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代打チャット

カオルが帰った日から一ヶ月が経過しようとしていた。


それほど生活に変化は無く、

あったとすればお互いの時間が空いた時には携帯にメールをいれ、

それを見て時間があれば返信。

たまに夜は電話・・・・そんな感じの毎日だった。


会えない間、携帯の文字を見て少しだけ近くに感じることができた。


会いたいと駄々をこねて通用する距離じゃないのを、

お互い分っているから無理に「会いたいね」とは言葉にも文字にもしなかった。


言えば言うだけ後から寂しくなるのを分かっていたから・・・



8月の初めの日曜日、昼間に珍しくカオルから電話がきた。



「どうしたの?こんな時間に珍しいね」


「たまにはいいかなって。今日サッカーの試合あったから朝が

 早かったんだ。勝ったから嬉しいのもあってさ」

機嫌のいい声が電話を通して聞こえた。


カオルはいまの会社の仲間達と草野球ならぬ

草サッカーチームを組んでいる。

昔、中学、高校とサッカーをしていたのもあり、

ほぼ無理矢理チームに入れられたと前に話していた。



「今度さ、お盆の休みに近場の会社のチームとトーナメント戦で

試合すんだよ。こんなことしてる奴等なんか独身ばっか

だからお盆とかも関係無いしさ。休みとれるなら見に来ない?」



お盆の休みはサッカーの試合の時の3日間だけ休み、

あとはみんなが休みを取り終わった後に、

ゆっくり取ろうと思っているとカオルは言った。

だからあたしの休みを東京で過ごし、自分の休みはこっちに来る。

そうすれば一緒の休みよりも倍に会えると思わない?とのことだった。

なるほど・・・・それもそうだなと思いその話に乗った。


お盆が近づき、連休は9日間とれた。

祝日がうまく重なり、結構な大型連休になり想像以上に空港は混み、人がザワついていた。


(早朝と最終は案外空いてるから大丈夫!)


カオルに言われたとおり、その時間帯のチケットを買った。

満席まではいかない程度の混みようだったが、いままで実家にも車で

移動できる範囲だったので、この時期に飛行機に乗ることなど無かった

あたしには十分すぎるほどの混みようだった。


冷蔵庫の中かと思うくらいの冷房の中、飛行機は羽田に向かった。

到着が9時すぎだったので、空港にカオルが迎えに来てくれることになっていた。


ガヤガヤとした到着ロビーを過ぎると、すぐにカオルが目に入った。


お互いに「久しぶり!」と軽くハイタッチをして笑った。

一週間分の荷物は思ったより多く、海外旅行に行く人のようなトランクだった。


「お前、、ハワイでも行くの?すげぇ荷物だな」

荷物の多さを見てカオルは笑いながらトランクを引いてくれた。



その日は真っ直ぐカオルの家に行った。


余計なものが一切飾っていないサッパリとした車内は見るからに


(カオルらしいな・・)と思う感じでスピーカーからカオルの好きはアーティストの歌が流れていた。



「俺の部屋。すっげぇ汚いから。先に言っておくから」

「東京ってゴキブリでるんでしょ?見たこと無いんだよね」

「じゃあ見れると思うよ?よかったね初体験できて」

「え・・・・本当に?それは、、、ちょっと、、、、」



そんな話をしながら車を走らせカオルのアパートに着いた。

ゴキブリの話をされ完璧にボロアパートを想像していたが、

全然違って外見は綺麗なアパートだった。

中も綺麗に片付いていてリビングが3F寝室が4Fのロフトだった。


「うわ・・・かっこいー。もっと凄い汚い所に住んでると思った・・・」



「ここ会社契約だからね。だから普通で借りるよりは格安だと思うんだ。

 そうじゃなきゃこんなとこは入れないよ」


車と同じようにサッパリとした室内だった。

正直に言えば生活観が無い部屋だった。


「明日、俺普通に仕事なんだよね。でも部屋の中自由に使っていいから。

 この近くにはなんでもあるから明日歩いてみたらいいよ」

「うん。そうする。帰りは遅くなる?」

「いや。そうでも無いとは思うけど〜 7時前後かな?」

「そっか・・・ 」



二人の関係はまだチャット部屋の人にはバレてはいなかった。

ヤスとミライに口止めをしたので、バレる要素はかなり少なく、

カオルもあたしも人前でイチャつくというのが苦手だったので

それは好都合だった。


その日。近くのスーパーに買い物に行き簡単な食事を作った。

一週間あたしはチャットをしないのに、カオルまでしないのは

怪しいから、暇ならしてみれば?と言うと。

「別にしてもいいけど?」とカオルは回線を繋いだ。

それを後ろから見るのは新鮮だった。



部屋に入るとヤスとヒデとマックしかいなかった。

その面子を見てカオルは一言ポツリと・・・


「うわ。これはキツイのばっかだな・・・・」と言った。


「なにがキツイの?」と聞くと「見てればわかるよ」と笑った。



男ばかりの会話は結構凄いことばかりを話していた。

いわゆる下ネタばかり・・・



「あのAVはすっごいよかったぞ」

「まじで?そんなに?」

「そりゃもぅ!!最高!」


延々とそんな話が続いていた。

殆ど呆れてその会話を見ていた。


「いつもそんな感じなんだ?男ばっかだと?」


「面子によるな。でもこいつらは王道。女の子入ってきたら止まるけどな」

一緒になってバカなコメントをカオルも打ち込んでいた。



他の面子に「カオル今日は大人しいな。いつものキレが無い」などと

言われていた。


「いつもどんなキレのある下ネタ言ってるの?」

というと笑って誤魔化した。


しばらくしてカオルは「俺、風呂入ってくるから替わってよ」

と席を立ってしまった。


「えー。こんな下ネタばかりの中でコメントすんの?嫌だよー」

「いいじゃん。男のことよく分かるぞ」


勝手なことを言って浴室に消えるカオルを見ながら、取り合えず

席に座り、どう話に入っていこうか考えていた。


相変わらずみんなはあたしを本物のカオルと思い込んでコメントをしてきた。

ヒデはヤスに

「で。ミライはどんな感じよ?胸デカい?」と聞いていた。


「体のわりにデカいかな?」と書き込むと

「かー!いいな〜 俺もそんな出会いねーかなー」とレスが続いていた。


それからしばらくミライの話になり、どんどんヤスが調子に乗り

いろんなことを暴露していた。

あたしもカオルとのことをみんなに知られたらきっと男ばかりの時に

いろんなことを言われてしまうかもと頭を過ぎった。




<マック> 「結局、今この部屋の女でフリーって誰いたっけ?」


<ヤス> 「ラビとサクラくらいじゃね?」


<ヒデ> 「あれ?リオもじゃね?彼氏いるって言ってたっけ?」


<ヤス> 「いるんじゃね〜の?なあ〜カオル」




いきなり話を振られて驚いた。

それもあたしの話を・・・・くっそ、、、ヤスの野郎。




<カオル> 「さあ?わかんないなぁ」


<ヤス> 「本当に〜?(笑)」




あー!!本人だって言いたい!

画面の向こうにいるニヤついたヤスの顔が目に浮かんだ。




<ヒデ> 「言わないだけで実はいるかもな」


<マック> 「そうだな〜 いそうな感じはするよな」




そこにマサが入ってきた。

みんながひとしきり挨拶をした。



<マサ> 「なになに?なんの話してるの?」




そしてまたみんなは勝手に誰がいいという話になっていった。

これ以上見ていて自分の批判を目の当たりにするのは内心怖かった。

けど、みんなにはカオルと思われているので出るに出られなかった。


そのうちマサは彼女が欲しいと言い出し、

みんながそれに対してのレスをし始めた。

マサは仕事場では出会いが無いから、それならヤスを見習ってここで

見つけられたらいいなーなどと言っていた。




<ヒデ> 「マサはこの前の写真見て誰がいいと思った?

      その中から選んでアタックしてみりゃいいじゃん」



<マック> 「そうだよ。先に相手の顔見て選べるじゃん。

       HP見たろ?まぁ彼氏がいるのも結構いるけどな」



<マサ> 「そうだな〜 ミライがよかったけどヤスと

      付き合ってるんだっけ?そうだな〜じゃあ

      リオなんかいいかな?」




ビックリした。

ほとんどマサとは話をしたことが無いのに。




<カオル> 「リオはやめたほうがいいと思うなぁ〜」




思わず打ってしまった。

が、カオルのままの発言にヤスがカオル本人の発言と思い




<ヤス> 「なんでカオルがそんなこと言うのぉ〜?ねぇねぇ?」




などと話に食いついてきた。

ほんとコイツ殺す。




<ヒデ> 「あれ?そうだったのカオル?前によくヤスが言ってたよな」



<マック> 「そうだよなー リオにカオルがタイプだろ?

       とか言ってたよな?

       もしかしてもう影で付き合ってたりして?

       この前北海道行ったし、そこでやっちゃった?」



<マサ> 「カオル会ったんだ?どうだった?」




<カオル> 「あ。いや、そうじゃなくて。

       この前会った時に好きな人がいるようなこと言ってたよ。

       だからやめたほうがいいかなーて

       それにほら遠いじゃない?遠距離になっちゃうよ?」



<ヤス> 「へぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」




ヤスの「ェ」の多さに「あったまきた!!」と

文句を言いながら力を入れてキーボードを叩きながら打った。




<カオル> 「だってリオがそう言ってたもん!」



<ヒデ> 「もん!て(笑) リオみたいな言い方だな。カオル」



<ヤス> 「そのうちハヤとかタツヤあたりとウマくいったりしてな〜」



<マック> 「そうだな〜 近いしな」



<カオル> 「それはナイんじゃないかなぁ〜?」



<ヤス> 「そんなことわかんねーぞ?どうする?」



<マック> 「だよな〜 ハヤなんか手早そうだもんな」



<カオル> 「そんな訳ないってば!すぐそっちの話ばっかりして!」



<ヤス> 「そんな話大好きなくせに〜 いや〜んカオルちゃん」



<ヒデ> 「カオルは見た目爽やかそうに見えるから得だよな。

      中はエロいのに」


<ヤス> 「そうだよな〜 去年、俺たち海いった時なんか

      一番張り切ってナンパしてたじゃん!

      それも高確率で引っかかってたしな」



<マック> 「そうだよな〜 爽やかエロは得だよな」



海でナンパ?そんなことしてたんだ・・・・

知らなくてもいいことを、こんなことで知ってしまった。

確かに女馴れしてるよなとは感じてたけど・・・・



<ヤス> 「今年も行く?なんならタツヤとかハヤも誘ったら

      かなりの確率で成功だと思わね?

      あいつ等に連絡しておこうか?」



<ヒデ> 「ミライにバレたらやばいだろ?

      ヤスは彼女ができたんだから引退な」



<ヤス> 「仲間に入れてくれよ〜 なんでもするから〜」



<マック> 「でももう時期が遅いだろ?8月も中だぞ?」



去年の夏はそんなことをしていたんだ・・・・

みんなで海に行ったとは聞いていたけど、ナンパ目当てかよ・・・

でも昔のことをとやかく言うのもちょっと格好が悪いような気がして

そのことはカオルに聞きたいけど聞けないなと思った。





<ヤス> 「そういや、レナにミライと付き合ってること言ったんだよな」



<マック> 「で。レナなんだって?」



<ヤス> 「よくわかんねーけど怒ってた。

       怒られる筋合いじゃねーのにな」



<ヒデ> 「まーそうだよな。今度は誰のとこに流れていくんだろな?」



<ヤス> 「カオルじゃねーの?前にそんなこと聞いたことあるぞ」



<マサ> 「じゃあカオルはレナで。

      俺はリオってことでいいんじゃない?」



<ヤス> 「女いるなら前もって言っておかないとヤバイぞ>カオル」



<マック> 「ちょっと!カオルも彼女できたのかよ?」



<ヒデ> 「そうなのか?」




内緒にしてって言ってるのに!!

なんでそっちに話を振るかなぁ、、ヤス!

もう言いたくて仕方無いという感じのヤスにイライラしていた。


そこにお風呂からあがったカオルが来た。


ブツブツ怒っているあたしを見て、

「なに?なに怒ってんの?」と笑い、席を替わって過去ログを見始めた。


そしてナンパの話を見て、「うっ!」と一言いって、こっちを見た。


「これは、、、その、、ただ楽しく話をしただけだって。全然そんなんじゃないから」

「別になにも言ってないよ?そんなのってなに?」

「あ。いや、、、で。マサってヤツと仲いいの?俺ほとんど知らないけどコイツ」


それ以上ナンパの話はしないで話を変えてきた。


「ううん。あたしも数回チャットでしか話したこと無いよ?」

「でも悪い気はしないだろ?ふ〜ん・・・・マサねぇ〜。あ、風呂お湯溜めたから」



そう言いながら、カオルは会話に参加した。

カオルがパチパチと打ち込みを始めたのを見て、あたしはお風呂に入った。


別に悪い気はしないけど、それほど嬉しい気もしなかった。

全然知らないマサになんと言われても興味が無かったし・・・


浴室を見るとシャンプーもリンスも2本づつあり一種類はあたしが使っているブランドのだった。


中身もほとんど使っていなかったのを見て、カオルがわざわざ用意してくれた物だと思った。

洗面所の上には新しい歯ブラシとタオルが置いてあるのを見てちょっと嬉しくなった。

いない間に自分のことを考えて買い揃えてくれたことが。


お風呂からあがるとカオルはまだチャットをしていた。



「ありがと。シャンプーとか買っておいてくれたんだ?」

「ん?あぁ、、まぁね」

「すっかりそんなの忘れてた」

「まゆの匂いだな〜と思ったからさ」


そんな小さい気遣いが嬉しくてチャットをしている後ろから抱きつき、

久しぶりにキスをした。


目の前の画面の中では、そんなことをしているとは思っていない面子が

相変わらずカオルに下ネタを振っていた・・・



髪を乾かし、TVを見ているとカオルに呼ばれた。


「なぁ。このマサってヤツ大丈夫かな?

  お前に電話するとか言ってるけど?」



「えっ、そんなことされても困るなぁ・・・

  それに番号知らないと思うよ?」


 

「あ。そうなんだ。じゃあ大丈夫か。

 けどよく話もしたこと無いのに電話なんかしようと思うよな。コイツ」



「話もしたことないのに、電話してきた人いたよね。ちょっと前に」

「え?誰?・・・・・俺?」


「でもあの時とコレは違うじゃん。

 話はしたこと無くても俺達はかなり前から知ってたじゃん。

 コイツはたかだか3〜4ヶ月前からだろ?」

「あー。わかった・・・・ヤキモチ妬いてんだ?」

「違うっつーの。変なヤツだなーと思ってさ」

「ふ〜ん・・・・」



「なにニヤニヤしてんだよ。違うって。そんなんじゃないってば」

「ふ〜ん・・・・」

「もう寝ようか!久しぶりに会ったんだしさ!」



そう言ってカオルは挨拶もそこそこにチャットを

退室して電源を切ってしまった。


別にマサという人にどんなことを言われても興味は沸かないと思った。

それ以前にまったくカオルの時のように気にもならなかった。


寝室に続く階段をあがると、ステレオとセミダブルのべットがあった。

それ以外はなにも無くとても広く感じるベットルームだった。

携帯の目覚ましをかけ電気を消して、二人でベットに入った。


そこにあたしの携帯が鳴った。

画面を見ると知らない番号の携帯からで、不思議そうな顔をしてカオルを見つめた。

それを見てカオルは


「マサってヤツじゃないの?誰かに番号聞いたとか?」

「それは無いと思うなぁ、、、」


恐る恐る電話に出ると聞覚えの無い男の声だった。

他になにも音のしない部屋の中その声は響いてカオルにも相手が男だと分ったようだった。


「もしもし?どちら様?」

「あ。わからないよね。俺マサです。チャットでたまに逢う」


本当にかけてきたんだ!驚いてカオルを見ると「ほらな」という顔をした。




「あの、、それでマサさんがあたしになにか?」

「いや特別に用事ってことも無いんだけど、最近会わないからどうしたのかなって」

「あー。今旅行にきてるので一週間くらいはチャットしないと思います」

「旅行中なんだ?どこに?」

「えーと。東京に・・・・・」


そこまで言ってパッと口を押さえた。

横でカオルが『言っちゃった・・・・』という顔をした。


「え??東京に?ならいつか一緒に食事でもできませんか?俺、時間作りますから」

「あ。。。それはちょっと無理かも。。。ごめんなさい」

「いや、いつでもいいですよ。連絡してくれたら俺すぐ行きますから。

 そっかー東京にきてるんだー どこに泊まってるんですか?」


次から次へと質問をされ、なかなか電話を切るタイミングが掴めなかった。

横にいるカオルがなんとなく不機嫌に見えた。


「あの。ごめんなさい今、一人じゃないの。じゃ、また」

そう言っていきなり電話を切った。

煙草を吸っているカオルと目があった。


「あの、、、東京って言っちゃった・・・・」

「ま。それだけじゃわかんないだろうし。

 それより番号知ってたじゃんアイツ」

「そうみたいだね・・・・・」




別にあたしが教えた訳でもないのに・・・


すると今度はカオルの携帯が鳴った。

画面を見るとヤスだった。

カオルは携帯を見て「なんだろ?」と言いながらでた。


「もしもし?どした?」

「もしもしでも、どした?でもなくてよぉ。リオ来てんのか?そこに?」

「え?なんで?」

「マサってやつがリオに電話したら東京にいるって言ってたって」

「うん。ここにいるよ」

「やっぱりな。カオルに逢いに来たんだとは思ったけどよ。そっか・・・ 

 もしかしてさっきのナンパの話見られた?」


「あぁ。思いっきりな。それも俺は風呂入ってて、あの時打ってたの本人だし」

「げぇー 怒ってる?」

「それはもう・・・・」


それからヤスはせっかく東京に来ているなら、

他のメンバーにも会っていけば?と言っていた。

マサが電話の後にチャットで東京にいることを言ったので

そこにいたメンバーが「なら飲み会しようか?」と言っていたらしい。

カオルはヤスに自分の都合を伝え、日曜の夜なら行けると伝えた。

ヤスも関東のメンバーに連絡して折り返し連絡くれると言って電話は終わった。



「でも個人的にマサってやつに電話攻撃されるよりも

 一度みんなで会ったほうがそれ以上の攻撃されなくていいかもな」



「そうだね。ヒデにもヤスにも今年は海にカオルを

 誘っちゃダメって言っておかないとね。」


「いや、、、それは、、、ほらノリってやつ?夏は開放的になるしさ〜」

「ふ〜ん・・・開放的になるから?で、その後は?」

「あ〜、、、え〜と、、、、今年はナンパなんかしないってば」



目をあまり合わせないように、困った顔をしてカオルが言い訳をしていた。

本当のところはそんな去年の話はどーでもよかった。

好きな人の過去は聞きたいけれど、聞くといつまでも頭の中に残り

なにかあるとすぐそのことを思い出して嫉妬してしまう。

だからこれ以上は聞かないことにしようと思った。

ちょっとスッキリしないけど・・・・



「逢いたかった・・・・」


そう言ってニッコリ笑うとカオルは安心したような顔で笑った。


「俺もだよ」


その日。久しぶりにカオルの胸で眠った。

やっと一ヶ月の空間が埋まったような気がした。



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