

すごく不安なんですけど・・・


「ケイタってさ、たしかELTの持田が好きだったよね?」

「うん」

「もしレナが持田の足の指すら似てなくて、

 体重がケイタの倍くらいあってだめだこりゃ!

 って容姿でもケイタは同じ気持ちで受け止めてあげられるの?」

「お前、、、嫌なこと言うねぇ・・・」


「いや。だってそう思うからさー。

 あたしだって福山雅治みたいな容姿の人ならちょっとは

 そんな気になって憧れて暴走するかもしれないけど、

 福山と毛先だけが似てるんだよねっ!

 みたいな100キロあるような人とはたぶん恋愛できないなぁ・・・」


「リオ、、、毛先って!」

「いや、マジな話でさ」

「写真見せて駄目だしされるの怖いしさ、いまだ送れないんだよな」


それはさすがに二人の話だから、

もうそれ以上は言うのはやめようと意見するのを止めた。

駄目だしするもしないも、二人のことだし。

これ以上、話をしても駄目な気にもなってきたのは事実だし。


話の最後にケイタは


「やっぱり逢う前に写真送ってみるわ。俺もレナの写真送ってもらう」


そう言って電話は切れた。


容姿かぁ・・・

いままで人を好きになるのって、

最初はやっぱり容姿だったような気がする。

「あ。この人結構かっこいいー」とか思って、

話をするうちに「優しいなー」とかなって

そのうち「この人が好き」ってなるもんだと思うし。


性格重視っていっても、会った瞬間に相手の性格がわかる訳でもないし

やはりしばらくは距離をおいて相手を観察して、、、、、


そう思うと、観察期間は十分かぁ。

やっぱりわかんないや。

人を好きになるのに理由はいらないとは言うが、

ちょっとこの恋愛はあたしには

想像を越えているものに思えてならない。


だいたい今までチャットをしていても、

この人と電話で話してみたいとか思ったことすら無い

あたしにはきっと理解できないんだろうなぁ。

あたしのPCの画面の前には相手にも同じ画面があるとして、

そんな風に自分のことを見ていてくれている人もいなかったと思うし。


それはきっとフェロモンが足りなかったのか?

それとも女と思われていなかったのか?

いや、発言の問題か?


まぁ。きっとそんな空気をあっちも感じていたんだろうけど。


なんだかなぁ。考えても答えのでないこの問題をぼんやりと考えながら

あたしはその場を後にし、風呂に入った。


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